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『休薬期間。初夏』

休み休みではあるものの、5クールをやり遂げた。尻に負担をかけながら、意地で減薬を断って、体表面積から算出される最大量の抗がん剤の服用も出来た。ほっとしている。あと数日で『腹下り』も収まるだろう。今月は、もう、絶対に抗がん剤を服用しない。3クール連続は私には無理だ。今月は検査だけだ。絶対に、絶対に、絶対にだ。

私は、いま、深夜2時にフィッシュマンズを聴いている。すこしばかり切なくなった。なぜだかしらないが、涙があふれている。今夜は『腹下り』の代わりに『涙下り』が起こっている。ストレスが溜まっていたのだろうか。いっそ、泣ける映画でもみようかと思った。私が過去にいちばん泣いた映画はなんだろう。ぱっと思いつくのは台湾映画の『海角7号』だ。

『海角7号』とは終戦間近の台湾のとある住所だ。いまはもうない。その住所に手紙を届けようとする者がいる。そんな映画だ。端折りすぎているが、これでいい。あとは、観てからのお楽しみだ。私は、ぼろぼろに泣いてしまった。

そして、なぜだか、私は牛丼が食べたくてしかたがない。この一年、肉類は鶏肉しか食べていない。いや、嘘だ、アメリカンドッグを食べていた。今月は牛丼を食べよう。私の身体が欲している。なまものも控えていた。鯛の刺身も食べたい。寿司だ。回転寿司でいい。それだけでうれしい。

朝、目覚めたら。だるく。体温を測ると、38.5度ありました。腹下りと発熱を同時に抱えこんでしまった。これは大変だ。冬用の布団をひっぱり出した。

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