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Sounds of IKEBANAが3回目のNYFWで目指していること

日本を代表するFemale media Artistであり京都大学の特定教授である土佐尚子教授が率いる「Sounds of IKEBANA」のNYFW(New York Fashion Week)の記者会見に参加してきました。記者会見の資料のタイトルは

「アートファッションをニューヨークのファッションショーで披露
〜⼟佐尚⼦教授のアート「サウンドオブ⽣け花︓グラス」をファッションにしたアートファッションを世界4⼤ファッションイベント「New York Fashion Week」のランウエイに出展」

Sound of IKEBANAはメディアアーティストであり、京都大学アートイノベーション産学共同研究部門特定教授である NAOKO TOSA氏が続けてきた「メディアアート」であります。

このメディアアートがどのような形でファッションと共に歩み、そのアートファッションがこれからどう成長していくか、今回の「+GLASSとは?」と言う点を伺えることを期待して参加しました。

1:Sound of IKEBANAとは

Sound of IKEBANAは「艶やかな色彩の絵の具に音の振動を与えて、音が飛び散る様子をハイスピードカメラで撮影さいたビデオアート」です。日本文化の伝統と革新が、作品の根幹にあるテーマですが、その伝統と革新を裸眼では見えない表現で行い、その表現を可視化する、という手段を用いています。まさに今、この時代にしか見えないART表現です。
本格的に発表されたのはシンガポール。Art Science museumでの発表の際は1年中暑いシンガポールだからこそ「四季」を感じさせる表現を意識しました。

そしてジャパン・ソサエティ・ギャラリーとのパートナーシップにより、タイムズスクエア広告連合(TSAC)とタイムズスクエア・アーツが毎月開催している「Midnight Moment」の一環として「Sound of Ikebana (Spring)」が紹介されました。


2:メディアアートを「まとう」ことでの新展開

Sound of IKEBANAはメディア・アートというスタイルからスタートしました。メディア・アートとは「デジタル・テクノロジーを活用した芸術作品の総称」と定義されています。

そしてメディア・アートというのは最新技術とタッグを組むことによってアートをよりアクティブにする、という展開が可能になります。Sound of IKEBANAはメディア・アートとしての表現からエプソンのデジタル捺染(なっせん)技術との産学協同研究(京都大学が企業と共同研究を行い最終的に事業化を目指す研究)により共同研究を開始しました。

産学共同研究」とは【民間機関等から研究経費および研究員又は研究経費を受け入れて、大学の教職員、研究室等が当該民間機関等と共同して行う研究】のことをいいます。京都大学には専門ページがあります。


メディア・アート表現を最新技術で布に印刷することにより「Sound of IKEBANAはまとうことが可能」になりました。

まず第一段階としてネクタイとTシャツが製作されました。そしてブルックリンでのアウトドアでのファッションショーと個展を同時期に開催、その様子をインスタグラムで研究室から発信を行いました。

https://www.instagram.com/p/CjuiD9kJUtw/


その発信がGlobal Fashion Collective(バンクーバー・ファッションウィークがまだブランドに所属していない有望なデザイナーを世界に発信することを目的として立ち上げたプロジェクト)の目に留まりました。

そしてGlobal Fashion Collectiveからの招待参加として2023年9月にNYのファッションウィークに参加することになりました。ファッションウィークはそう簡単に参加できるものではありません。日本の国公立大学と企業の共同研究が招待されるということはとても珍しいことです。

2023年9月の招待参加の成果発表会に関してはこちらのnoteをご参照ください。


3:2024年のNWFWのテーマ「Sound of IKEBANA:GLASS」

ファッションウィークでは常に「新しいアイデア」が求められます。ファッションウィークは東京を含め世界で数多く開催されていますが、その中でも有名なものとしてNY、ミラノ、パリ、ロンドンがあげられます。

4大ファッションウィークにはそれぞれの特徴があります。その中でもNYには下記の2つの特徴があります。

「プレタポルテ(一般的な既製服に比べて高級な既製服のことより実用
年齢や性別、体の大きさやその人の背景にとらわれない



現在の形のニューヨーク・コレクションは、1962年にアメリカン・デザイナーズ協会が発足されたことをきっかけに始まりました。開催時期は毎年2月と9月です。アメリカブランドだけではなく、ヨーロッパの有名ブランドも多く参加しています。
ヨーロッパのコレクションと比較すると、カジュアルで日常的なスタイルが多い傾向があります。また、明確にメンズとウィメンズを分けずに男女ボーダレスで行われるショーが増えていることもニューヨーク・コレクションの特徴です。
代表ブランドには、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)、カルヴァン・クライン(Calvin Klein)、マイケル・コース(Michael Kors)、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、アナスイ(Anna Sui)などがあります。

引用:ファッションウィークとは?世界4大コレクションから東京コレクションまで解説


このNYファッションウィークが目指す方向性とSound of IKEBANAが目指す方向性に親和性を感じたこと、そしてデザイナーでもある土佐教授がメディアアーティストとしてかつての作品をNYのMOMAに所蔵されるなどの関係性から、Sound of IKEBANAはNYファッションウィークの参加を進めてきました。


今回はその3回目の参加として「Sound of IKEBANA:GLASS」をテーマに行います。
Sound of IKEBANAはハイスピードカメラで撮影した「実在するけど目に見えない存在を撮影して可視化するメディアアート」です。今回はGLASS、つまりガラスを使用して表現することで「生花を形作る表現を目視できる状態」にしました。土佐教授はこの表現を「光のいけばな」名付けました。そしてガラスという素材を活かしその表現に光源を加えることで新たな表現に挑戦しています。その表現を最新技術で印刷した布で洋服を作り「新しい表現をまとう」ステージを展開します。

4:「Sound of IKEBANA:GLASS」をサポートする強力なパートナー

Sound of IKEBANA:GLASS」は今回、強力なサポートパートナーが3団体います。

まずはエプソン株式会社。デジタル捺染(なっせん)技術でサポートをします。捺染(なっせん)とは印刷は布地の染色法の一つで、繊維に染料を捺し付けて色素を吸着、結合させプリントする技術です。 全体を染液に浸けて一色に染める「浸染」に対し、「捺染」は部分染め(模様染め)を指します。 1色につき1つの版を用意する必要がある為、「有版捺染」とも呼ばれます。
デジタル捺染は、各種のデザイ ンや画像を布地の上にプリントする技術になります。
エプソン株式会社は京都大学の産学連携プロジェクトとして「アートイノベーションとエプソンのデジタル捺染を融合させ、新たなインクジェット技術の価値創造を目指す」という共同研究を2021年12月14日より開始し、日本でも各地でイベントを共同で開催を継続してきました。

今回のNYFWでも「「Sound of IKEBANAというアート」をまとう」というコンセプトを技術で支えます。


そしてSound of IKEBANAをNwe Yorkに招待することで応援を続けてくれているGlobal Fashion Collective

引用:https://www.globalfashioncollective.com/

今回の記者会見ではGlobal Fashion Collectiveジア・スンさんがオンラインで出演されていました。Global Fashion Collectiveの本社はカナダのバンクーバーですが、カナダの北米だけではなくて、アジア、ヨーロッパ、南米のブランドのサポートを行っています。創始者の背景などの影響もあり、ダイバーシティを非常に重要に考えているそうです。そのような姿勢の結果、Sound of IKEBANAの「エイジレスでダイバーシティ、男女どんな年齢の人も着られるタイムレスな服」というコンセプトに強い共感を得たとのこと。これからの展開が楽しみに感じられるコメントでした。

そしてSound of IKEBANAとNew Yorkを繋げてくれる強力な人的パートナーとして20年以上ニューヨークを拠点に活動されているキュレーターのMasako Shibaさん

Masako Shibaさんと土佐教授との出会いは文化庁の文化交流士活動で訪れたNew York。Shibaさんは現在ニューヨークのブルックリン実験アート財団で日米の文化交流をサポートする活動されています。Shibaさんは

「ニューヨークは世界のアートマーケットの中心地なのでここでの活動は非常に重要。2023年の世界のアート取引資料の総額は10兆円近くと言われています。うち4割以上がアメリカ。そのうちの取引の大半はニューヨークで実施されていますThe Armory Showも同時開催される2024年9月にFWで発表される土佐先生のShowはファッション業界だけでなくアート業界からも注目されています。同時に「アートとテクノロジー」という現在のトレンドキーワードを東大の博士号を取られる研究時に実施されていて、その時の研究が現代にさらに活かされてることがさらに多くの注目を集めることになるでしょう」

とのことでした。
ちなみにShibaさんは今回のShowのモデルも務める予定です。


5:「Sound of IKEBANA:GLASS」が今回の参加で伝えたいこと


「NYFWに3回目の招待参加ということで、このプロジェクトに対しての本気度を広く知ってもらう段階に入ってきました。そしてそこからムーブメントを作りたい。アーティストが作品を発表する際には美術館だけではなく様々な分野とのコラボレーションでも出来ることを知ってほしい」

と土佐教授は語ります。

「1つのスタイルだけでない新しいスタイルから始まるムーブメントには様々な可能性があります。アーティストがアートを発表する、そこで得た賞賛に値する対価を得る事業化の仕組を作りたい」という土佐教授の熱意は2024年9月6日からNew Yorkで行われるファッションウィークにおいて新たな展開を生み出すことになるでしょう。