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ロックダウンの中、ばらちらし弁当こそ生きる希望になる3つの理由。


ロックダウンだから、ロックダウンでなくても、ばらちらし弁当は偉大。


さて、クアラルンプールのロックダウンも3回目である。相変わらず開始時はドタバタでルールは二転三転。本当に気持ちが休まらない。そんな中、最近レシピを参考にさせて頂いているsioの鳥羽さんがこんなnoteを書いておられた。


うわあああああああ。うまそう。。。。


私はわっぱ弁当の大ファンでもある。いいなあこれと思っていたら。。。KL にも最強のすき焼きちらし弁当があった!


Sakana Japanese Diningさんである。


今回はこの「Wagyu Jewelry Box」の魅力について全力で語ってみたい。


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1:そもそもちらし寿司をなぜ「jewelry box」 というのか

正直申しましてSushiは世界中でどのタイプの寿司も「Sushi」だと思ってた。東南アジアのラグジュアリーな日本料理店でちらし寿司やバラちらしのことを「jewelry box」と呼ぶことを知ったのは実は最近。なんでやろって思って英語でいくつか検索してみる。英語表現で多かったのが

 it’s a jewelry box of sliced fish or a compact tin of grilled meats, vegetables, and rice

「魚の切り身、焼いた肉や野菜、ご飯が入った宝石箱のようなお弁当」という表現が数多くみられた。それはおそらく「1つの箱に美しく様々な食材が盛り付けられた様がまさに「宝石箱」と呼ばれる由来」なのだろう。つまり、彦摩呂さんは世界レベルであったということだ。


確かに、日式の弁当の美しさは各国の料理の盛り付けに多大な影響を与えていると思う。さて、ではこのWagyu Jewelry Boxに向き合ってみよう。


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まず箱である。今回の金の紙の箱の手触りがとても「木」を感じさせる。この箱の感触は。。。どこかで触ったことがある。


思い出した。歌舞伎座だ。


歌舞伎座で購入したお弁当や甘味の包装でこのような手触りを覚えている。それを思い出すと気持ちが江戸時代に飛んでいく。


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蓋を開けると思わず声が上がる。なんて美しいのだろう。ちなみにちらし寿司は冷蔵庫の保存をする必要はないそうだ。確かに江戸時代の寿司屋に冷蔵庫はなかった。江戸前の寿司屋として思い出されるのは義経千本桜の三段目「すし屋」。

ここで重要な登場人物である権太が持っている寿司桶は吉野川で捕れた鮎を使った熟れ寿司(なれずし)を作るために使われているもの。なれ鮨は江戸前の握り鮨ができる前の主流であった。


と、ここまでは知っていたのだけど驚いたのはここ。



なれずしは日本古来唯一のものだと思っていたら、どうもそうではないらしい。(以下上記ウキペディアからの引用)


魚肉の貯蔵形態としてのなれずし(鮓)は東南アジアや中国南部に点々と見られる。中国では鮓(サ)、台湾の高砂族ではトマメ、トワメ、カンボジアではファーク (phaak)、タイではプラ・ハー、プラ・ラー、プラー・ソム、ボルネオのイバン族ではカサム (kassam)、陸ダヤク族ではトバ (tobah) と呼ばれる。この他にもラオスやフィリピン・ルソン島の一部、中国南部の苗族などのものが知られている。

そして

なれずしは魚に限った料理ではなく、中国南部やラオスではブタ肉を用いたなれずしがある


つまり、鮨の先祖のなれずしは魚だけでなく肉の方向にも発展していったのだ。よって寿司に魚以外のものが共存できるのは当然のことなのだ。だって元の先祖が一緒なんだもの。特に日本以外の肉が主に食事で食べられていた地域の保存手段としてなれずしは既に受け入れられていた。そうなるとなれずしから握り寿司が育ったように、なれずしから肉が鮨に順応できるのは納得がいく。


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Wagyu Jewelry Boxには「徳島牛のA5 サーロイン」が入っている。A5というのは(社)日本食肉格付協会によって付けられている格付のこと。歩留まり等級(5−1、5が最高)と肉質等級(ABC、Aが最高)に分類されていている。

つまりA5というのは「最高ランク」なのである!このような最高ランクの牛肉がこの混乱のマレーシアにどんな経緯でやってきたのかと考えると涙が溢れる。


久々にとろける牛肉を頂いた。彦摩呂さんのように叫びたくなった。


今まで私の知ってる「ばらちらし」には肉は入っていなかった。sioの鳥羽さんもお肉が入っている重要性について上述のnoteで触れている。確かに味がとても広範囲に広がっていく感じがする。そしてその共存には確実な歴史があるということで共存の親和性に深く納得した。


2:見た目の美しさを日常から拾い上げる

この美しい「Wagyu Jewelry Box」において1つ気が付いた点がある。それは「お花入っとるやん」である。

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これは「エディブルフラワー」と言っていわゆる「食べられる花」である。


実はこのエディブルフラワー、マレーシアの大きめのスーパーでは結構見かける。そのほかタイ料理やインドネシア料理でもよく見かける美しいアクセントである。


この美しいアクセントが本来日本から来たばらちらしと融合することにより、その土地で感じる美しさと舶来の美しさが融合する。これは日本人以外にもとても魅力的に映るだろう。


3:そのままの温度で楽しめる愛しさと切なさと心強さと

美しいのに力強い、篠原涼子さん素敵。


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今回は「バラちらし」も頂いてみた。こちらは海鮮のみ。それにしても美しい。美しすぎる。ちなみに酢飯はお店で食べる方が少なめ。ここにも工夫を感じる。一つ一つの構成に愛しさを感じる。


ちらし寿司の素晴らしいところは「常温で数時間保管できる」ことだ。そして「jewelry box」と呼ばれるように弁当箱に入っているのでそのまま食することができることも素晴らしい。本当に心強い。


マレーシアでは現在「ラマダン」というイスラム教の断食の時期。

日中イスラム教の方は断食を行う。そのためにお仕事どころではない人もいる。つまり日中、時間によっては宅配ドライバーが本当に少ない。MCOと呼ばれるロックダウン故、外食産業は店舗に買いに来てもらう以外は宅配をお願いするしかないが、買ってもドライバーがいない状況なのである。


私はなるべくピークの時間をずらして注文をお願いしている。昼食の配達が終わった午後2時くらいの時間はちょうどドライバーさんもお手隙の人が多い。仕事を終える前にもうひと働きしてもいいかなっていう人が見つかる可能性が高い。ただ、ドライバーが見つかるまでは本当に切ない気持ちになる。私には個人的な信仰はないけど神に祈りたくなる。

まあ見つかればなんとかなる。そして私は大同電鍋マニアなので家で美味しく再加熱することも思いのままである。調理家電で加熱に関しては別のnoteにまとめたい。


ちらし寿司の場合は再加熱のような一手間が必要ない。おやつのじかん前後に受け取った後、台所のすみに置いておくだけでいいのだ。そして夕ご飯の時間になったら温め直しすることなくそのまま食すのが一番美味しいのだ。


ちらし寿司って作る側、運ぶ側、食べる側みんなに優しいのだ。最高ではないか。


ロックダウンの中、多くの人が本当にイラッとする中、根本こそ見つめ直す必要がある。根本とは何か、それは「体と文化」である。人は体で出来ている(当たり前か)。そして人が人であるのはそこに「文化を構築するから」。文化はどうやって作られるか。文化は健全なる体の上に思考が確変して文化が生まれる。その思考の確変を行う際には健全なる体、思考を作るための美味しい食事は不可欠だ。


そして美味しい食事とは何か。食する前に食事争いや厳しい局面が待ち受けている場合はたとえ食事そのものが美味しかったとしても「健全なる体、思考を作るための食事」にたどり着けない。争い事があったり、長々と待たされたり、食するまでにふた手間どころか何手間もあるともう食事に到達するだけで疲れてしまうからだ。それでは、作る側、食べる側、双方が、悲しい。切ない。


しかし安心してほしい。宅配において到達までの道のり関わる全ての人が笑顔でいられる食事、それはばらちらし、「jewelry box」だ。宅配で笑顔で食事を楽しみたかったらちらし寿司をオフピーク時間に注文したら幸せだ。


そしてこの「jewelry box」を食することで文化を体内に取り込む際、文化と歴史を再考する機会に恵まれる。今回のロックダウンにおいて「義経千本桜」の話をマレーシアで家族と語り合いながらちらし寿司を食べることになるとは想像していなかった。

ちなみに義経千本桜は4段目の「河連館(四の切)は本当にオススメ。絵本も出てます。


このように1つのお弁当から文化や芸術について話し合うことは本当に身も心も豊かになる。そしてそのお弁当が生まれる背景や関わってくれている人に想いを馳せることで世界が多面的になる。グローバルだ社会性だと求められることが多くなった昨今だがそれは別に1つのお弁当からでも学べるのである。


本当に美味しゅうございました。

KL在住で注文したい方はSamana Japanese Diningさんに詳細お問い合わせくださいな。元気もらえますよ。