タロットプロットをやってみる(6

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 テーマ。間抜けな顔をした月までジャックと豆の木のようなツタが伸びている。空は紫色である。その逆位置。月から伸びてきていると解釈。「未知の場所から何かが触手を伸ばしてきている」

 主人公。街角を歩く豊かな髭の紳士。しかし、おかしなことに実体が影になり、影が実態になっている。「見えない部分が本質で、自分を偽っている」

 過去。太陽と月が仲睦まじそうにしている。太陽の光、トゲのような表現が月とは反対の方に伸びている。時間は夜なのか、宇宙空間なのか。その逆位置。「寄り添う伴侶がいなくて苦労していた」

 現在。車を跨いで余りあるほどの巨大な白馬に女性が乗っている。渋滞して車でいっぱいの道路を車と車の間に足を差し入れて悠々歩いて通っている。その逆位置。「渋滞に巻き込まれるように停止を余儀なくされている」

 未来。錆びているのか、それとも銅製なのか、配管が縦横に走っている空間。その配管の上をウサギが走っている。とても急いでいる風だ。その逆位置。「急いで働く必要はない生活」

 欲望。夜の森をとても高い竹馬で渡る。木々よりも高い位置をおしゃれな格好をした少女が。スカートから提灯が下がり、周りを光る手袋が飛んでいる。なんじゃこりゃ。その逆位置。「1人だけ安全なことをしたい願望、そのことをやっかまれても」

 敵対者。枝の間に都市の乗った大樹を光るのこぎりが切ろうとしている。もうすでにかなり深くまでのこぎりは食い込んでいる。その逆位置。「大事なコミュニティを壊そうとしている敵対者だが、まだ計画段階」

 援助者。まだまだ小さな幼木を紫色の幽霊が寄ってたかって品評するかのようにいろいろな表情を見せている。真っ暗な空間。その逆位置。「興味本位でなく覚悟を持って集った集団」

 試練。メリーゴーランドから一頭の白馬が脱出して空へ飛んでいっている。しかしその体にはポールが突き刺さったままだ。その逆位置。「集団から追い出されても体にはその証が刻まれている。

 葛藤。ムービーフィルムがクリーム色の空間で宙に浮いて回廊のように続いており、その上をムービースターが歩いている。しかしその数は多くはない。キングコングに、着飾った男女に、エイリアンに、それから先頭には囚人服に足かせと重りのスキンヘッド。彼は浮かない顔だ。「実力が伴わないのに責任ある道に拘束される苦しさ」

 結末:ファンタジーな世界観、火を噴くレッドドラゴンと海では帆船を引き摺り込むクラーケン。その逆位置。「極めて現実的な結末」

 まとめる。

テーマ:「未知の場所から何かが触手を伸ばしてきている」

主人公:「見えない部分が本質で、自分を偽っている」

過去:「寄り添う伴侶がいなくて苦労していた」

現在:「渋滞に巻き込まれるように停止を余儀なくされている」

未来:「急いで働く必要はない生活」

欲望:「1人だけ安全なことをしたい願望、そのことをやっかまれても」

敵対者:「大事なコミュニティを壊そうとしている敵対者だが、まだ計画段階」

援助者:「興味本位でなく覚悟を持って集った集団」

試練:「集団から追い出されても体にはその証が刻まれている。

葛藤:「実力が伴わないのに責任ある道に拘束される苦しさ」

結末:「極めて現実的な結末」

 未知の脅威が迫っている状況。本当の自分を決して晒すことがない責任ある立場の主人公は、熱心に自分を慕ってくれる仲間がいても自分だけ脅威から逃げていい思いをしようとしていた。かつては一人で脅威に対処してきた自負がある。しかしもういい、自分に実力などなかったのだ。そう思っている。しかし主人公の力もあって、現在は状況は停滞している。触手を伸ばしてきている敵対者の姿はまだわからない。しかしそんな中、本当の考えが露見し、コミュニティから追い出されてしまう。ことここに至ってコミュニティへの帰属意識を開花させた主人公は、本気を出すことで脅威を退け、悠々自適の重責のない生活を手に入れる。明らかになった敵対者の正体はつまらない存在だった。

 なんとなくいいものではないだろうか? 手を加えさえすれば。手を加えればなかなか面白くなりそうである。こういうものがたまに手に入るからタロットプロットは面白い。

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