精巧 市場連動生産ストーリー(9)
売れ残り在庫ゼロ、キャッシュフロー重視で実現するアパレル市場連動生産のススメ
こんにちは、近江です。
タイトルをお読みになって驚かれた方もいらっしゃったかも知れません。
◆従来のアパレル生産と課題
アパレル製品を生産するには・・・
6カ月前から企画をスタートし、3カ月前には売り切れるかどうかわからない量の見込み生産を始め、製品納品後、翌月末に代金を支払うケースが一般的です。
抱えた在庫は約3ヶ月のシーズン販売期間で販売して売上回収しますが、3か月以上前の予測に基づく見込み生産なので、売れ残るのも当然です。
たとえ、海外生産で安くつくったとしても、大量の売れ残り在庫が稼いだ利益を圧迫し、資金繰りが多忙になる。
長年、アパレル業界ではそんな会社をたくさん見てきたものでした。
◆常識やぶりの精巧の市場連動生産
図は一般的なアパレル商品企画開始からシーズン販売終了までの流れです。
この中で、時間やトラブルが起きやすい、いわゆるボトルネックと言われるプロセスは、
②の試作品確認が思うように進まず、想定以上に時間がかかること、
④の素材調達に最も時間がかかること、
⑤の工場投入時に資材が揃わないこと、そして
⑪販売しても思うように売れず、余剰在庫を抱えること
の4つです。
また、アパレル在庫最適化の専門家であり、「ユニクロ対ZARA」の著者でもある齊藤孝浩氏によれば、売れ残り在庫の大きな原因は
過剰生産
納期おくれ
不人気色のつくり過ぎ
の3つだそうです。
当社では、これらのボトルネックを解消し、売れ残り在庫の原因を回避することで、お取引先の在庫リスクを劇的に軽減することが可能な手法を持っています。
それがアパレル市場連動生産です。
◆アパレル市場連動生産のポイント
お客様がデザインされた試作品確認においては、工場生産と連動した最新の3D CADを活用することで、費用と時間を大幅に短縮することが可能です。
精度の高い3Dグラフィックのため、費用と時間のかかる従来のサンプル作成を一切行わず、グラフィックのみでEC予約販売し、受注生産をしているお取引先もあります。
素材調達については、当社の本社がある東京都墨田区は昔からカットソー(メリヤス)産地として知られていました。
今でも、素材調達には地の利があります。提携先の素材サプライヤーが染色前、染色済みの生地在庫を備蓄しており、その中から素材を選んでいただければ、すぐに製品の生産にかかることができます。
スピード生産ができるのは、国内に自社工場を持っているからです。自社工場(千葉県)は本社とリアルタイムの進捗管理が出来ています。
そして、これまでお話しして来たように、トヨタ生産システムは、多くの工場が行っているような大量生産方式ではなく、1着ずつ完成させて行く、少量生産に適した生産方式です。そのため、スピード生産ながら、コストが上がらず、頭出し(納品スタート)も速いため、早く販売をスタートしたいという要望にもかなうのです。
デザイン仕様の確認が済み、素材や資材さえ用意出来ていれば、最低ロットから生産が可能です。
これは初回生産についても、追加生産についても同様です。
当社としては、素材調達の制約で用意した素材さえ製品化(違うデザインでも可)、あるいは最終的に原料の状態でお引き取り頂ければ、小ロット生産の繰り返しでも対応可能です。
◆アパレルビジネスは予測の難しいビジネス
アパレルビジネスは地球温暖化、海外生産の地政学的なリスク、流行や需要の変化など予測が外れがちなビジネスです。
たとえ一時的には当たっても、規模が大きくなるにつれて、過剰に在庫を抱えてしまうことも少なくありません。
長年このビジネスにたずさわっていて言えるのは、無理なく、在庫リスクを最小限に始め、実際の需要の手ごたえを感じた時から、つくり足して行く方法が間違いないということです。
◆受注生産で無在庫、キャッシュフロー経営も
更に、EC販売であれば、完全受注生産も可能です。既述のように、3Dグラフィックのみ、あるいは、各色1点ずつのサンプル作成で販売をスタートし、一緒に素材の準備をしておけば、受注生産で翌月回収された代金の中からお支払い頂ければ、当社としては十分です。
従来のアパレル生産のリードタイムと市場連動生産をフル活用した場合の違いを比較したのが、下図です。
メリットは明らかかと思います。
無理することなく、新しい切り口のアパレルブランドを立ち上げたい、思いを込めたサステナブルなアパレル商品を販売したい、そんな思いをお持ちの方は是非ご相談ください。
市場連動生産ストーリーは、今回で終了となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も不定期で更新していきますので、よろしくお願いします。
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