「腓骨神経麻痺」#書く習慣140
日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
今日は腓骨神経麻痺についてまとめていきたいと思います。
腓骨神経麻痺とは
・腓骨頭部(膝外側)の外部からの圧迫により生じるものです。下肢の牽引などで仰向けに寝た姿勢が続いたり、ギプス固定をしているときに、腓骨頭部が後ろから圧迫されると起こります。(*7)
・下腿の外側から足背ならびに第5趾を除いた足趾背側にかけて感覚が障害され、痺れたり触った感じが鈍くなります。足首(足関節)と足指(趾)が背屈が出来なくなり、下垂足(drop foot)になります(*7)
腓骨神経の解剖
・坐骨神経のハムストリングス下方より脛骨神経と総腓骨神経に分岐する
・腓骨頭部において総腓骨神経は深層の深腓骨神経と浅層の浅腓骨神経に分離することが確認できた(*2)
・腓骨頭尖部において腓骨神経は腓腹筋外側頭より外側を走行するため腓骨と腓骨神経が密接していた(*2)
・腓骨頭の下を回って、筋の中、あるいは筋の下を通って出る
・浅腓骨神経が外側、深腓骨神経が内側を通過する
・浅、深腓骨神経の分岐部は腱状のバンドで抑えられている
腓骨神経麻痺の原因
腓骨神経の役割
・歩行における腓骨神経支配筋群の機能的役割は、遊脚相において円滑な推進を果たすために、地面から足趾をクリアさせる事と、緩衝を果たすために、踵接地を行い、更に踵接地から足底接地にかけて足関節底屈力を減速させる事(*1)
・下肢外旋位による腓骨部の圧迫が原因 であり,発生率は 0.35-0.75%と報告がある(*4)
修復の過程
・表面からは損傷の程度が分かりにくい上に神経の回復は1日1mmといわれており、手術に踏み切るか経過観察をするかの判断がつきにくいのが現状(*3)
・一般的には約6ヶ月の経過観察の後、回復の徴候がみられない場合に観血的治療が適応になる。しかし、長期の脱神経状態(denervation)により術後回復が困難であるケースも多い。(*3)
・損傷からの時間が経過するにつれワーラー変性が進行し、重度損傷である場合は神経の再生が起こることなく神経細胞は破壊していく。このことより、損傷の原因除去が早ければ早いほど回復の可能性が広がると言える。(*3)
治療
・廃用性筋萎縮予防の為、低周波を用い腓骨神経と前脛骨筋に通電した。筋の変性反応生じ通電による筋収縮得られなかったが継続し経過観察した。歩行時シューホーン装着にて鶏歩は改善した。(*3)
参考文献
*1:認知運動療法を実施した腓骨神経麻痺の一例
*2:TKA直後に生じた一過性腓骨神経麻痺の症例報告
*3:腓骨神経麻痺を呈し観血的治療に至った症例
( https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2006/0/2006_0_9/_article/-char/ja )
*4:当院における下肢外旋による周術期腓骨神経麻痺予防の工夫
*5:下垂足における電気生理学的検討
*6:TKA術後のfabellaが原因と思われる腓骨神経麻痺の1例
*7:日本整形外科「腓骨神経麻痺」
( https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/peroneal_nerve_palsy.html )