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「足関節の底屈制限(まとめ篇)」#書く習慣51

日々の臨床お疲れ様です。TROT(トロット)です。
今朝はマリコさんの朝ヨガを行いました。少しの時間でも動かさないよりは気分がいいですね。



本日は以前4つの記事に分けてお話しした「足関節底屈制限」についてまとめていきたいと思います。
ただし、皮膚は治療対象の深さが異なるので割愛いたします。

以前の記事はこちら



まずは自分の治療対象がどこにあるのかをはっきりさせる必要がある。

今回対応が可能と思われる部分は赤黄青で囲われた部分が治療対象となる。(皮膚は深度が異なるため割愛)

赤は筋肉性拘縮、黄色は伸筋支帯性拘縮、青は脂肪組織性拘縮


ちなみに、底屈を阻害する要因は以下4つが存在します。

 ①前方軟部組織の問題(★最も多い)

 ②術後早期の炎症組織の腫脹や関節周辺浮腫の問題

 ③足関節底屈筋の収縮不全(底屈ラグ)の問題

 ④後方インピンジメントに起因した疼痛の問題


つまり何が言いたいかというと、今回のnoteで足関節前方軟部組織の硬さによる底屈制限については大まかに網羅できそうだということです

それでは一つずつ分解していきます。


伸筋支帯性拘縮



・伸筋支帯は、下腿遠位部から距腿関節前方に張る深筋膜組織である

距腿関節の位置で上下の伸筋支帯に分けられる

(脛骨遠位端前縁を上伸筋支帯、内果前縁を下伸筋支帯として区別する)

・伸筋支帯内で癒着すると…

 ①腱の腫脹により局所内圧が上昇し腱の滑走性(特にTA)が制限される

 ②滑走性低下により底屈時に伸張痛やROM制限を引き起こす

  ※伸長痛:底屈による背屈筋群の骨からの浮き上がりにより生じる
       伸筋支帯の伸長が癒着部位に作用したことによる

・癒着の好発部位

 ①支帯が付着する脛骨遠位部前縁から脛骨内果の部位

 ②支帯が付着する腓骨遠位部前縁から腓骨外果の部位


・エコー下での支帯の動き

 ①健側

  TAの収縮により上伸筋支帯が持ち上げられる

  付着する脛骨遠位部前縁の深層では伸筋支帯と脛骨との間隙が広がる


 ②患側


  脛骨と伸筋支帯間の癒着により伸筋支帯の走行がたわむ

  付着する脛骨遠位部前縁の深層では伸筋支帯と脛骨との間隙が減少する


・運動療法

 ①徒手操作

  腱の圧排による短軸操作により伸筋支帯の伸長および、骨との間を開大させる


 ②背屈筋の運動


  背屈筋群の自動運動により腱を浮き上がらせ、滑走性を改善する

  内側 TA:足趾屈曲+足部回外+背屈運動

     EHL:母趾伸展+背屈運動

  外側 EDL、第3腓骨筋:足趾伸展+足部回内+背屈運動


 ③関節運動による伸長操作

  内側の柔軟性:底屈運動+踵骨及び中足部から遠位の回内

  外側の柔軟性:底屈運動+踵骨及び中足部から遠位の回外


筋肉性拘縮



底屈の制限因子の対象となる背屈筋群は以下4つ。

該当筋の伸長制限、滑走障害を評価するために該当筋を遠位に誘導した際に
可動域が増大することを必ず確認する。


①前脛骨筋

 滑走:下腿遠位部で骨膜上を滑走するためその部分に剪断力を加える操作が必要

 伸長:足関節底屈+足部回内運動

 収縮:足趾屈曲位+足関節背屈


②長母趾伸筋

 滑走:下腿遠位部で脛骨上を滑走するためその部分に剪断力を加える操作が必要
   (脂肪組織も同時に行う)

 伸長:足関節底屈+足部回外+第1趾の屈曲

 収縮:足関節背屈+足部回内+第1趾の伸展


③長趾伸筋

伸長:足関節の底屈+足部の回外+第2〜5趾の屈曲

収縮:足関節の背屈+足部の回内+第2〜5趾の伸展


④第3腓骨筋

滑走:脛骨前縁上を滑走するためその部分に剪断力を加える(EHLと同時に行う)

伸長:足関節の底屈+足部の回外

収縮:腱の付着部(第5中足骨)を操作し足関節背屈+足部の回内


脂肪組織性拘縮



・脂肪組織の役割は2つ

 ①血管や神経の保護

 ②筋膜や腱膜の滑走性を高める


・足関節前方に存在する脂肪組織は2つ

 ①包外脂肪組織

  関節包外で伸筋支帯内に存在

  距腿関節の動きだけでなく筋運動で柔軟性を発揮する

 ②包内脂肪組織

  関節包内かつ滑膜外にある脂肪組織

  距腿関節運動で柔軟性を発揮する

・エコー下での動き

 ①矢状面(長軸)

  ⑴底屈時

   包内脂肪組織は距骨滑車により潰される

   包外脂肪組織は背屈筋群の遠位滑走に伴い押しつぶされる


  ⑵背屈時

   包内脂肪組織は深層へ引かれるように広がる

   包外脂肪組織は背屈筋群の近位滑走に伴い引き出されながら広がる
 ②横断面(短軸)

  ⑴下腿遠位部前方より観察

   底屈により包外脂肪組織は押し潰される

   背屈により包外脂肪組織は表層に引き上げられる


  ⑵距腿関節前方より観察

   底屈時…

    包外脂肪組織は押し潰される

    包内脂肪組織は関節の形態変化に合わせて潰される

   背屈時…

    包外脂肪組織は表層に引き上げられる

    包内脂肪組織は深層へ引かれる

    背屈筋群の浮き上がりにより脂肪組織はともに表層に引き上げられる
 ③足趾屈伸と脂肪組織

  ⑴下腿遠位部前方より観察

   足趾の屈曲により脂肪組織がTAの深層へ移動する

   足趾の伸展により脂肪組織がEHLやEDLの深層へ移動する


  ⑵距腿関節前方より観察

   足趾の屈曲により脂肪組織が潰される

   足趾の伸展により脂肪組織が広がる


・脂肪組織の評価

 足関節背屈、足趾伸展位で健側と比較し沈み込みが少ない場合柔軟性の低下を疑う

・運動療法

 ①引き出し療法

  背屈時の伸筋支帯の浮き上がりを利用して脂肪組織を引き出す

  足関節底屈から足関節背屈+足趾屈曲でTAを活動させる

 ②徒手療法

  下腿遠位部前方から距腿関節前方に位置する脂肪組織が治療対象

  足関節背屈位にて緩めた状態で脂肪組織自体の可動性を引き出す



大体こんな感じでしょうか?
明日は雪みたいなのでみなさん通勤にお気をつけください!

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