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「膝関節の運動学」#書く習慣24

膝OA患者と健常者の歩行データから得られた知見をもとに、膝関節の運動学についてまとめていく。

本日も参考にさせていただいた資料はこちらです。




膝の屈伸角度


このグラフは膝OA患者と健常者の歩行立脚相の膝関節屈曲・伸展角度を比較したものです。

歩行立脚相の膝関節伸展・屈曲角度


こちらのグラフからわかることとして…


初期接地(IC)

 健常者は伸展0°に近い状態で接地する

 膝OAでは軽度屈曲位で接地する


荷重応答期(LR)

 健常者は少し屈曲する

 膝OAでは初期接地(IC)が屈曲位なので、それほど角度を変えない


荷重応答期(LR)以後


・健常者は…

 荷重応答期で屈曲した後に、徐々に進展し立脚終期(TSt)までに
 しっかりと伸展してから前遊脚期(PSw)で屈曲
に転じる


・膝OAでは

 立脚終期(TSt)で膝関節がそれほど伸展しないため
 ステップ長が十分確保されない


( こまつようすけさんのnote )より引用


要するに!

膝OA患者では歩行時に常に膝が軽度屈曲位のままで歩行しているということ!


KL Grade別の特徴

再生医療のひざ関節症クリニック )より引用



・GradeⅣの膝OAでは屈曲位で初期接地(IC)をしてから前遊脚期(PSw)までの間、ほとんど膝関節の角度を変えず、屈曲位のままで立脚している

・膝OA患者ではGradeが上がるほど、以下の3つの特徴が生じる

屈曲位で接地」

立脚終期(TSt)の正常な伸展が得られず、効果的な推進ができない」

正常なダブルニーアクションが消失し、常に屈曲位の立脚」


ここで重要なこととして…

・膝OA患者が初期接地(IC)の時に膝がなぜ伸びないかというと屈曲拘縮があるからだけではない

・GradeⅡで屈曲拘縮がない患者でも膝を曲げて接地する

・痛みに対しての逃避反応なのか、別の機能低下によるものかはわかっていない

・データをとると他動では伸びても歩行時には膝が曲がった踵接地をすることがわかっている

・膝OAに限らず、高齢者の多くは膝屈曲位で踵接地する

・骨盤後傾アライメント変化、大腿四頭筋が急速に収縮できないことへの代償運動などが関与しているのでは?

・こうしたことから膝OAには骨盤を含む体幹についても着目する必要がある


屈曲伸展モーメント


このグラフは膝OA患者と健常者の歩行立脚相の膝関節屈曲・伸展モーメントを比較したものです。

・モーメントとは…

(説明しようと思ったのですがこの方のサイトが非常にわかりやすかったので、こちらをみていただくといいと思いますw)


こちらのグラフからわかることとして…


・健常者と比較し、膝OA患者でGradeを問わず立脚前半相に生じる伸展モーメントが小さくなっている

・膝関節痛患者の特徴として、伸展モーメントが小さくなることがあるが膝OA患者でも同様である

・伸展モーメントが小さくなる要因として…

 ①推進力がないため反対側からスムーズな体重移動が得られないこと

 ②立脚初期の外反モーメント(KAM)や疼痛を少なくするために踏み込み動作を逃避すること

 ③正常な踵接地(床面に対し背屈位で踵外側からの接地)が生じないこと



以上が膝の屈伸に伴う運動学を角度とモーメントから見たものになります。

 膝OA患者は歩行時に常に膝を曲げて歩いていて…

 そのためうまく推進力が生まれなくて…

 そのせいで膝の伸展モーメントが減少して…

 その原因は体幹にもあるかもしれなくて…


なんて話をまとめてみました。


モーメントとか言われるとどうしても苦手意識が先行してしまいますが、あくまで臨床に応用できるレベルに話をかいつまんで吸収していきたいと思います。

自分の咀嚼できる大きさで頑張ります。

明日は診療後に2時間、リハビリ科で勉強会を行う予定です。たのしみ :)