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【総論】ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基礎知識

EBMが全盛の昨今に感覚に依存するハンドリングスキルの取得することは、ある意味で時代に逆行するものかもしれません。数値化できないハンドリングは根拠の提示の仕方が難しいです。

私が考えるハンドリングの根拠とは、実践と観察から得られたものです。自然科学では、計算で求めることが可能で同様の現象が実際に実験で観察できたのであれば、「わかった」と考えると聞きます。なぜA=Bなのか、ではなぜB=Cなのかと考えを進めてもイタチごっこになります。

ハンドリングの根拠は自然科学の考え方に近いです。「こうやってやったらうまくいく、患者の状態が改善する」これが根拠です。

この根拠の問題点は、ある程度の理解に辿り着くまで「適切な方向性」を見つけることがかなり難しいことです。感覚的なハンドリングを指南してくれる参考書もありません。

このマガジンでは、自然科学としてのハンドリングスキルを高めるために必要な一つの方向性を示し、私が臨床的に経験してきたスキルアップに必要な知見を解説します。

7つの基礎知識としてまとめたので、この記事では総論として全体像を解説します。

♦︎固有感覚を使い、姿勢依存性に注意しよう

👇に各論の記事のリンクを置いておきます。

ハンドリング場面では、セラピストの自身の身体をセンサーにする必要があります。そのセンサーは固有感覚を利用することです。

身体の向きや姿勢、手の触れている部位、筋の反応など、自分の身体がどうなっているのか・どんな反応をしているのかが正確な情報収集をするために必要です。

また、センサーの誤作動を防ぐためには、姿勢依存性に注意する必要があります。肘や肩、手関節の角度が変化すると脳からの求心性の情報にも変化があります。

触れる度にセラピストの上肢の角度が変化すると、固有感覚の情報のやり取りに再現性が得られなくなる可能性があるので、認識しておくべきです。

♦︎ハンドリングは治療者と患者の身体が等速運動することである

各論は👇の記事を参照ください。

世の中は、物理の法則で成り立ってます。セラピストが患者の身体を持ち他動的に動かとき、ある物理法則に注目する必要があります。

それが、慣性の法則です。

感性の法則を正しく理解するには「等速運動」を考える必要があります。この辺りは各論の記事に参考にさせて頂いたyoutube動画を貼ってありますので、確認してみてください。

セラピストと患者の身体に加速度は発生せず等速運動になることがハンドリングとして重要です。

♦︎力の入力とその反発を感じ取る手の使い方

各論は👇の記事を参照してください。

一つ前のでは、慣性の法則を紹介しましたがここでは作用ー反作用の法則を紹介します。セラピストが患者に触れるということは、そこに力が発生します。

力とはベクトルで表現できるのですが、力が発生すると真逆の方向に反発の力が発生するのが作用ー反作用の法則です。

つまり、セラピストが触れたり押したりすると、患者の身体から同程度の力が返ってくることを示してます。この反発が時に適切に返ってこない場合があったります。このベクトルの変化を感じ取ることが必要です。

♦︎関節運動や骨の動きは、ベクトルで整理すべし

各論は👇の記事を参照してください。

繰り返しですが、地球上にあるすべての物体は物理学で動いています。理学・作業療法の世界では一般的なものに運動学がありますが、実はこれは真理ではありません。

関節の運動が人間が観察しやすい方法で実験した結果の産物です。運動学を否定したいのではありません。人間の動きを理解するためには、物理学を考える必要があります。

その中で、物体が動くということは、「移動」と「回転」で表現されます。この移動と回転を使って関節運動を理解すると普段の関節可動域評価や訓練の違和感に気が付くことができるでしょう。

♦︎骨の動きを正確に感じ取るための手の使い方

各論は👇の記事を参照してください。

ハンドリング中にリアルタイムに骨の動きを追従したり、変化を感じることは重要です。変化をキャッチアップするためには、触れ方を意図的にコントロールする必要があります。

その方法が、セラピスト自身の骨と患者の骨などを平行に当てることです。

骨どうしが平行にあたっていると、セラピストと患者間には等価の関係になります。患者の骨がズレると等価の関係が崩れます。この崩れはセラピストの違和感となって感じられます。

♦︎関節可動域と軟部組織の関係

各論は👇の記事を参照ください。

一般的に、関節可動域は「どのくらい動いたか」を判断するために行われます。この数値化された関節可動域は状態把握や改善度の客観的な把握には有効です。

しかし、関節可動域は患者自身の満足度や「楽さ」と数値にズレが生じることが多いです。数値だけ見れば状態がいいように思うけど、患者の主観的には痛いとか硬い感じがするといった状況です。

このあたりの理解に軟部組織の張力が重要で、これは戻る時に大きな影響を及ぼします。つまり、関節可動域は戻すときの反応や状態を見ることが重要になることがわかります。

♦︎セラピストの姿勢と動き方に注意しよう

各論は👇の記事を参照ください。

ハンドリングの実践において、患者の身体がどのように動くかを確認することが重要な目的を持ちます。患者の状態を把握することに集中すると、ある問題がおきます。

それが、セラピストの姿勢と身体の使い方です。

ハンドリングにおいては、セラピスト自身の姿勢と身体の使い方に問題が起こると、ハンドリングで得られた感覚の信頼性が大きく損なわれます。


この記事では、ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基礎知識を解説しました。これらの内容を少しずつ意識できるとかなりハンドリングの解像度が上がってきます。

これまでわからなかったことも理解できるようになってきます。ぜひ実践してみてください。

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