初めての書籍『ウェブデザインの思考法』が発売されました!
この度、初めて執筆した書籍がマイナビ出版社より出版されることとなりました!
コリスさんにもたっぷり紹介いただいています!ありがとうございます。
今回は、こちらに本書籍の内容と、執筆に至るまでの背景について書いてみたいと思います。
デザインにまつわるノウハウ本は多くあるが、ウェブデザインの定義について言語化したガイドブックが不在である
デザインのノウハウ集やTipsを集めた書籍はわりとあります。例えば代表的なのはこのあたり。
私も熟読しました、ありがとうございます。
ただこの本もそうなんですが、どうしても「デザイン」全般において語られた書籍が多く、こと「ウェブデザイン」において体系化された、本質的な定義がまとまった内容はというと、なかなかふさわしいものが見当たらないのが実情です。もちろんいくつか良書はありますが、もう少し実務寄りだったり、実装・開発寄りの内容であることが多いように思います (もちろんそれらの書籍を元に学習すること自体は大変有意義なことです)。
例えば「パスタを茹でるときに塩を一つまみお湯に入れましょう」といったアドバイス・ノウハウがあります。確かにその通りやれば美味しくなるんですが、そもそもその美味しいパスタの定義、そして塩を一つまみする行為がその美味しさにどのように寄与しているのか、なかなか我々は理解・認識できていないですよね。
同様に、そもそもウェブのビジュアルデザイン作業とは何をどうすることなのか、ウェブデザインの「品質」「理想」って何なのか、どこかで一度整理し体系化する必要があるのではないか。現状のウェブデザインの品質やアートディレクションはどこか属人的であり、発注者がウェブデザインに対して正しい評価を下せていないのではないか......、という私自身の反省と問題意識が、このような書籍を執筆するに至ったきっかけです。
機能性と情緒性ウェブデザインとは何か、言語化し体系化したい
そのような背景から本書籍ではウェブデザインとは何か、言語化し体系化するに至るのですが、その過程において本書の大きなキーワードとなるのが「機能性」と「情緒性」という概念です。
例えばスタバの紙コップ。飲みやすく持ちやすくなっている一方で、外観はおしゃれでスマートです。例えば自動車のデザイン。より早くより安全であるように設計されていますが、同時にエクステリア・インテリアは高級感やスポーティを感じられるよう演出されています。
このようにデザインとはより分かりやすくさせる・便利にさせる機能性と、それに触れたユーザの感情に訴え何かしらの機微や印象をあたえる情緒性があるのではないか、これをウェブに応用し体系化したらどうか.....、と考えたのが本書籍の大きな特徴です。
この機能性と情緒性ですが、本書ではそれぞれさらに細かくいくつかの項目にわけて定義しています。例えば機能性であれば見やすくするための「誘目性・視認性の向上」、使いやすくするための「操作性の実現・向上」など。
一方、情緒性ですが、その中身を「装飾性」「成熟度」「態度」「愛嬌」「品性」「温度感」の6つの軸に細分化して解説・定義しています。
これ6つの軸はステレオのインジケーターのようなもので、それぞれの項目において左右どちらかに目盛りの量をあげていくことで、適切な情緒性は獲得することできます。例えば「装飾性」を減らすと「シンプル」というトーンになり、「装飾性」を増やすと「デコラティブ」というトーンになる、「成熟度」を減らすと「若々しい」というトーンになり、「成熟度」を増やすと「円熟した」というトーンになる......、といった具合です。
このようにデザインの情緒性とは、6つの軸を操作し獲得することで得られる、デザインのトーンのイコライザーであると本書では解説しています。
それによりウェブデザインにおける共通言語を確立し、デザインにおけるコミュニケーションの円滑を目指す。
このような形で本書では「機能性」と「情緒性」を中心にウェブデザインを定義し、またこのロジックを具体的なプロジェクトのウェブデザインのコンセプト立案にどのように活用していくのか、その流れを詳しく紹介しています。
曖昧になっていたウェブデザインの全貌を体系化し、ステークホルダー間にウェブデザインによる「共通言語」を確立し、それにより発注側と受託側のコミュニケーションの円滑化、スキルの標準化を目指す。本書籍がそのようなあるべきウェブデザインの未来へ少しでも寄与できたら、筆者としてとても幸せです。どうぞよろしくお願いします!
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