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国債と消費税のウソ 1 -財務省は国債発行額を心配していないー

経済理論は主張が多様にあり、なかなかどれを正解と決めることが困難ではあるが、私の理解している日本の経済について解説したい。少なくとも現在一般的に理解されていることは誤解と言ってよい。


日本の国債発行額は年間35兆円ほどで、これは国家予算の3割を占めている。そして累計の国債発行額は1000兆円を超えている。

たしかに金額的には世界的に見てもかなりの額であり、不安になる気持ちもわからないではないが、財務省もマスコミも言っている「国民1人あたり〇〇万円の借金」という解説は全くのデタラメである。日本の国債は国民の借金ではないし、もっというと厳密には国債は借金ですらない。

また、財務省もマスコミも「財政収支の黒字化が必要」と主張し、増税の根拠となっているが、財務省は本当は黒字化しようとは全く思っていないはずだ。この点、国民は完全に騙されている。

というのも、もし現在の国債発行額および収支のバランスが危機的状況なのであれば、国は増税の前に国債発行を大幅に縮小するはずだからだ。しかし一向に国債発行額を絞ろうとする気配がない。政府が財務省の言いなりであることはよく知られている。つまり財務省も「国債発行は現在のペースで問題ない」と思っているということだ。

なぜ、問題ないのか。答えは「国債は借金ではない」からだ。

家計においては給与から生活費を支出する。もし足りなければ外から資金を調達するしかない。外から資金を調達することを「借金」と呼ぶ。
自治体も県民税や市民税、地方交付税交付金などの収入から自治体の維持費を捻出している。不足分があれば地方債などを発行することになる。つまり外から資金を調達している。

一方、日本国政府の収支は家計や自治体とは仕組みが全くことなる。国家の維持費は収入から捻出しているのではなく、貨幣の発行により賄っている、つまり自分で調達しているのである。貨幣発行の有無、これが家計や自治体との大きな違いである。政府が税収によらず歳出を平然と巨大化させているのはこのことを理解しているからである。

国家予算の歳入と歳出の差は国債発行で埋めているけれども、上記の理屈からすれば行わなくてもいいようなもので、おそらくは財政規律的な意味合い(さすがに無際限に予算規模を大きくするとインフレーションとなる)、つまり「縛り」と考えられる。

にもかかわらず、国は「国債を家計と同列に考える」という誤解を積極的に国民に展開している。

[これからの社会と税] これからの国の財政 (1) | 税の学習コーナー|国税庁

また、中高生相手に作文コンクールを展開し、そこでもミスリードを展開し、増税礼賛の作文を表彰している。実にひどいものである。

税の作文(中学生・高校生) | 税の学習コーナー|国税庁

しかしなぜウソを交えてまで国(財務省)は増税にこだわるのか。次回はそのことについて考えたい。

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