英語の授業:生徒に合わせたインプットとアウトプット
こんにちは。今回は英語教育について書きたいと思います。
生徒の英語力にばらつきがあると、どうしても教科書を使いづらくなってきます。
2学期を迎えたとき、教科書の続きには動名詞や分詞のページがあったのですが、担当している生徒たちのことを思い浮かべて、彼女たちにいま必要なことは何だろう、と立ち止まって考えてみました。
で、果たして教科書通りに進めるべきか躊躇してしまいまして。。。
それで、ある科目の授業では、曜日によってインプット系の内容・アウトプット系の内容、というように決めてやり始めました。今日はそのことを書いてみたいと思います。
インプット:時制や文型の前に大切なこととは?
★英語の文法の第一歩は主語だ
英語は使えてなんぼですよね。でも、咄嗟に英語は口から出てこないもの。
中・高・大と10年間も英語を学んだ人でも、これがネックだったりします。どうして??
その最大の原因は、最初の1語、つまり主語が咄嗟に決められないからだと、私は考えています。
日本語は主語がなくても結構大丈夫なので、もともと最初に主語を立てるという意識が低いんだと思います。
ところが英語になった瞬間、最初に主語を立てないと文が作れない。
だから、うー、うー、と英語が胸の奥でつかえて悶々とする羽目になってしまいます。
「最初に主語を立てる」
これも立派な文法だと思って、これだけを取り上げた授業をしました。
主語がハッキリしない日本語の短い文を見て、英語ですぐに主語を立てるというエクササイズです。例えばこんな文です。
どうでしょうか。①②は日本語の不思議なところで、時間情報が主語のようになるパターンですが、英語ではそうは行きません。
Today is ...でも、This morning is ...でもなくて、暑いのはit、寝坊したのはIです。
③と④も、日本語の主語が英語では主語にならないパターンです。
Rain is ...とは言わないですし、My stomach is ...とも言わないので、itとIを使います。
⑤⑥⑦は、日本語では主語を省略しているパターンですね。
駅を探しているのはI、顔色悪いのはyou、いただきますと言うのはwe(またはthey)です。
まぁ、慣れてしまえば普通のことなんですが、これをエクササイズとしてもっともっと普段から大量にする必要があるなと思います。
★主語の次は動詞だ
主語を立てることができるようになったら、次は、主語のすぐ後に来る動詞を使いこなせるようになること。
日常会話では、中学英語レベルの動詞でも充分で、そんなに凝った動詞を使わなくてもいいと思うんです。ポイントは、基本的なの動詞が持つニュアンスを理解して、自分の感覚に落とし込んで使うことだと思います。
例えば「聞く」のhearとlistenの違い、「見る」のlookとseeとwatchの違い、「話す」のspeakとsayとtalkとtellの違い。
これがある程度使い分けられると、英語もしっくりして来ますよね。
特に、haveとgetとtakeは一番使うので、授業でひと通りやるのにそれぞれ1時間、計3時間使いました。本当はもっと使いたいくらいです。
haveと言えば、私も中学時代にI have a pen.なんて言って、ペンを手に持って習った記憶がありますが、実は手で実際に持っているときにI have ...とわざわざ言うシチュエーションなど、ほぼありません。
haveは、何らかの物を持った状態や、何らかの状況を抱えた状態です。
持つという「動作」ではなく、持った「状態」です。
これらは全てhaveを使って表現できるんですよね。
④はhave toを使いますが、to finishという状況をhaveしていると考えると、「終えなければならない」だと納得できませんか。
⑤は現在完了形でhave lostですが、lostという状況をhaveしているので、「失くしたまま見つかっていない」というわけです。
⑥も現在完了形でhave visitedですが、これもvisitedという状況をhaveしているので、日本語では「訪れたことがある」になります。
少しマニアックになってしまいましたが、こうしてhave、get、takeの感覚を少しずつ自分のものにして、英語が口から出て来るようになって欲しいなと思っています。
アウトプット:生徒が英語を使うためのアクティビティ
上に書いた「主語を立てる」や「動詞を使いこなす」は、話す・書くのためのフレームワークなので、私の授業ではインプットの方に入ります。
そこで次に、アウトプットの時間について紹介したいと思います。
アウトプットの時間は、特に文法事項とはリンクさせていなくて、むしろ自由に英語を使う感じにしています。
★ビンゴ形式のQ&Aアクティビティ
ペアワークでのQ&Aはよく行われていると思いますが、ちょっとゲーム性を取り入れて、ビンゴ形式にすると新鮮になります。
英語の質問が3×3のマスに計9個書かれたプリントを一人ひとりに渡し、Yesの答えをクラス内で集めて回るゲームです。
同じ人からは二つ以上のYesをもらえないルールにすると、9人以上の人に質問に行かねばならず、生徒たちは自然とシャッフル状態になります。
さらに、答えがNoだったら、代わりの答えを引き出すように促します。例えばDo you have any pets? で答えがNoだったら、But I want to have a dog. とか。
質問を高校生がそこそこ親近感を持つものにしておくこともポイントです。Can you draw Kirby? という質問を入れておいたら、へんてこなカービィを描く生徒があちこちで出現して、盛り上がっていました!
★英語のクロスワードパズル
あと、意外といいのはクロスワードパズルですね。もちろんヒントも英語です。
作問つまりパズル作りがちょっと大変なのですが、ヒントの出し方によって、英単語にいろいろな角度から触れさせることができるのでお勧めです。英英辞典のような要素も入れられますしね。
ちなみに先日の定期試験にも、新作クロスワードパズルを出題しちゃいました!
★英語のインビテーションカード(招待状)作り
これは、英文を書くモチベーションという点で、大きな気づきを得たアクティビティでした。
まず最初に、架空でもいいので、日本語でパーティーを企画してみるように生徒に指示します。
この時期ですから、普通にハロウィンパーティーを挙げる生徒もいますし、バースデーパーティーもあります。
中には、宇宙でパーティーする!とか、ペットの動物たちが飼い主抜きで集まってパーティーするとか、SFや絵本の世界のような奇想天外なアイデアも出てきます。
そして、それを英語にするように指示するというアクティビティです。
そもそも英作文は、生徒にとって気が進まないもの。そのうえ典型的な英作文のテーマと言えば、「ランチを一人で食べるのは良いか悪いか、理由を二つ挙げて〇語以上で書きなさい」みたいな退屈なことを、無理矢理考えて書かされるものばかり。
ところが、自分で考えた楽しいパーティーの招待状だったら?
はい、生徒たちは一生懸命英語にしようと頑張るんです!
これは大きな発見でした。
堅苦しくてつまらない題材で英文を書かせるのではなく、生徒本人が書きたいと思える題材にしてあげれば、生徒は考え、調べ、質問し、英文を書き始めます!
(この記事を読まれた方で、パーティーの招待状のほかにも何かいいアイデアがありましたら、ぜひ聞かせてください!)
ということで、今回は生徒に合わせた英語のインプット&アウトプット授業を紹介させていただきました!
(H Sakamoto)
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