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頭のネジ【面白いショートショート見つけた】

 とても面白いショートショートを見つけてしまったのでお知らせします。これは絶対に読むべきです。

 これは普通の考え方では絶対書けないでしょう。まず一つには、最後のところを読んでみてください。3人称の地の文がいきなり語り手、そして登場人物に変わります。驚くべき転換です。書く事をよく知っている人でないとできない芸当です。前に映画「シックス・センス」について書きましたが、それと同じレベルで凄い事です。

 それともう一つは、題名「頭のネジを落とした」というのが、全くその文章の内容に重なっている事です。「頭のネジが外れた」という意味は下のリンクを見なくてもわかりますね?

 この事がお話の中で発生していますが、この文章自体がネジが外れた状態を演じて書かれています。題名の意味を二重に使っているわけです。素晴らしいとしか言いようがありません。

 文章を読んでいますと書き方としてはシンプルで自分でも書けそうに感じます。白いくて大きな画用紙の上にペンでスラスラと描いている印象で華美な装飾が無いのです。ただ、実際に書くと相当に苦労するはずです。なぜなら、思考の論理性が絶対に邪魔してしまうと考えられるからです。

 さらに凄いのは、きちんとテーマ性が発揮されているところです。サラリーマンにもらったネジを頭に入れた後に、世界が(私たちから見て)マトモな風景に変わります。主人公は「これは僕のじゃないよ」と拒否します。

 それでは、ネジ吉にネジが入っていた時の状態は何だったんだ?、となりますが、最後のところで地の文の人の頭からネジが落ちる事でお話が入れ子になっていた事がわかるので、まあ、ネジ吉の元の状態自体が無いのかも知れません。

 とにかく、非常に面白いお話でした。ありがとうございます。


追加
 文章は3度読み返したのですが、これを書いている時に別の事をやらなければならなくて、だらしない感想文の書き方になってしまいました。すみません。

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