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警察呼びます110番 Vol.28

オープンした1年目は本当にいろいろなお客様がきた。
大半はちゃんとしたお客様だけど
万引き、試食をありえないぐらい食べる人、
酔っ払い、恐喝。言えばキリがない。


あるとき、万引き犯を捕まえた。
泣きながら許してください、
警察は勘弁してくださいと謝りだおされた。
盗んだのは300円ぐらいだし
かわいそうだとおもいドラマを気取って
「もう2度とするなよ」と言って許した。


違う日には試食をいっぱい食べすぎるお客様が来た。
まんじゅうを2、3個ポケットに入れる。
ご飯の試食を小皿に盛って
そこに試食の塩辛を大量にのせて食べる。
それを3回も4回も繰り返す。

スタッフA「駅長すごい食べてますよ!」
せいじ「ほんとーだー😳」
スタッフA「どうします?」
せいじ「ん〜ホームレスだからしょうがないよ」
と笑った。


違う日には万引き犯を捕まえると
酔っ払っていて涙を流しながら
「食べるものが何もないんです、助けてください」
と迫真の演技でせまる。
余ってるので良いから恵んでくれと
泣きついてきて
可愛そうだとおもい
賞味期限が切れてるけど
食べれるものをあげた。
涙を流して感謝をされた。



万引きも試食魔も後を絶たなかった。



スーパー業界では店舗によるけど最大で売上の2.5%ぐらい万引きされるもんだと計算している店舗も多い。



その分ぐらい、うちは赤字だった。



ある日、休みの日にちょっと遠出して買い物をしてると見たことがある人たちが3人組で、笑いながら
自分の前を通った。



あやまりだおした万引き犯。
試食をいっぱい食べていたホームレス。
泣きながら商品をもらっていった酔っ払い。



3人とも繋がっていた。



せいじ「おい、お前ら、見たことあるんだけど?」
3人組「そうですか?」
せいじ「お前、この間万引きした奴だろ?」
3人組「・・・・・。」
せいじ「お前らグルか?」
3人組「・・・・・。」
せいじ「お前らグルかって聞いてるんだけど?」


バババババーーーーーーーっと
3人はすごい勢いで逃げていった。
みんなおっさんだから追いついちゃうよね。



1人に絞って追っかけていって
ショッピングモールのど真ん中で
後ろからアントニオ猪木ばりの
必殺ドロップキック‼️風。
そのあとは期待通りかも❗️


あの店は盗んでも許してもらえる。
あの店は盗みやすい。
あの店は優しい。
情報共有して繋がっていた。


それ以来、万引きも酔っ払いも恐喝も
ちょっとした揉め事も徹底して
許すのをやめた。


あるお客様は酔っ払って
作業している自分のところに来てハラが立つことをいろいろ言われた。そしてスタッフの女性にちょっかいを出された。我慢できず一触即発。
その先はやっぱり期待通りです❗️


違う日にはいきなりレジに居座られたというか
レジ台の上に座って
「わかめを持ってこいよ、もらってやるから」と
タバコを吸いながら凄んできた人がいた。
結局、渡さなかったけど胸ぐらを掴まれたので
正当防衛だとおもって胸ぐらを掴み返した。
その先は想像をはるかに超える期待以上です❗️



万引き犯は絶対に許さない。
どんな理由だろうが。



そしてすぐに警察に連絡を入れるようにした。
時には裁判までもっていく。



すると万引きも酔っ払いも恐喝も
激減したというか ほぼゼロになった。



悪質な人たちは繋がってるから
優しすぎる対応をすると
一瞬にしてその情報がコミュニティーに伝わる。
厳しい対応をすれば
厳しいという情報が
一瞬にしてそのコミュニティーに伝わる。


警察に連絡するなんて
当たり前に感じるかもしれない。
でも いざ、目の前で土下座されたり
泣かれたり、子どもやお母さんの話など
御涙頂戴話を聞かされると一瞬でも迷う。


心を鬼にする。
いや冷酷なまでに冷たい人間になることが
躊躇なく110番を押す唯一の方法だ。



心を鬼にする方法は1つ。
スタッフやつくりて、協力してくれる人たちが
一生懸命、繋いできたものを
最後まで誠実に販売していくという
商人としての魂しかない。



『諏訪聖二、黒字独学』
第7条 万引きや悪質な酔っ払いは躊躇なく110番。

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教科書にない赤字店舗を黒字化する10か条
『諏訪聖二、黒字独学』Vol.21-Vol.30(全10話)

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