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鴇田和也。10/13 Vol.50

第10話 最終回

震災を乗り越えた房の駅は次々と多店舗化。
ショッピングモールにも出店するようになり
飲食業にも進出し始めた。
同時に4個も5個も新店舗オープンの準備が来てもビクともしない自分。
現ふさのえき食堂をやるのに魚の修行に行き毎日3000尾のアジやイサキを3枚におろした。
その最中にカフェをやるのに嫌いなコーヒーも飲みまくってソムリエみたいになった。
そして同時進行でパン工房をやるのにパンの修行。
房の駅のオープンも同時進行。お得意先様の大改装の設計施工管理責任者にもなった。現やます営業部の営業部長も兼務しながら房の駅全部の事業部長。
同時進行の仕事がいくらきても
正直、楽勝だった。


知識がゼロで「できない」があっても
やりたいと思えばとてつもない勉強と努力で
「できる」ようになることを体感していった。


気づいたら
もっと「できない」がほしい‼️と
飢えていた。
新店舗も飲食店も新業態も
やりたいと思えばできちゃう。


天狗なのか。自信過剰なのか。
井の中の蛙なのか。
誰になんと言われようが


物足らない。


そしてもっと大きな事をしたい。もっと自分は大きなことができるとおもうようになっていった。
そしてそれに着いてこれる人材がほしい!と漠然に
おもうようになっていた。



そしてまわりを見渡すと自分なしでは「できない」ことを打破できる人材はうちの会社にはいないことを知ってしまった。
あれ?自分がいなかったら
みんな「できない」という壁に挑まない?
部門をこえて一丸にできるコミュニケーションの壁を壊す人はいない?
全社を動かすような気合いの入った人材はいない?
そのストレスは完全にスタッフのせいに向いた。


どうすれば良いか悩み続けたけど
まったく答えはみつからなかった。
そしてリーダーとして停滞した1、2年を経て
ニューヨークの5番街の23ストリートで
突然、気づいてしまった。
自分がいたら今の会社では誰も育たない。
自分はこの会社を出るべきなんじゃないか。
房の駅から離れる?
そんなことできる?
自分から房の駅を無くしたら何がのこる?
葛藤はしたけど
やってきたからこそ
決断までには時間がかからなかった。


そして兄の寿一社長に相談した。
「ニューヨークにお店を出したい。アメリカに行かせてほしい。そして自分が会社から離れれば人材が育つとおもう」
兄は0.1秒の時間もかけずに反対をした。
「何言ってんだ?会社どうすんだよ?」


みんなに任せてみる。
バクチだけどこれがみんなが育つ1番の方法だとおもう。みんなを成長させたい。もしみんなが育ってくれてそこにパワーアップした自分が戻ってきたら
この会社はきっともっともっと大きなことができるはず。このままだとこのままだよ。このまま房の駅に居座れば安泰なのかもしれない。でもみんなの未来はつくれない。自分も人生で1番苦手な英語に挑み、まったく興味のなかった海外で自分のことを誰も知らない世界でゼロから勝負してくる。だから挑戦させてほしい。期間は結果がでてもでなくても2年。だから行かせてほしい。


ニューヨークに出店したいって言うのはブランディング的には良いのはわかるけど そういうのは正直、どうでも良かった。この会社から自分が離れることに意味があった。


兄は自分の覚悟を察しながら一言
「誰に任せるんだよ。房の駅?」


わからない。
房の駅を1番愛してくれるだろう人材に
任せようとおもう。そいつを今から探す。


金のたまご
ダイヤの原石。


駅長がいなくても店の雰囲気を締めてくる人材。
自分がみていなくても手を抜かない人材。
人生の全てを房の駅に懸けられる人材。
部下から好かれる人材。
まわりを明るくできる人材。
みんなを元気にしてくれる人材。
言葉と行動と心が一致する人材。
できないことにとことん向き合える人材。
売ることも魅せることもできる人材。
部門をこえ一丸にさせることができる人材。
そして何よりも大切な房の駅を託したくなる人材。
そして自分を超えられる人材。


そして原石をみつけた。
鴇田和也。
全員が耳を疑った。
でも迷いは全くなかった。


彼に全てを託すと決めた瞬間
自分のニューヨーク行きが決まった。


そして自分とともに房の駅を盛り上げてきた仲間を全員、鴇田へ力が及ばないところに異動配置をした。そして鴇田時代の到来を告げた。

兄にしてもらった決断が
終わりとなりはじまりとなり
大きく大きく大きく
会社を揺り動かすことになる2015年。


房の駅を離れるまでのきっかけや葛藤。
人生は何かを断つと決めたときは
次に何が起こるかの保証はない。

何かを得たいなら何かを捨てよ。
口では簡単に言える。
でも捨てるものが本当に本当に
大切なものだったとき
その決断は言葉で言い表せないほどに
過酷で
残酷で真っ暗だ。


でもそこに会社と仲間の未来があるのなら
自分の人生はいくらでも捧げる。



『せいじ殿の13人 2003-2015』
Vol.41-Vol.50(全10話)

全10話を購読いただきありがとうございました🙇‍♂️
鴇田和也こと「とっきー」は
2022年9月株式会社やますの取締役になりました😊


「せいじ殿の13人」では
自分が房の駅を離れるまでに
大きな影響を与えてくれた13人のなかの
10人を紹介させていただきました。
3人はどこへ?それは後ほど‼️

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