胃腸炎奮闘記/刺さない鍼治療
風邪をひいている息子を横目に、娘が急性胃腸炎になりました。
食後に吐いたかと思ったら、そこから断続的に6回ほど吐き戻し、出すものがなくなって胃液が出てきます。一歳半の小さな身体を揺らしながら、30分に10回以上は吐いたでしょうか。吐瀉物に少量の血液が混ざります。
病院を受診しようにも連休中、選択肢は限られます。腸閉塞なら入院、胃腸炎も重症なら入院です。やっぱり自宅に携帯用超音波検査装置が欲しいなぁと思いながら、取り急ぎ道具を使わない診察と聴診器で立ち向かうことにしました。自宅で点滴(静脈路の確保と輸液療法)はできませんから、それが必要なら病院に行く必要があります。
血が混ざったのは気がかりですが、ごく少量ですから様子をみましょう。お腹の音や診察所見は、腸閉塞のそれではありません。これなら自宅でなんとかなるかもしれないと思い、誤嚥を防ぐように体勢に気を配りながら経口補水液…がありません。ならば水と塩と砂糖でよろしい。計量して丁度良い感じに仕上げて、少しずつ与えます。吐いても与えます。
まだ下痢はありません。嘔吐が先行です。
発熱はありません。冷えもありません。
水を飲むと吐く、つまり水逆の状態です。
脈は浮、滑、数。
心下が張っています。
表虚、裏熱証、病位は太陽の腑。
五苓散がよいでしょう。
ところが、吐き続けていては内服も困難です。
助けて、ドラえもん。
はい、小児鍼〜!
こんなこともあろうかと入手しておいた小児鍼の出番です。
今回は、鍉鍼と呼ばれる金属製で先端の丸い器具を用います。鍼灸の専門家からは色々なご意見もあるかと存じますが、そのまま突き進みます。脾胃と膀胱、それから肝経にも失調があります。脈や腹の診察も踏まえると、中医弁証的な解釈では「痰飲内阻」を基本病態として「肝気犯胃」も併存する状態と考えます。
すると、脾胃経に肝経も治療すべきでしょう。
陽明胃経は足三里、太陰脾経は公孫と商丘、厥陰肝経は太衝、少陽胆経は陽陵泉。厥陰心包経は内関も忘れずに刺激しましょう。任脈も無事ではありませんから、中脘と膻中にもケアが必要です。
鍉鍼治療を始めると、程なく娘の表情が和らぎ、心地良さそうに「こっちも」と反対側の足を指しています。この治療に痛みは伴わず、気持ち良いくらいの刺激が適切です。20分ほどすると落ち着いた様子になったので、五苓散を飲ませてみますと、今度は戻しませんでした。
眠そうにしていたため寝床に場所を移し、回復体位で休ませます。最近娘のハマっている福山雅治をBGMにすると、彼女は寝息をたて始めました。
寝ている間に嘔吐して窒息しては大変ですから、私まで眠るわけにはいきません。眠りたくなる気持ちをグッと堪えて、ポケモンHGSSを進めます。もう少しでカントー地方も攻略できそうです。この時期、敢えてのHGです。息子はSSです。手持ちのエース・バタフリーが次々と敵ポケモンを駆逐します。殆どのジムリーダーはバタフリー以外の私のポケモンを見ないまま散っていきました。前半の四天王も私のバタフリーの前には赤子同然です。ドラゴンタイプは無理です。ドラゴンはれいとうビームでねんねしてください。
なぜか話が本筋から逸れました。
そんなバタフリーの話はさておいて、ねんねしていた娘が2時間後に目を覚ますと、すっきり爽やかな笑顔がありました。
その後は一回も吐かず、元気に回復いたしました。
大事に至らなかったことに感謝しつつ、鍼の可能性に大きな期待を寄せる出来事となりました。一層の修練を積みながら、バタフリーと共にポケモンマスターを目指していこうと思います。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、余暇を楽しむ心の余裕のある社会が実現しますように。
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