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働き方改革っていうけどさ、

 膨大なデータ解析や事例検証から「働き方改革」が叫ばれるようになって、その潮流に最も遅れている医療業界も来月から逃れられない運命にあります。

 医師の働き方改革。

 なんてセンスのないネーミングでしょう。

 医療レベルの高いとされる諸国と比較しても本邦の医療水準の高さは異質です。それは純粋な医療技術という観点にとどまらず、国民皆保険制度や高額療養費制度に基づく患者側の医療費負担面での強力なサポートに加えて、いつでも無料で要請できる救急車サービス、それを支える二次・三次救急医療体制を見れば明らかです。

 これらの医療水準を支えているのが資金的には国民の血税であり、マンパワー的には勤務医の寿命であることを忘れてはいけません。寿命といいましたが、これは比喩的な表現ではありません。巷のブラック企業戦士も裸足で逃げ出すような激務が、日本の医療を支えています。要するに現場任せです。

 開業医になれば楽に稼げるかというと、そうともいかないのが実情です。開業資金の回収のためには相当の働き方を求められ、保険診療報酬は年々減らされ、一次救急を支えるために夜間休日の勤務もゼロにはなりません。

 そういう背景があって、中堅以下の医師は自由診療(主に美容系)に流れています。その領域も既にレッドオーシャンですから、これから医師の業界も歯科医師や弁護士のようにシビアな生存競争が巻き起こる可能性は高いでしょう。


 とりあえず医師の働き方改革に関する院内会議が18時とか19時から予定されている時点で、壮大なコントに参加している気分です。上手くいくわけがありません。この数年間のうちに私の勤務先以外の友人知人のいる病院事情を聞いていると、やべーことが起きています。まだ明るみには出ていないようですが、事の深刻さが表に出るのは時間の問題です。

 医師の働き方改革が実現したら、平日時間外や休日診療から崩壊するでしょう。それは救急車のたらい回しや救急医療の破綻として、遠くない未来にマスメディアに取り上げられるのだと思います。

 そういった問題が表沙汰にならず日本の医療が破綻しなかったら、それは医師の働き方改革が形骸化した無駄な事務作業であることの証明です。サービス残業が激増して「勤務時間にもカウントされない医師の働く時間」が増えるだけで、すなわち勤務医の収入がさらに減るということです。よもやよもやです。


 乱文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、ゆるく温かい社会を。



#私は定時なので帰ります
#時間外の会議は全部欠席します #勝手にやってろ #便利って何かを犠牲にしてるものだから
#自然へ帰れ #ルソー
#医師の働き方改革 #絵に描いた餅 #虚像
#仕事について話そう #闇医者ってか医者が闇
#業界あるある #36時間連続労働 #月の残業200時間超 #年休7日

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