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医療

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医療、健康関連についてまとめていきます。
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記事一覧

おなかを冷やしてはいけない、とは限らない話

 万人に共通する健康法は在りません。  それは体質や体調が千差万別だからです。  東洋医…

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渡邊惺仁
9日前
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「足が痛い」と息子は、

 その夜、泣きながら言いました。 「足?」  怪我をしたわけではありません。見た目にはな…

渡邊惺仁
12日前
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病気と元気の境界

 元気ですか。病気ですか。  元気な人もあるでしょうし、病気だと応える人もあるでしょう。…

渡邊惺仁
2週間前
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肺炎診療ガイドライン2024の話【雑記】

 成人肺炎診療ガイドラインが7年振りに改定されました。  これは本邦における肺炎診療の実…

渡邊惺仁
3週間前
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或る微生物学者の呟き

 元噺家で現役獣医師である父の正体は、微生物学者です。  正体ってなんやねんと言われまし…

渡邊惺仁
3週間前
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闇を祓う医療 【漢方医放浪記】

 少年が診察室に入った瞬間、彼の病の根が深いところに在ると分かりました。これは漢方医とし…

渡邊惺仁
1か月前
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かぜ診療/虚実の対照【漢方医放浪記】

 娘と息子が風邪をひきました。  ひどい咳と高熱の、いま流行ってるやつです。  病名は「ヒトメタニューモウイルスによる急性気管支炎」ですが、其々の病状と最適な治療法は大きく違いましたから、書き起こして参りましょう。  2歳の娘は発症日に40℃の発熱に至り、ゼーゼーと喘息のような呼吸音を立てたり吐きそうなほど激しい咳をしたりしました。ぐったりして食欲も少なく、水分は摂れますが些か心配な雰囲気です。背中の皮膚は湿っています。  脈は浮・数・緩・大です。太陽病位虚証。  基

花粉症は治るか。

 治ります。  正確には、治る可能性が充分あります。  小学3年生で発症し長年苦しみ抜いた…

渡邊惺仁
2か月前
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「がん」について思うこと/呼吸器内科医が死と生を考える話

①「がん」とは何か    細胞が不死性を獲得して無限に増殖するようになった状態を「がん」…

渡邊惺仁
3か月前
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痛みを信じること 【漢方医放浪記】

「腰から下が全部痛いんです。粉々のガラスの中に埋まってるような。ずっと、ずっと。夜中に痛…

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渡邊惺仁
3か月前
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「重症感」とは何か。

 私がまだ研修医だった頃、指導医のG先生と診療した忘れ難い症例があります。  それは激烈…

渡邊惺仁
3か月前
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睡眠とグリンパティック系排出路

 睡眠は大切です。  これは色々な側面から論ぜられていますが、近年の労働環境や生活リズム…

渡邊惺仁
4か月前
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真実はひとつではない話

 師匠の漢方医療は自由自在に為される魔法のような代物で、穏やかに護る治療もあれば、ときに…

渡邊惺仁
4か月前
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温故知新と漢方医学/コロナ後遺症の話

 COVID-19罹患後症状(いわゆる後遺症)の診療経験が蓄積されてきましたので、一度まとめておこうと思います。  この感染症が普通の「カゼ」と決定的に違うのは、奇妙な重症化と後遺症の存在でしょう。パンデミック当初に比べると随分と「カゼ」に近づいているように感じますが、まだまだ異質な感染症であることを忘れてはいけません。  mRNAワクチンについては色々と議論もあることでしょうから、この記事では以降触れないものとして、SARS-CoV2による感染症、特に罹患後症状に焦点を