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医療

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医療、健康関連についてまとめていきます。
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記事一覧

クララが立てなかった理由/考察【漢方医放浪記】

 クララが立つことで有名な『アルプスの少女ハイジ』ですが、作中に病の原因や快復した理由の…

渡邊惺仁
5日前
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経験を積めない研修医、引退できない老医

 初期研修医制度が始まって20年、新専門医制度が始まって6年が経過しました。遡ると医術開業…

渡邊惺仁
3週間前
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何のための医学か。

 記事を読み終わる頃、医学に価値が宿ります。  現代医学は発展途上ながら極めて有用な診断…

渡邊惺仁
1か月前
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世の中は伝言ゲーム/病院受診時のコツ

 伝言ゲームというものがあります。  ある文章を5人とか10人とかで列を作って1人ずつ伝言し…

渡邊惺仁
2か月前
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年齢を理由に諦めない話

 生老病死は不可避の宿命です。  人は必ず老い、病み、死を迎えます。然れども天寿の有り様…

渡邊惺仁
2か月前
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臓器スリーアウト、人生交代説

 不穏な表題から不謹慎な話を展開します。  十数年の臨床経験の中で病を通して多くの人生と…

渡邊惺仁
2か月前
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こころ、手当て、そして胸の痛み。

 公園で子どもたちと遊んでいたところ、息子が左胸を押さえていることに気付きました。どうしたの、と訊ねると「ココが痛いんだ」と顔を顰めます。  少し走って立ち止まり、また走って立ち止まり。どうにも様子がおかしいので、家に帰って診察することにしました。  SpO2 99%, 呼吸数20/minと普通です。皮膚や胸郭に異変はみられず、聴診しても呼吸音には左右差も異常もありません。気胸は考えにくいでしょう。痛む部位について詳しく訊くと、左前胸部第5肋間、心尖拍動を触れる位置から尾

その芍薬甘草湯、大丈夫ですか。【漢方医放浪記】

「足をつるから、コレ飲んでます。」  彼女が鞄から取り出したのは、芍薬甘草湯のエキス製剤…

渡邊惺仁
3か月前
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薬に頼ること勿れ 【漢方医放浪記】

 内科医は薬で病を治療する生き物です。  現代医療の進歩は目覚ましいもので、新薬が次々と…

渡邊惺仁
4か月前
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悪夢を治す話 【漢方医放浪記】

 高血圧や便秘といった不調に耐え難いイライラを纏っていた老婦人を、大柴胡湯を主軸にした漢…

渡邊惺仁
4か月前
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それは本当に喘息か。

 咳。  それは医療機関の受診理由として最も多い主訴のひとつです。クリニックに限れば最多…

渡邊惺仁
5か月前
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誤治に御用心 【漢方医放浪記】

 誤った治療法のことを誤治といいます。  その老齢の婦人は下腿のリンパ浮腫との診断で鬱血…

渡邊惺仁
5か月前
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専門領域とは何か

 医者になって数年経った頃、指導医に質問されました。 「それで、君はどの分野に興味がある…

渡邊惺仁
5か月前
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「死」の恐怖と不眠の話【漢方医放浪記】

 もうすぐ自分は死ぬのだ、と彼は項垂れました。齢90を越える老人の痩せた手は僅かに震えながら、その眼差しは私を刺しました。  とにかく具合が悪そうだと救急車を呼んだ家族のことを、私は咎める気になれませんでした。  医学的には緊急性のカケラもありません。血液検査も画像検査も心電図も何もかも、異常らしい異常はありません。元々の心疾患の影響はあるものの、それが急激に悪化した様子はみられず、腎硬化症なのか慢性腎臓病らしくはありますが、だからといって何をすることもありません。循環器

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