Disorder 《詩》

「Disorder」

失望と言う列車　
絶望と言う名の席

僕に送られて来たチケットは
どうやら　この席らしい
蛇皮で出来たそのシートに
深く腰掛け
ライ麦畑でつかまえて
を読んでいた

隣に座ったのは長髪の老人
ドクロの首飾り
Dr . Martensのブーツに
HATE • LOVEの文字

Joy DivisionのDisorder
口ずさんでご機嫌だ
僕は魂を手にした
だけど感情を失った…
そう繰り返し歌ってる

HELLと言う名の駅で
僕と老人は降りた
改札近くの壁に書かれた
ピースマークに老人は
唾を吐きかけ
Welcome To Paradies !
そう叫んで僕の方を見た

ドクロの首飾りをユラユラ
揺らしながら
此処は聖者も悪人も犯罪者も
殺人鬼も金持も貧乏人も
健常者も障害者も
女も子どもも皆んな平等なんだ
誰一人として傷付く者は居ない
そう言った

そこで僕は目が覚めた
夢を見てたんだ不思議な夢を

この世界は差別がいっぱい
区別なのか選別なのか
そんなのどっちでもいいや
嫌な事がいっぱいあって
辛い思いばかり
沢山の涙が溢れた

老人に導かれたその場所は
皆んな平等
苦しみも悲しみも感じない
傷つかないのは
感情を失った世界
だからじゃないのかな…

イアン•カーティスは
自殺しちゃったけど
僕らはこの世界で生きてる

D.J.サリンジャーは
死んでから花を欲しがる奴なんて
いるもんか
一人もいやしないよ
そう言った

僕はDisorderを口ずさみながら
バス停の側で花をちぎった

車椅子の君に贈るために

Photo : Seiji Arita