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天国の門 6. 里志とディビット 《小説》

6 . 里志とディビット

ジョー達の新たなアジト Heaven’s gate
コンクリートの高い壁で囲まれた
刑務所の中は外見とは裏腹に
穏やかな時間が流れる
安らいだ場所だった

広場に林檎の木
コンクリートの壁に沿って
トマト、胡瓜、ネギ、キャベツ、トウモロコシ…
色々な野菜を植え育てていた

まるで小さな農園の様な景色が
広がっていた
農園のボスは美紀
仲間達にアレコレと指示を飛ばして
野菜の管理していた

ディビットは美紀の1番弟子
黒人兵士で身体の大きなディビット 
力仕事なら任せろ美紀!
そう力強く答えてる

しかしジョー達には
ひとつ問題があった
ガソリンの調達だ

街中のベースをアジトとしていた時は          
潰れたガソリンスタンドや放置車両からガソリンを盗み調達していたが

新たなアジトの周りには何も無い
あるのは山と川と草原
自然以外は何も無い場所だった

ジョー達は集まり話していた
もう自家発電装置の燃料も無くなる
なんとかガソリンを調達しなければ

それには街に出て盗むしか手段は無い          
街のガソリンスタンドはもうBLOODY HELLの連中に押さえられてる

街へ出て放置車両を見つけ給油口をこじ開け
ポンプでガソリンを盗む
そんな話しをしていた

ヤバく無い?
放置車両もBLOODY HELLの奴等に
既にガソリン抜かれてるかも
心配気に里志が言う

里志は自衛隊員だった
銃の使い方も1番上手い
重機操作も出来る
信頼の置ける存在の日本人だったが
やたらと気が弱く心配性の性格の男だった

ディビットは里志の肩に腕を回して
大丈夫だ!俺と里志なら たんまり
ガソリン盗んでくるからよ
そう言ってゲラゲラ笑う能天気なディビット

えっ!ディビット…僕、僕も行くの?
そう答える里志に
里志しか居ないだろう
完全武装で出発するぞ
そう言って
銃やライフル、ナイフを里志に渡した          

その日の午後
里志とディビットは
ハマーにドラム缶、携帯缶、ペール缶など乗せて出発した

アジトを出発して
街へ街へと向かう
助手席の里志は銃を強く握りしめたまま
周りをキョロキョロ警戒してる

ディビットはそんな里志を見て頼むぜ
里志少佐!…それとも大佐?
そう言った
相変わらず里志とは正反対の性格だ

ディビットはアメスピに火を付けてプカリと白い煙を吐き出している

暫くハマーを走らせる
路肩にタンクローリーが停まっているのを見つけた

里志、見ろよタンクローリーだぜ!
俺達はついてる
そう言ってハマーを降り路肩に放置されたタンクローリーに走り寄る

ディビットはタンクを拳で軽く叩いた
渇いた音が聞こえる
…空っぽだ FUCK!
そう叫んだ

既にガソリンは抜かれた後だった

里志とディビットがハマーに戻ろうとしていた時
遠くから砂煙があがり
一台の車が走って来るのが見えた

それは黒いランクル
BLOODY HELLの奴等だと言う事は
直ぐにわかった

隠れろ里志!
そう叫んでディビットと里志は
タンクローリーの影に隠れた
手にはライフルを握りしめ
ポインターは奴等に向けられて定められていた

Photo : Free Pic

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