運用レポート2020.8.1

週間為替市況

先週の流れそのまま、寄り付きよりドル売りとなった
米中対立の激化に加え、米国での新型コロナウイルス感染再拡大が止まらない事から、この週の FOMC でも
FRB の緩和政策が引き続き支持され長期化するとの思惑からドル売りを誘発
更に先週合意に至った EU の 7500 億ユーロの復興基金への期待からユーロやポンドといった欧州通貨も買われ、こちらもドルの上値を抑えた。
一方株式市場は堅調に推移。
上記FRB の緩和路線継続と先週共和党内で合意に至った1兆ドルの追加経済対策への期待からこの日も大きく買われた。
結果、ドル円は 105.10 円台まで下落し、105 円割れを模索
ユーロドルは 2018 年 9 月以来となる 1.17 ドル台まで上昇した
コラム:EU復興基金で変わる世界的デフレ構造、ドル安に転換へ=高島修氏 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/eu-summit-preview-idJPKCN24U3CN


翌火曜日
引き続きドル売りの流れとなる。
日中こそ戻りを試したが欧州時間にはいるとズルズルとドルは売られ、NY タイムに発表された米消費者信頼感指数が予想 94.5 のところ 92.6 と予想を下回った、また市場が期待している 1 兆円の追加経済対策も与野党の
溝は深く可決は難航するとの見通しからドルは更に売られ、ドル円はとうとう今年 3 月 6 日以来となる 104 円台まで下落。
株式市場はマクドナルド等の大手企業の決算発表が振るわず、また翌日の FOMC に備え利益確定売りが目立ち、NY クローズ間際の時間外取引では大きく売り込まれた

水曜日
いつものことながらFOMC に備えアジア・欧州時間は目立った動きなし
FOMC は市場の予想通り金利据え置き、現状の緩和政策を継続発表後の記者会見でのパウエル議長の発言は以下

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「力強い景気回復を確実にするため必要な限りあらゆる手段を行使することにコミット」
「家計支出は当初の落ち込みの約半分を取り戻したようだ」
「5-6 月は雇用が大幅に増加」
「設備投資はまだ回復を示していない」
「第 2 四半期の収縮は記録的な大きさとなる可能性が高い」
「今後の経済の行方は非常に不確実」

「人々が安全だと感じるまで回復はありそうもない」
「現在の景気の落ち込みは深刻。回復には財政と金融政策による支援が必要」
「今回の FOMC では長期目標強化の可能性を巡り集中的に議論した」
「スワップ協定は不要と判断されるまで継続する」
「FRB は当初の予定ほど貸出を行っていない」
「景気回復には長い時間がかかる」
「労働市場の回復の道のりは長い」
「成長が鈍化するリスクは明確」
「コロナ緊急対策の縮小は非常に長い期間に渡って行わない」


上記発言から、この緩和政策は長期にわたり継続されると市場は受け取り、このコロナ相場の特徴でもある余った資金は株式市場に向かうという動きが加速し、株価は上昇。

また、FRB が各国中央銀行にドルを貸し付けるドルスワップ協定を 2021 年 3 月 31 日まで延長すると発表
このコロナ相場で 3 月中旬にみられたドル枯渇への警戒感が薄れ、それほどドル買いにはならず

FRBが金融政策維持、景気支援にあらゆる手段:識者はこうみる ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/fomc-instantviews-idJPKCN24U31Y


またこの日は GAFA の CEO が公聴会へ招集されたが、市場への影響は限定的となった

巨大テクノロジー4社のCEO、米議会公聴会で5時間余り質問攻め ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-30/QE9D70T1UM0W01?srnd=cojp-v2

翌木曜日
日中は揉み合いに終始。
NY タイムに米4‐6 月の GDP が発表された
予想前月比▲34.5%のところ▲32.8%と予想こそ上回ったものの、過去最大の下落幅ということで市場はリスクオフの展開となった

米GDP4-6月速報値、過去最大の 32.9%減-個人消費も急減 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-30/QEA848T1UM1101?srnd=cojp-v2


更に、米国で議論されている 11 月の米大統領選挙の郵便投票に対しトランプ大統領が「人々が安心して投票できる様になるまで延期すべきだろうか?」とツイート
こちらを受け、政治の先行き不透明感から株式市場に売りが入りドルも売られた

2020 年米大統領選の延期は望まず、郵送投票は不安視=トランプ氏 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/trump-election-idJPKCN24V3RG


ドル円は日中に 105 円台で推移していたが、結局 104.60 円台まで下落して引けた
株式市場は時間外取引でGAFA の決算発表期待から大きく買い戻しが入り下げ分を殆ど取り戻して引けた

アップル、売上高と iPhone 販売が予想上回る-外出自粛で需要増 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-30/QEAUB9DWLU9901?srnd=cojp-v2


そして月末の金曜日
この日は週末&月末ということもあり、荒れた相場となったアジア時間に日経平均が大幅下落

日経平均一時2万 2000 円割れ、米景気懸念や国内決算低調-内外需安い ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-30/QEAX4KDWX2QU01?srnd=cojp-v2


一方、為替市場はアジア時間こそドル売り継続でドル円は 104.10 円台まで下落し 104 円割れを試したが、その後徐々に買戻しの動きとなった。
NY タイムに 6 月の米個人消費支出が予想 5.4%を上回り 5.6%だったことでドル買いが入るその後は月末のロンドンフィックスに向けた動きとなった
強烈なショートカバーとなった
元々7 月後半はドルが大きく売られていたため、月末のリバランスはドル買いと囁かれていたが完全に市場のポジションを一掃する動きとなり、ストップロスを巻き込んでドル円はグングン値を伸ばし一時 106 円台まで上昇
ユーロドルは 2018 年 5 月以来となる 1.19 ドル台まで上昇したが、こちらも月末リバランスのドル買いで失速為替市場は大きくドルが買われて引けた

ドル上昇、7 月は 10 年ぶり大幅下落=NY市場 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKCN24W33D


株式市場は月末&週末で大手 IT 企業の決算発表も概ね終わったことから、利益確定売りとなり前日の時間外取引の上昇分をすべて打ち消したが、この日も時間外取引で大きく買いが入り値を戻して引けた

米主要企業の決算発表を終えた来週以降、ファンダメンタルは弱い例年流動性が低下する 8 月、激しい動きに見舞われると思われる

米コロナ法案「合意のめどつかず」、特別失業手当は失効へ ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-congress-idJPKCN24W2RW

取引レポート

先週レポート通り、週明けから株価インデックスショートとドル売りを敢行株価インデックスは踏まれた…
日本が 4 連休だったため、先物市場と現物市場のギャップを埋める動きだったと思われる週明けから酷い目にあった…
ギャップを埋める動きだということはわかっていたためナンピンして耐え、翌日なんとかプラスで撤退


日経 225CFD 一時間足

日経 225CFD 一時間足

綺麗にギャップを埋めてその後下落トレンド発生


EURUSD リテール売買動向

EURUSD リテール売買動向

GBPUSD リテール売買動向

GBPUSD リテール売買動向

どんどんショートが溜まっていったドルショート戦略はバカ当たりした
笑いが止まらないほどドルが売られたため、一週間通して利益確保に励んだ


また、週半ばから EURUSD のリテールショートが増えたり減ったりしたため、ユーロの異変を察知とはいえあれだけ強いユーロを売る気にはなれなかったため
どんどんショートが捕まりまくっているポンドを横目に EURGBP のショートで参戦結果、こちらもシッカリと利益確保できた

そして問題の金曜日
引き続きドルショートを持っていたが、ロンドンフィックスまでにはまだ時間があるにも関わらずちょっと様子がおかしいと思い NY タイム入り口でドテンドルロングに持ち替え
月末のため無理をせずそこそこで利益確定
今月は前半まあまあだったが、後半は振ればあたるという月になった


8 月は波乱が予想される
得意な相場なため、落ち着いて挑みたいと思う

来週からの戦略

前述しているが月初のため、落ち着いて入りたい
まずEURUSD がどこまで戻すかの見極めになるだろう

EURUSD 日足

EURUSD 日足

ずっとサポートとして機能してきた 5 日移動平均線(青)に接触して引けたただ、高値更新し続けた後の上ヒゲ陰線で非常に興味深い

続いてドル円
ドル円リテール売買動向

ドル円リテール売買動向

CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

シカゴの投機筋とミセス&ミスターワタナベの明暗がクッキリ分かれた結果となったドルは目先強そうだが、いつまで続くかわからない強さである
昨日の動きは単なるショートカバーという向きもある戻りを狙うのか?反転を待つのか?
大きな動きを狙うにはドルショートのタイミングを虎視眈々と待つほうが得策だろう


そしてGold
史上最高値は達成したものの 2000 ドルチャレンジ失敗

なんだかオプションの様なポジションがあるように思える動きでハナを取ってくれるプレーヤーがいないのか? 一度押すまでは無暗に手を付けたくないが、シカゴのポジション動向を見るとだいぶロングが減ってきた
買いたくなるのも事実


まあ月初のため無理はしたくないので、様子見するしかないだろう
その間 2000 ドル達成してしまったらそれはそれ、波乱の 8 月なのでいくらでもチャンスはある

CFTC 金先物投機筋 NOP

CFTC 金先物投機筋 NOP

そして株


CFTC NY ダウ先物投機筋 NOP

CFTC NY ダウ先物投機筋 NOP

捕まっていたショートが減ってきた。そろそろか?

ただ注意が必要でもある 逆張り師匠が買い始めた…

バフェット氏率いるバークシャー、バンカメ株を買い増し ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/bank-of-america-berkshire-idJPKCN24W0EJ


ただ、この人の場合
買ったらすぐ上がるという感じではない、皆が忘れたころに一人だけ笑っているという感じなので我々短期筋はそんなに神経質にならないほうがいいかもしれない

GAFA+M(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン+マイクロソフト)のたった 5 社の時価総額が東証一部の時価総額を超えたというのが数か月前
一国の株式市場、しかも世界有数の市場である東京市場のトップクラスの部門の時価総額をたったの 5 社で上回るとは…
アメリカという国が凄いのか、日本がダメなのかはよくわからないが異常な株価といえないだろうか?
かつて私が子供のころ、東京都23 区の地価がアメリカ本土全ての地価を上回ったと騒がれていた、その後日本のバブルは崩壊し散々たる結果になるのだが、このまま青天井で米株価が上昇するのかは甚だ疑問だ

米金融当局は投資家を子供扱い、市場は「超現実」-クラーマン氏 ‐Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-30/QEAGVNDWRGGA01?srnd=cojp-v2 確かに氏の仰る通り自由市場という言葉はもう陳腐化してしまった
親が金を出して人工呼吸をさせている状態だ
ともあれ株式市場の二極化は避けられないだろう
これが続くと、なーんか変な規制が入りそうな気がしないでもない
市況レポートで触れたが、世界に冠する IT 企業トップが公聴会に呼び出されるのはその前兆と言えなくもない来週の戦略。
目先ドル買いだろう。ただ、月曜日は様子見としたい
EURUSD が月曜日陰線なら 1.14~1.12 ドル後半まで下げる可能性がある従って、EURUSD は月曜陰線その辺まではドル買い目線で行きたい
それをインジケーターとしてドル円もロング→ショートという戦略か


また、EURGBP はショートでいいだろう
EURUSD を売れなかった連中はまだ下げ余地のある GBPUSD を売ってきている
ところが相場はそんなに甘くない「まだ間に合いますからこっち売ってください」とチャートに書いてあるときはだいたい逆に行く…

そして株
私は売りたい、というより売る。
来週も高いところを見極めて売ってみようと思う特にお勧めは日経平均のショートだ。
日本には世界トップクラスの IT 企業が無い。
技術はあっても世界的なシェアを取れる IT 企業が生まれにくい
先週のニュースは 1000 億の赤字、1000 億の赤字と皆計ったように 1000 億の赤字オンパレードだったよく潰れないもんだ、どんだけ内部留保積んでんのだか

弱い決算発表と自粛要請と相まってこの 8 月… ボッコシ下げる様な気がしている

という戦略で行きたいと思います。


今週もありがとうございました。 来週もよろしくお願いいたします。

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