タイトル 「50%」 プロローグ 1 ウレタン製の床の上を歩くと、軽やかな足音が早朝の病院の廊下に木霊する。廊下の蛍光灯はついていなくて、病院全体が山奥の茂みの陰にいるように薄暗い。 今は十二月の下旬、朝の六時半、まだ夜明け前である。もうすぐ年越しなのに、病院内は完全セントラルヒーティングのおかげで生暖かい空気が漂っていた。窓の外に見えるイチョウの木は、月影に凍えて枝を震わせているというのに。 壁に掛けられた何
ここでは静寂と名乗っている者です。 私が書いた小説を載せています。 ただいま無料で公開しています。 メンヘラ小説なのでご注意ください。