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『ジョージ・オーウェルの「政治と英語」と文章』

分かりやすい文章を書くために、ジョージ・オーウェルの6つの規則を以前は結構意識していました。
今ではあまり意識することもないですが、note で文章を書く様になり今一度振り返っておこうと思います。

「政治と英語」は、1946年に発表された、ジョージ・オーウェルのエッセイです。
ジョージ・オーウェルは、「1984」「動物農場」で有名ですよね。

このエッセイの中で、オーウェルは執筆当時の醜悪で不正確な英語の書き言葉を批判し、それは愚劣な思考と不誠実な政治の結果であると同時に、原因であり、曖昧さと全くの無能さが当時の英語の文章、特に当時の政治的な文章の最も顕著な特徴であると主張しています。

「政治と英語(Politics and the English Language)」(1946年)は、オーウェルの有名なエッセイで、「悪文」をテーマとしています。

このエッセイで、政治では抽象的な言い回しが多用され、それは不誠実で、人をだますのに使われている、といったことを述べています。
そして、オーウェルは、良い文章の例として、「コヘレトの言葉」の一節を引用しています。

I returned and saw under the sun, that the race is not to the swift, nor the battle to the strong, neither yet bread to the wise, nor yet riches to men of understanding, nor yet favour to men of skill; but time and chance happeneth to them all. (私は再び陽の下に見た。速い者が競走に勝ち、強い者が戦いに勝つとは限らず、賢い者がパンにありつくのでも、聡い者が富を得るのでもないし、器用な者が好意に恵まれるのでもない。しかし時と機会は誰にでも与えられている)
※Wikipedia を引用

これを、現代英語でよく見られるような最悪の文章に書き直してみると、こんなふうになります。

Objective considerations of contemporary phenomena compel the conclusion that success or failure in competitive activities exhibits no tendency to be commensurate with innate capacity, but that a considerable element of the unpredictable must invariably be taken into account. (現時点での諸現象の客観的な問題は競合的活動における成否が生得の能力に見合う傾向を示さないという帰結を強制するが、予測不能な要素の可能性を普遍的に考慮せねばならない)
※Wikipedia を引用

このような、抽象的でわかりにくい文章を避けるために、オーウェルが提示した「六つの規則」が以下です。

1. 印刷物で見慣れた暗喩や直喩、その他の比喩を使ってはならない。

2. 短い言葉で用が足りる時に、長い言葉を使ってはならない。

3.ある言葉を削れるのであれば、常に削るべきである。

4. 能動態を使える時に、受動態を使ってはならない。

5. 相当する日常的な英語が思い付く時に、外国語や学術用語、専門用語を使ってはならない。

6. あからさまに野蛮な文章を書くぐらいなら、これらの規則のどれでも破った方がいい。

というものです。

このオーウェルのエッセイは英語について書かれたものですが、日本語にもほぼ当てはまると思います。

カッコつけて、気取った言い回し、むずかしい言い回しは、内容が伝わりにくいです。

読み手を煙にまこうとしているか、だまそうとか、わざと難解にしようというつもりはなくても、つい気取った言い回しや、むずかしい言い回しを使ってしまうことはよくあります。

少なくとも僕はあります…
反省…

定期的に、この「六つの規則」を思い出すようにしています。

とはいうものの、全てこの規則に従っていても読書の心を捉えられないと思うので、そこから少しはみ出すようなバランスを心がけてます。

書くことを生業としているわけではありませんが、良い文章、分かりやすい文章が書けるようになりたいです。

全然まだまだで日々修行です。

おしまい

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