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『GO! DX プロジェクト』 STEP1 企業変革の目的

前回、Re:Think DXということで、DXの本質について再考してみました。

今回から、「GO! DX プロジェクト」として、DXプロジェクトの推進について何回かに分けて書いていこうと思います。基本的には毎週金曜日の配信を予定してます。

前回のDXの実現ステップを再度以下に示します。
【図-1】DXの実現ステップ

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今回はその1回目として、「STEP1 企業変革の目的」です。
前回もこの「STEP1」がとても重要です、という話をさせていただきました。
あくまでも、DXは手段で、目的は企業変革ということです。この企業変革を実現するためにデジタル・テクノロジーを使うことがDXです。

以下、DXビジョンを策定するにあたってのフレームワークとして使っています。
【図-2】DXビジョンの策定

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「環境の変化について」「産業構造の変化について」「企業の内の状況について」について、この3点から現在どのようなことが起きているか?
そして将来どのようなことが起きるか?を分析します。
ここから、
なぜ企業変革しなければいけばないのか?
なぜ、デジタル化しなければいけないのか?
という変革の背景を明確にします。
その背景から、デジタル・テクノロジーをフル活用して、どのような方針でDXしていくかを導きだします。
そして、企業変革は経営者だけが行えません。
従業員全体にその必要性を理解してもらい推進することが必要です。

企業変革を他人事ではなく自分事として捉えることです。
そのために、なぜ改革が必要なのかという本質を伝えることが求められます。

重要なことは「Why?なぜ?」です。

TED トークで有名なサイモンシネックの「Whyから始めよ!」ゴールデンサークルがとても参考になりますので紹介しておきます。
【図-3】Whyから始める

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DXに限った話しではないですが、WHYを飛ばして、HOWやWHATから始めると、目的が明確になっておらず、プロジェクトの成功にはなかなか至りません。全てのプロジェクトにおける成功原則が目的の明確化です。
ただ、HOWやWHATから始めることを目にする事は意外とあります。
いきなりRPAを入れてやってみるとか、目的が明確になっていないのにAIを入れてPoCしてみるとか…

そこで、思考法について触れておきます。
「目的思考」と「未来思考」で考えるということです。参考にしていただければと思います。

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目的思考については、前述のゴールデンサークルを参考にしています。

さて、もう一つが未来思考です。

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未来思考について簡単に説明すると、現在の課題や問題だけをみるのではなく、時間軸を伸ばして、その課題や問題が将来どうなるかを考えます。環境の変化はもの凄いスピードで変化しています。企業変革は1日ではなし得ず、中長期的に考えなければいけません。
現在の課題を1年後に解決ても1年前の課題を解決しただけで、世の中は変わっています。現在の課題を解決しただけでは、1年後にはすぐに陳腐化します。

さて、では【図-2】DXビジョンの策定で示した「環境の変化」「産業構造の変化」「企業内の状況」の3つについて説明していきます。

【環境の変化について】
まずは、環境の変化について考えてみます。
最も一般的な手法としてのPEST分析で考えてみます。政治、経済、社会、技術の英語の頭文字をとってPESTですね。

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通常のPEST分析では、現在のPESTの分析になりますが、現在だけでなく未来も想像しながらPEST分析をすると有効です。(未来思考)
環境はものすごいスピードで変化しています。
あるスナップショットだけの事実をみていても、すぐに変化します。

【産業構造の変化について】
産業構造の変化については、企業を取り巻く環境企業に関係者(ステークホルダー)について分析をします。

1)企業を取り巻く環境の構造
企業を取り巻く環境の構造をみてみましょう。

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M.E.ポーターは「競争の戦略」で「5フォース」を提唱しました。
「買い手」「売り手」「代替品」「新規参入」「競合」の5つです。現在はこの5つの力に対して、間接的・直接的に6つ目の大きな力が働いています。
それこそが、「6番目の力:デジタル・テクノロジー」です。

自社の産業構造でこの「6番目の力」がどのように影響しているか考えてみてください。
そして、その6番目の力を後押ししている要因の一つが「新型コロナウイルスの感染拡大」です。

2)ステークホルダーについて
一方、企業の周辺に目を向けてみましょう。
企業に携わっている関係者(ステークホルダー)がいます。
ステークホルダーとの関係も大きく変わりつつあります。

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ステークホルダーを再考します。
企業変革を行うのですから、各ステークホルダーに説明する必要があります。特に上場企業は必要でしょう。
ステークホルダーの変化を分析します。
顧客はデジタル化が進み、多様性が増しています。対象とする顧客も変わるかもしれません。顧客接点も多様化し関係性も変わるでしょう。従業員はリモートでの勤務が増えたことでしょう。株主にもESG投資へのシフトが見られます。
今回の新型コロナウイルス感染拡大は、ステークホルダーそのものや、その関係性を変えている可能性があります。

【企業内の状況】
顧客満足度(CS)、従業員満足度(ES)
ステークホルダーの一部でもある、顧客と従業員について深掘りします。
目をむけるべきは、顧客のクレーム、従業員が抱えている不満です。
このCSとESという2つについては、前述の2つ(環境変化、産業構造)とレベル感が違うなって感じるかもしれませんが、この2つを考慮しておくと、ステークホルダー(特に従業員)に伝える時に私事として捉えてくれます。

で、最終的に企業変革の目的として以下のような図を作成します。あくまでも私が使っている図ですので、企業等にあわせて作成してくださいね。

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変革の理由、どう変わるのか?
そのためにはどんな価値感が必要か?
ミッションとして、ビジョンを実現するためには何をしなければいけないのか?
そして、ビジョンとして、その変わった先の情景はどうなっているのか?

「環境の変化について」「産業構造の変化について」「企業の内の状況について」から、企業変革の理由を導き出します。

上図の左下が現在の状況です。
右上がその現在の問題を解決した薔薇色の情景です。現在から未来を繋ぐ矢印が企業変革の方針です。そして、その方針を実現するために今や欠かせない手段がデジタル化です。社会全体がデジタル化しているからです。
さらに、変革を進めるには社内における価値観も変えていく必要がありす。
これが、上図に込めた内容であり、「企業変革の目的」で最低限必要な内容だと思っています。

そして、もう一つこのSTEP1で重要なことです。これを経営者が言語化して全社員に伝えるということです。

参考に伝える力としての「エコス、ロゴス、パトス」も参考にしていただけると幸いです。

今回は、STEP1 企業変革の目的について書きました。もっと書きたいこともあり中途半端になってしまった部分もありますが…
コメントや意見や質問あれば、どしどしください!

次回は、STEP2 「DX専属の組織をつくる」について考えていきたいと思います。

では、また来週〜

つづく

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