私を構成する昭和の漫画

それにしても、目に見えないコロナウィルスへの不安のなかで、肩の凝らないそして目で楽しむ漫画に思いをはせるのは、愉快なものですね。気が晴れます。

さて、「私が好きな漫画」ならば、富永一郎、小島功、鈴木義司、サトウサンペイ、山藤章二などなどですが、
「私を構成する漫画」となると、ちょっと違います。


① 長谷川町子『いじわるばあさん』
何故か知らないが、家にあった。
とにかく、本がぼろぼろになるまで、よく読んだ。
もう、自分に、染みついている。

② 田河水泡『のらくろ』
「少年は、知恵と勇気で、巨大な敵に立ち向かう」ことを教わった。
『ワンピース』にまで続く、少年漫画の黄金律がそこには在る。
この黄金律が繰り返される限り、日本から、正義を求める心は消えない!

③ さいとうたかを『ゴルゴ13』
けれどいつの日か、少年は「知恵と勇気」だけでは戦えないことを知る。
そのとき、大人のモラルを教えてくれるのが、ゴルゴだ。
彼は、「ほかの誰でもなく、あなたに」という依頼を引き受ける。必ずしも金のためではない。そして彼自身の言葉によれば、「うさぎのように臆病」なので鍛錬を続け、ミッションを果たし続けることができる。また裏切りにみちた戦場で、ひととの信頼関係を築く第一歩が時間厳守という点も、重要だろう。

④ 池田理代子『オルフェウスの窓』
アレクセイ・ミハイロフは、真の貴族だからこそ、民衆のために、革命家となった。
僕は、この人物と出会ったとき、ひとりぼっちではないと思うことができた。

⑤ 手塚治虫『バンパイヤ』
手塚治虫の漫画は、どれもこれも、人間描写と社会風刺がきわだっている。
彼が空襲という圧倒的で絶対的な破壊から学んだことは、21世紀の日本のリベラルが唱えるような、やすっぽい平和への愛とやらでは決してない。
むしろすべてのものは破滅するという認識から、あらゆることを考え始める思考様式である。
本当は、是非若い方々に、1970年ごろのフースケが活躍する漫画などを紹介したいのだが(社会を支配する倫理への、手塚の反逆ぶりが楽しめる)、
槇村香さんから「時代の空気、読まんかい!」と殴られるのも怖いので、
ここでは『バンパイヤ』を挙げておく。

#私を構成する5つのマンガ

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