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フランスの童謡-コトバの音を楽しむ


意味がなくちゃいけないの

童謡には無意味なものも多いですよね。
意味がまったく分からないものもあります。
たとえば「ずいずいずっころばし」。

でも音が耳になじみます。
いいんです。意味なんか、分からなくても。
意味が分からないものを排除したら、自分の小さな頭で理解できるものしか、理解できなくなります。
大きな人間に成長するためには、つまり現在の自分の殻を打ち破るためには、分かりやすいものだけを吸収していてはダメなのです。

「ピルエット・カカウェット」

「ほらばなし」というジャンルがありますよね。
「ナンセンスギャグ」みたいなものです。

フランスの童謡で「ほらばなし」と言えば、
« Pirouette cacahuète »(ピルエット・カカウェット)でしょうか。

タイトルのピルエット・カカウェットは、ピルエットには「ダンスの旋回」、カカウェットには「ピーナッツ」という意味はありますが、特に歌詞とは関係がありません。つまり無意味です。べつに歌の主人公がダンスを踊るわけでも、ピーナッツを食べるわけでもないのです。
でも大した意味がなくても、言葉の音が楽しめれば、よいのです。

日本人も、そういうの、好きですよね。
例えば、「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン」
「ピピルマピピルマプリリンパ、パパレホパパレホドリミンパ」
「ピーヒャラピーヒャラパッパパラパ、ピーヒャラピーヒャラおどるポンポコリン」
「奇妙奇天烈摩訶不思議、奇想天外四捨五入、出前迅速落書き無用」
「愛と真実の悪をつらぬく、ラブリーチャーミーなカタキ役。銀河をかけるロケット団のふたりには、ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ」
「月もおぼろに白魚の、かがりも霞む春の空、つめてえ風もほろ酔いに、心持ちよくうかうかと、浮かれ烏のただ一羽・・・こいつは春から縁起がいいわい」などなど。

ながいながい子守唄

「ピルエット・カカウェット」は、なんと歌詞が8番まで用意されています。
子どもを寝かしつけるために、あえて長い長い話になっているのだと思います。
今晩は何番まで歌わされるのかしらと思いながら、歌ってあげましょう。

ここで唐突ですが、世のお父様方へ。
子どもがあなたと一緒に遊びたがるのは6歳ぐらいまでです。
6歳を過ぎると、男親と遊ぶよりは、むしろ他の子どもたちと一緒に遊ぶようになります。

以後、子どもが就職する頃まで、つまり人生や仕事に悩む頃まで、子どもにとって男親は不要となります。
だから男親は、その15年ぐらいのあいだに、家の外で仕事を一生懸命やって、そしていざ、子どもが仕事とかに悩む年頃になったとき、子どもに人生を語ることができる親に成長していれば良いのだと思います。

ですから最低限6歳までは、子どもの面倒をいろいろとみましょう。
たった6年間です。
例えば、寝かしつけるのは、重要な仕事です。
夜泣きする赤ん坊を、眠い目をこすりながら、抱きかかえて童謡を歌う-。
10年もすれば、良い思い出になります。

あらすじ

以下、「ピルエット・カカウェット」のあらすじをご紹介しましょう。

昔々、小さな男がいました。男はヘンな家を持っていました。
その家はダンボールでできていました。階段は紙でできていました。
もしも階段を上ろうとしたら、鼻の頭を折ってしまうでしょう。
郵便屋さんは階段を上って、鼻の頭を折ってしまいました。
仕方がないので、その鼻の頭を、綺麗な金色の糸で、なおしました。
ところが美しい金色の糸は切れてしまい、鼻の頭は飛んでいきました。
けれどジェット機が鼻の頭をつかまえてくれました。
私の話はこれで終わりです。紳士淑女のみなさま、拍手をどうぞ。

ではミュージック、スタート!



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