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フランスの童謡-大人のために


まだ言葉が通じない赤ちゃんに、子守唄として、何を聞かせますか?
抱いて寝かしつけるとき、やっぱり音楽は必要です。

でもこちらも大人ですから、あまりにもばかばかしい歌は、知的に耐え難いわけですよ。
飽きちゃうじゃないですか。
そんな、なかなか童心にかえることができない、あなたのために、二曲、素晴らしい歌を御紹介したい。是非、子守唄に使ってやって下さい。

「チャーリー・ブラウンという名前の少年」

チャーリー・ブラウン。御存知、スヌーピーのカレです。

意訳。
「チャーリーみたいな少年。なんにもうまくいったことがない。あちらこちらで失敗する。神よ、チャーリーにとって人生はつらいのです。
チャーリーが手にいれるのは、厄介事だけ。でも彼は諦めて受けいれる。まさにこれぞ、現代っ子だ。
僕だって、チャーリーのようだったんだ。大空をもっとよく見ようと、凧の糸をのぼったんだ。
だけど糸は切れて、ひとりぼっち、草原の上。さっきより、ちょっと悲しくなって、涙をこらえる。」


あなた自身、いろいろとうまくいかないことがあってつらいとき、赤ちゃんに「おまえも、人生、頑張るんだよ」という祈りを込めて、聞かせてあげましょう。

「脱走兵」

あなた「ウクライナ戦争のニュース、見たい。気になるよ。だってひとが虐殺されているんだよ。」
パートナー「そんなものを見ている暇があったら、子供を寝かしつけて下さいよ。それとも育児放棄するの?それって虐待ですよ。」

やれやれ。でもそんなときは、是非、この「脱走兵」を子守唄がわりに。

意訳
「大統領閣下、お手紙、差し上げます。お時間がおありでしたら、お読み下さい。
水曜の夜までに戦争に行けと、召集令状を受け取りました。
大統領閣下、私は戦争をしたくありません。可哀想な人たちを殺すために生まれてきたわけではありません。
あなたを怒らせたくはないのですが、言わなければなりません。私は決めました。脱走します。
生まれてからこのかた、父さんが死ぬのを見て、兄さんたちが出征するのを見て、子どもたちが泣くのを見てきました。
母さんはとても苦しみ、いまはお墓のなか、爆弾をからかい、ウジ虫をからかっています。
私が捕虜だったとき、私の妻も、私の魂も、私の愛おしい思い出も、奪われました。
明日の朝早く、死んだ年月に扉を閉めて、私は旅立ちます。
私はフランスじゅうの街道で、物乞いをするでしょう。ブルターニュからプロヴァンスで。そしてみんなに言うでしょう。
服従を拒絶せよ。戦争を拒絶せよ。戦争に行ってはいけない。出征を拒絶せよ。
もし血が必要ならば、大統領閣下、あなたの血をあげればよい。大統領閣下、あなたは偽善者です。
もし私を追跡したければ、憲兵たちに知らせてあげて下さい。
私は武器を持っていないから、撃ってもよいのだと。」


ウクライナ戦争が始まると、フランス人たちは早速この歌のロシア語訳をつくって、ユーチューブで流したそうです。ロシア兵に届くとよいのですが。どなたかイスラエル語訳をつくっていただけませんか?
中国語訳も必要になるでしょう。

もちろん「服従を拒絶せよ」とか言って、子どもが寝るのを拒絶したら困るのですけどね。

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