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清風堂のおすすめ vol.13(2023/12/3)

 こんにちは、清風堂書店の谷垣です。

 『大阪の生活史』(岸政彦/筑摩書房)がようやく刊行されました。『にがにが日記』を読み終えたら買います。これはいま帰りの電車で読むのが習慣になっているんですが、岸先生の日記めっちゃおもしろいです。笑うのをこらえてニヤニヤ顔で読んでるので、まわりの人に気持ち悪がられてるとおもいます。十三のあの店で飲んだとかそういう話がちょいちょい出てくるので、美味いお店に詳しくなれます(揚子江ラーメンは梅田の至宝)。あと、どんくまのイラストがかわいい。グッズ化しないかなぁ。

 そういえば、当店で配布していた「どんくまマグネット」は在庫なくなりました。岸先生にTwitterで広めていただいたおかげで、「どんくまマグネットありますか」と連日たくさんのお客さんにお越しいただきました。ありがとうございます。おかげさまで本もよく売れました。


これから出る本

『わかりやすさの罪』武田砂鉄/朝日文庫

”わかりやすさ”の妄信・猛進が止まらない。「すぐにわかる」に頼るメディア、ノウハウを一瞬で伝えるビジネス書、「4回泣ける映画」で4回泣く観客。すぐに「どっち?」と問われて「どっちでもねーよ!」と答えたくなる日々。納得と共感に溺れる社会で与えられた選択肢を疑うための一冊。

内容紹介より

2020年に出たものが文庫化。この頃から武田砂鉄さんの知名度が上がってきたんですね。

『話が通じない相手と話をする方法』晶文社

考えが極端に異なる人と対話するには?
入門級から達人級まで6つのレベル別に伝授。家庭、学校、サークル、そしてSNS……分断と二極化の時代を生き抜くための対話術の決定版。

内容紹介より

 『「社会正義」はいつも正しい』(早川書房)が今年1月に邦訳刊行され話題になりましたが、この本で紹介されている「第二のソーカル事件」(フェミニズムの用語で書き換えたヒトラー『わが闘争』など、学術誌に投稿したデタラメ論文20本のうち7本が査読を通過する)に関わった2人が本書の著者ということらしいです。『<公正>を乗りこなす』(朱喜哲)につづく類書となるのか、はたまた…。いずれにせよ気になりますね。1月下旬発売予定。

『ニッポン政界語読本』※【単語編】【会話編】同時刊行
イアン・アーシー/太郎次郎社エディタス

今日も国会では、政治家たちの摩訶不思議なことばが飛び交う。かれらの「政界語」をマスターすれば、トンデモ発言のほんとうの意味もわかってくる?カナダ人の言語オタクにして政界語研究の第一人者(自称)を講師役に、話題の発言=教材を味わいつくす。政官財はじめ各界を驚愕させた前著『怪しい日本語研究室』から20年、ファン待望の新刊

内容紹介より

 「原則として~」「誤解を招く」「所管外ですので、お答えは控えさせていただきます」などなど、見ているだけで頭が痛くなってくる(場合によっては腹が立つ)ようなこれらの言葉をつぶさに研究した一冊。単語編と会話編が同時に出ます。12月下旬発売。

11/30の店番日記

 夜。コミック奥のスペースで仕事をしていると声をかけられた。

 「心理学の本はどこにありますか」

 心理学といってもいろいろあります。なにか専門のお仕事をされているのなら専門書を求めるだろうし、ビジネスパーソン向けに書かれたもの(『嫌われる勇気』など)まで幅広い。もっと探せば、文庫・新書の棚にもあるかもしれません。大型書店なら心理学のコーナーへ連れていけばまず間違いないかもしれないけど、書店によっては一ヶ所にまとまっていないケースもあります。それに加えて、どの棚に置くかは担当者次第という事情もあることでしょう。よくよく聞いてみると、今回のお客さんは「資格書が見たい」とのことでした。

 資格書といえば、この分野の問い合わせをしてくる人の一部には、かなりクセのある人がいることを思い出さずにはいられません。ほんとにいろんな人がいます。前職時代、司法書士のテキストを注文してくるお客さんがいました。そのテキストはシリーズもので、全部で15冊近く刊行されていたとおもいますが、なにしろ見慣れない言葉(専門用語)が並ぶため、仕事に慣れないうちはどれがお目当てのテキストなのか探しづらい。しかもそのお客さんはいつも電話で注文してきます。受ける人によっては声が聞き取りづらいこともあり(私がそうでした。電話の声がほんとうに聞き取りづらくてストレス…)、トラブルの一因でもありました。そして、こちらがすこしでもミスをするとものすごいクレームに。結局来店するんだったら、誰かに頼まず自分で選べばいいのに…。

 その前にアルバイトしていた書店では、テキストの旧版を注文してくる客がいました。例えば『行政書士の教科書 2023年版』が棚に並んでいたとすると、2022年版はないか、2018年版はないかとか聞いてくる。そんなもんありません。国語辞典の旧版を蒐集する趣味(旧版と新版を比較して言葉の移り変わりを楽しむ)があるのは知っていますが、資格書の旧版を聞いてくる人は初めてです。というか、後にも先にもないとおもいますが…。

 と、これを書いていると、さっき資格書の棚へ案内したお客さんがスタスタとこちらに歩いてきた。またなにか変なこと聞かれるんかな。いやな予感がする。

「トイレ、奥にあるって聞いたんですけど」
「あ、店内にはないんです。店を出て奥になります」

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 せっかくだからLINEビジネスを使い倒してやろう!と登録して使い始めたものの、クーポンを配布できない書店にはあまり向いてないみたいです(原則、書籍は割引販売できないからです)。文具や雑貨をたくさん扱っているお店なら活用できるのだとおもいますが…。

 基本的にはTwitter(現・X)で情報発信をしているので、そちらをご確認ください。とはいえ、Twitterもいつか使いものにならなくなるんじゃないかという不安もあります。分散型SNSに移行した方がいいのかな…。

(終)


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