「正調粕取ジン」プロジェクト始動!!

はじめに

本noteでは、正調粕取焼酎の可能性を少しでも広げ、認知の向上・消費の拡大・文化の継承などに繋げるため、ボタニカルとの相性を探る実験を開始しました(過去の記事を参照)。

上記のうち第一回目の実験を行った直後のこと、かねてから交流がある東京リバーサイド蒸留所のマスターディスティラー・山口歩夢さんが、私の拙い実験に呼応する形で一本のDMを送ってくださいました。

読んでびっくりの内容です。
私は一介の素人、それに対して山口さんは若くして恐るべき技量・知識・好奇心、そして粕取焼酎への熱い想いを持つプロの蒸留家、そんな方からのお誘いを断る理由があるでしょうか(いや、ない)。

その後、都内で軽く打ち合わせをして、プロジェクトのキックオフとして「試飲&企画会議」をやろうという流れになりました。

キックオフ試飲&企画会議

お話を頂いてから2か月後の4/18(日)の夕方、図々しくもまだ工事中の「東京リバーサイド蒸留所」の一室にお邪魔しました。

試飲&企画会議の趣旨は次の通り。

①正調粕取の味わいとバリエーションを関係者で共有する。
②ボタニカルなどを加えて遊びつつ味わいの方向性を探る。
③正調粕取りジンのコンセプトについて意見交換する。

集まったメンバーは以下の5組・6名。
世界広しと言えども数少ない正調粕取の識者を厳選し、召喚しました。

・山口さん(東京リバーサイド蒸留所マスターディスティラー)
・「あの」congiro(酒マニア・ブロガー、正調粕取コレクター)
・SBG氏(酒マニア、奇跡の舌を持つ粕取ソムリエ)
・セガワ氏&ハタ氏(新橋の居酒屋「ひらの」の大将&経営者)
・正調粕取.netの中の人(わっしー)

私が持ち込んだ正調粕取焼酎は以下の11本。

写真1枚目左から
・富源 25°(大分県・浜嶋酒造)
・非売品
・簸上粕取焼酎 25°(島根県・簸上清酒)
・ヤマサンのかほり 35°(島根県・酒持田本店)
・偏骨屋 28°(大分県・老松酒造)
・枯草 25°(鳥取県・稲田本店)
写真2枚目左から
・辰泉 初龍2006 43°(福島県・辰泉酒造)
・きじ車 十年熟成 35°(大分県・八鹿酒造)
・マル京 25°(栃木県・渡邊佐平商店)
・天鷹 五年熟成 43°(栃木県・天鷹酒造)
・樽平 十年熟成 40°(山形県・樽平酒造)

ボタニカルは山口さんが色々と用意してくれました。
シソや柚子などの和物から、ジュニパーベリー、アンジェリカ、ローズペットレタルなど多士済々。

参加者一同であーだこーだと言いながら、飲んで、混ぜて、飲んで、混ぜての繰り返し。(congiro氏のブログから一部写真を拝借)

いやあ、盛り上がりましたね。
あっという間に4時間が経っていました。

11種類もの正調粕取を比較しながら味わうすることによって、それぞれの個性、総体としてのバリエーション、味わいと製造プロセスとの関係性などについて知見が深まりました。
そして、正調粕取とボタニカルとの相性については、和物・洋物問わず総じて良好でありつつも、いくつかキラリと光る組み合わせを見出すことができました。

最後に、山口さんを中心に、ベースとして使う正調粕取の味わい、ボタニカルの候補、最終的な味わいのイメージ等について意見交換。
なかでも、以下のやりとりが面白かったです。

congiro:この手の商品は前提として思いっきり趣味に走るのか、それとも多くの人を満足させるであろうラインを突いていくのか?
山口:まず、美味しいことは前提としてあるんですけど、でもやっぱり今回みたいな正調粕取ジンは誰も飲んだことないですからどういった反応が来るのかはわからないですね。
正調粕取.net:サブスク向けということで顧客が絞られているので、ある程度趣味系で走って良いのでは。正調粕取の個性である籾殻の香りを活かして欲しい。

帰り際に蒸留器を見学させて頂いてお開き。
山口さんと、お付き合い頂いたcongiro氏、SBG氏、セガワ氏、ハタ氏に感謝。

今後の展開

「正調粕取ジン」は、製品として存在する正調粕取焼酎を買い取り、東京リバーサイド蒸留所で再蒸留し、そこにボタニカルの風味を加えて製造します。
正調粕取焼酎の選定はこれからです。理想としては、在庫として溜まっているものを買い取り、そこに新たな魅力を加えることにより、以降の販売の活性化を図ることを目論んでいます。
ボタニカルの選定・配合や蒸留等の作業については、当然のことながら山口さんに完全にお任せとなります(こんな丸投げで連名にして良いのかという気もしますが…)。

出来上がった商品は、東京リバーサイド蒸留所のサブスク会員限定で頒布されます。
これまでのサブスクでは、「カカオ+トンカ豆」のジン、「シイタケ」のジンなど、個性と完成度が両立した素晴らしいジンが届けられています。
ご興味がある方は、正調粕取ジンをきっかけとして加入されてはいかがでしょうか。

また、会員でない方にも「正調粕取ジン」を楽しんで頂けるよう、何らかの機会を設けたいと考えています(少量生産なので限られてしまいますが…)。
今後のプロセスは、本note及びTwitterで逐次お知らせしていきますので、楽しみにお待ちください。

最後に、私の思いを少しだけ。

昨年から続く新型コロナ禍は、全ての酒類関係者(飲み手を含む)、そしてその全員に支えられてきた酒文化を苦境に追い込んでいます。
私は普段、和洋問わず様々な酒を楽しんでおり、応援したい酒は山ほどありますが、立場としては一介の飲み手に過ぎず、出来ることに限界があります。
そうした中で、いまは自分が取り組んで一番意味があることは、正調粕取焼酎の文化を絶やさないように、その魅力と楽しさを伝えることであると信じています。
これまで暗中模索で取り組んできたなか、山口さんと出会い、「正調粕取ジン」と言うまたとない企画を頂けたことに深く感謝しています。
このチャンスを活かすべく、大いに楽しみ、それを皆さんと分かち合うことにより、希望を見出していきたいと思います。

<了>

追伸
congiro氏が試飲・企画会議の様子をブログにアップしてくれました。

持つべきものは悪友ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?