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第1105回【nakaちゃんねる 圧巻人生達成プログラム】(2024/6/10)▲▲祭りの後の省察①、の話▲▲


ウルトラマラソンが終わり
翌朝は呆けたような状態になっておりました。
14時間弱、
100キロを走り続けた(かなりの部分で歩いてはいるが)のですから
それなりに思い入れのある一日になりました。
何と言っても階段の上り下り(特に下り)が大変です。
手すりが無ければ、下りることができません汗。
これもあと一日あれば
十分に元に戻るでしょう。


今日は
当日の14時間近くを、
来年のために振り返っておきたいと思います。


そもそもなぜ
「100キロ」などという酔狂なイベントに
参加しようと思ったのか?

きっかけは村上春樹の
『走ることについて語るときに僕の語ること』
を読んだことでしょう。

村上春樹は本書の中で
ウルトラマラソンをこのように定義しています。

『日常性を大きく逸脱しているが、
 基本的には人の道に反していない行為』


元々が天邪鬼な性格ですから、
非日常を味わってみたい。
しかも、周りにいる人たちが
そう簡単に手にすることができない行為を。
一人黙々事を進めるのが苦ではない私には、
うってつけだったとも言えます。


そもそもウルトラマラソンの定義が
かなり曖昧なのです。
42.195キロを超えればウルトラ、
という解釈もあるようですが、
一般的な大会であれば
60キロとか70キロとか100キロという部があるわけです。
(つまり、43キロではウルトラ走ったとは言い難い)


私が3年連続エントリーした
飛騨高山ウルトラマラソンは、
71キロの部と100キロの部があります。
(なぜ70キロじゃないのか??)
当初71キロで良いだろうと考えていましたが、
男たるもの100キロ一択だろうと言われ
(正確にはそう言われてないが、極めて近しい言葉)
100キロ以外の選択肢は早々に無くなったことになります。


ちなみに100キロというと
いまいち距離感が漠然としているはずです。
東京を起点にすると
西は沼津
東は銚子
北は前橋
辺りまでの距離に相当するそうです。

JRの近距離列車なら
乗り換えなしで行けるじゃないか、
とも思えますが、
やはり100キロですからね。
周りの人からイロモノの目で見られるのも
自然なことですよね。


飛騨高山ウルトラマラソンは
毎年6月の2週目に、
古都・高山を起点に行われます。

高山は高地だから涼しいと思われがちですが、
盆地地形なので6月でも十分な暑さになります。
一方で梅雨時と重なるため
昨年のようにスタートから大雨になると、
ただただ気持ちが萎える。
(私としては)メンタルコントロールが
とても難しい大会だと思いました。

しかし有難いことに、
高温予想を裏切り終始走りやすい気温。
終盤に夕立に降られたものの、
完走率が上がりそうなコンディションでした。


飛騨高山は全国のウルトラの中でも、
指折りの難易度と評価されています。
高山市内の高台にある体育館をスタートした後
ぐるっと大きく一周してスタート地点に戻るのですが、
途中コースのアップダウンが大きい。
累積の標高は約2,000メートルとも言われています。

しかも各所(27キロ、45キロ、57キロ、74キロ、93キロ)に関門があり、
当然ながら制限時間内に通過しないと
その場で失格処分を受けます。
坂と時間と戦う必要のある、
タフな大会なのですね。

以降は覚えている限りメモした
心象スケッチの整理のようなものです。


スタートから10キロ地点までは、
さして語ることもない平坦なコース。
10キロ地点を1時間2分で通過。
無理せず、周りに流されることなく、
キロ6分ペースと考えれば良いスタート。
ここで朝6時前。
この先12時間近く残っているのが事実だが、
なるべく残距離を考えないようにする。
このペースなら
途中の坂で失速したとしても、
12時間台のゴールも堅いのでは?と予想。
(これが随分と甘い考えであることに
 後々気付く)


10-20キロ地点には、
ファーストボスの峠越え。
美女峠という名の通り
現役美女、昔の美女?が
エイドで黄色い声援を送ってくれる。
道中の坂は例年歩いてしまっていたが、
今年は試走の段階で歩かないと決めていた。
正しくはピッチがきついヘアピンの部分以外は。

序盤の元気があるからか
歩かず順調に峠越え。
今年は思いのほか調子が良さそうだ、と実感。
10キロ台のラップは1時間8分。
坂がある区間にしては良好。
自分を誉める。


20キロ過ぎのエイドでフルーツをもらう。
20-30キロは比較的平坦な区間。
途中27キロの関門を余裕で通過。
ここの関門でそばを頂きカーボチャージ。
ロング走で一番怖いのは、ガス欠。
食べ物は取れる時に取っておく。
30キロチェックポイントは坂の途中。
20キロ台ラップは1時間11分。
まだまだ余裕のある展開。


30キロから先は、
元来た坂道を再び上る苦痛のルート。
一度下りた坂をまた上ることに
果たして意味があるのか?
しかし、そんなことも考えず
坂では頭を空っぽにして走る、
ないしは割り切って歩く。
先ほど通過した美女峠のエイドで
梅干しとバナナをチャージ。
しかしまだまだ1/3程度が終わったのみ。
この先、
この大会最大のメインボス(標高1,010メートル)越えが
待ち受けている。


30-40キロ区間は
急ピッチの坂を上り下り、
ちょうど40キロ地点近くで
最高標高地点を迎える。
ここは事前の予定通り、
歩く走るを繰り返す。
ピッチがきついところは無理して走らない。
最高標高を越えたのち、
一気に坂を下る。
45キロの第2関門も、
昨年に比べて余裕の通過時間。
去年もこの辺りまでは順調だったが、
その後大きく崩れ始めた。
気は抜けない。

関門通過後
目の前にあるトンネルを通してもらえず、
大きく迂回して山越えをする。
この辺りの区間で昨年は足が悲鳴を上げていたが、
今年はまだまだ余裕がある。
40キロ台ラップは1時間26分。


50キロのチェックポイントを越えるとすぐに、
『裏ボス』と呼ばれる最難関区間の直後の
ヤマが待ち受けている。
ダラダラと長い坂が第3関門の直前まで続く。
しかし、
そのダラダラ区間が昨年に比べて短く感じる。
予行演習をしていた成果だろうか。
ぶっつけで行くと
気持ちの切り替えどころが掴みにくいので、
何事も事前の下見や準備は必要であると実感。

途中マラソン仲間のエイドで
素麺とオレンジジュースをチャージ。
既に体からは塩が吹きあがり、
人間塩田のようになっている。
塩気のあるものは本当に助かる。
そして、
沿道で知っている人が応援してくれているのは
非常に大きな推進力になる。
100キロを一人で走れ!と言われても、多分無理。
周りのランナーを含め、
衆人環視の力に押してもらえている。


57キロの第3関門を、
12時ちょうどに通過。
7時間(11:50)で通過予定だったので
10分の遅刻。
ここで飛騨高山名物、
飛騨牛と団子を腹に入れる。
ここで飛騨牛が食べられるかどうかが
今後の展開の分水嶺、などと言われるが、
美味しく頂戴する。

ここでようやく6割弱が終了。
少し腰を下ろして休みたいところだが、
今年はゴールまで座り込まない、
関門は10分以内に通過、
と決めていた。
後ろ髪を引かれる思いで後半戦へ。
50キロ台ラップは1時間23分。
関門で10分休んだことを考えても、
この先の展開に大きな貯金が残っている。


60-70キロ区間は、
本大会のメインボス?
千光寺という山上の寺までの坂道の上り下り。
ここだけで300m上って、また300m下る。
極めつけは、108段の階段。
この階段を登り切って煩悩を捨てよ、ということか。
この坂は事前の予定通り、とにかく歩く。
私のような亀ランナーは、走るだけ無駄な抵抗。
同士のランナーたちと会話を楽しむ。
(ここで話をしたマダムランナーに、
 その後ゴールまで引っ張ってもらった)

山の上で顔を洗い被り水を浴び、
気合いを入れ直し。
この先坂を下ったのち平坦なルートが続くが、
あと2か所ある関門を通過できるのか?
まだまだ不安は尽きない。
(体の調子は万全)

長いので後半は次回に続きます。

今日も素晴らしい一日をお過ごしください。

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★★今日の圧巻人生方程式★★


序盤の展開で慢心するな。
魔物はどこに潜んでいるか分からない。
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