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生み出す作品と現実との葛藤

【追記】私の言及不足で誤解が生じてしまいましたので、追記として訂正させていただきます。
小説・映像作品問わず「自身の作品が誰かの人生決定に影響を与える可能性を排除できない」ということに葛藤しているといった内容です。私は官能小説を書いているので官能小説に絞ったような言い方になってしまったのは否めません。表現を規制しろ、書くなといった意味ではありません。


毎年この季節は入試を狙って電車内での痴漢行為が増えるというニュースを耳にします。
痴漢行為は紛れもない犯罪であるのは言わずもがな、学生が抵抗できないタイミングを狙ってだなんてなおのこと卑劣ですよね。

私の率直な意見としては痴漢は撲滅してほしいですし、自分がそんな目に遭いたくないですよ。実際にはね。ただ非常に言いにくいことではありますが、R18コンテンツにおいて「痴漢もの」って売れてしまうのですよね。男性女性向け問わず。
私も短編作品で痴漢ものは書いています。そしてそれが一番売れている作品でもあります。そしてそれを複雑な思いで眺めています。

売る側の心理を代弁するつもりはありませんが、「売れるから書く」っていう人もいるだろうし「ダメだって分かってても興奮しちゃうんだよね」っていう人もいると思います。もちろんそれは買う側もそうで、日本より性犯罪に厳しいと言われている海外でも「凌辱ものを見たり買ったりしてしまう」という女性が案外多いというアンケート調査結果があるそうです。

現実には起きてほしくないけど、でもつい妄想してしまう…というのが実際のところなのでしょうね。

ただ日本に限っての話だと、「そういう作品がはびこるのも仕方ないよね」とは開き直れない状況で。他のクリエイターがどう思っているのかは分からないけれど、少なくとも私は葛藤しながらも販売しています。「犯罪を助長させかねない」ものだから。それは小児性愛とあまり変わらないジャンルなのではないかなと最近は思います。(でもDLsiteに限って言うならロリはめちゃくちゃ売れてますよね…)

作品を作ってそれを消費するという自由は確保されなければならないものの、痴漢ものもR18コンテンツの中でもさらにゾーニングが必要なものなのではないかな、とニュースを見るたび感じます。
でもまぁそうなったら日本のR18コンテンツってほぼほぼ凌辱で成り立っているような感じなので、意味がないような気もしています…。

「現実とフィクションを一緒くたにするほうがおかしい」なんていう意見もよくあり、確かにそれはド正論ではあります。でも実際少ない割合ではありますが参考にしてしまう人もいるわけで。犯罪を犯す方が圧倒的に悪いのは確かなんだけど、だからとて誰の目にも触れさせてもいいという理由にはなり得ない。
消費する側の倫理観が問われているのでしょうが、倫理観が欠如している政治が長年続いている社会で「日本社会は倫理観がきちんとしている」とは到底言い難いですしね。そして論理的な線引が苦手だから。

私自身性犯罪被害に遭ったことはあります(全て泣き寝入り)。そして母親に言われました「女として生まれたら誰だって経験することなのだからそんなのでいちいち泣くな」と。唯一の女性の肉親にこんなこと言われる社会なんですからね。
「被害に遭わないようにするためには」ではなく「加害をなくすためには」に注意が向いてくれないから、被害に遭ったほうが悪いみたいな雰囲気が何も言い出せなくさせるんですよね。

ただ性的に興奮するから衝動的に作り上げて、共感したからみんな買ってくっていうのも悪くはないけど、でもそれだけじゃ何のために作品残してるんだろうという気分になってきちゃうし。啓発目的で書いている人もいるかもしれないけど、多分そういうR18コンテンツはなかなか読まれないと思いますよ、刺激に欠けるから。そういう作品のプロット何度も考えたことがありますが、あまり上手くいかないですね。物語的に面白くないんだもの。

もしかしたら私は官能小説向いてないのかもしれないですねぇ。
なんてことを年明け早々思った次第です。

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