2021年7月4日 ダークグレー プレーントゥ ダービー(クロコダイル)
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2021年7月4日 ダークグレー プレーントゥ ダービー(クロコダイル)

完成したばかりのシロエノヨウスイのビスポーク靴を囲みながら、作り手の 2 人にいろいろな話を聞くシリーズです。

今回はこちらのクロコダイルレザーのワンアイレットダービーを取り上げます。よければ最後まで御覧ください。

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(左:髙井俊秀、右:片岡謙)

:よろしくおねがいします。

:完成した靴を囲むシリーズ、今日は... 第何弾やろ?

髙井:第 3 弾くらい?

:もっとやってます笑

:今日はクロコのダービーです。ワンアイレットダービー。
以前、羽根のところにクロコをあしらったワンアイレットダービーを取り上げたんですが、それを見て気に入ってくださって、同じワンアイレットでフルクロコでお願いします、というところからスタートしました。

以前取り上げたワンアイレットのダービーの記事はこちら

:同じワンアイレットでも、また全然違った靴になりましたね。

:そうですね。特に羽根のラインが特徴で、最終的にクロコの腑(ふ)に沿ってカットするっていうデザインになりました。

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(羽根の落ちるラインが鱗の模様に沿ってカットされたデザインになっています)

:最初は普通のラインで考えてたんですけど、せっかくなので何かオリジナリティがほしいというリクエストをいただいて、いろいろ試行錯誤しているうちに、腑通りにカットしたら面白いんじゃないかという話になって、それでいくことになりました。

:なるほど。

:そう、ある意味、神がデザインしたラインを使うっていう笑

髙井:神?!

:神がデザインして、シロエノヨウスイが作った。

髙井:なるほどね笑

:ある意味そうかも。

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:今回のクロコは "クラストレザー"、未加工の状態の革をクラストレザーっていうんですけど、それを仕入れて染めて使いました。
片足一枚で、合計二枚

髙井:う〜ん贅沢

:そう贅沢。自分が履くには多分 30 年くらい早い笑

髙井:いや、それでも早い。あと 45 年くらいじゃない?

:45 年?そうすると自分 75 歳なんやけど...

髙井:笑

:でも 75 でこれ履いてたら格好いい。

髙井:たしかに、それは格好いい。

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(加工前のクラストレザー)

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:この靴も僕らがよくさせてもらうシームレスヒールになっています。
羽根のところは左右で一枚のパーツになっているので、実は今回 "型入れ(型紙を革の上に配置する作業)" は結構気を使いました。

:腑に沿ったラインにしようすると、型入れでラインの形も決まってしまうということ...?

:そうそう。適当に型入れしてしまうと、ラインが意図したラインにならないのと、あとは、左右で一枚のパーツなので、両方ともバランスのいいラインになるような箇所を探して、型入れする必要があります。

:なるほど。大変そう

:そんなに大変ではない。気は使うけど

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:プラス、ポイントはここのカン留め(アッパーからライニングまでを結束するための縫い目)ですね。
ダービーとかだと普通に入れるんですけど、クロコではそれが目立たないように、腑の溝に沿うような形で入れています。

髙井:馴染んでますね。

:そう。なるべく鱗模様を活かすというか、カン留めが目立って見た目を崩しちゃわないようにしています。

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(カン留めは目立たないように施されています)

:ちなみに、この腑に沿ってカットするデザインというのは、実は影響された作品があるんですよ。

:へぇ。

:"three2four" というレザークラフトのブランドをされている松山さんという方が、クロコのショルダーバッグを作られてるんですけど、そのショルダーバッグの作品がクロコの腑を極力活かすような形で作られてるんですよね。
そのバッグはステッチをクロコの腑の溝のところに沿わせて、なるべく目立たないように作られてて、それがすごい良いなと思って。
自分たちも、クロコ本来の鱗模様を崩しちゃうよりは活かしたいと思って、髙井さんと相談しながら、最終的にクロコの腑に沿ってカットするというデザインになりました。

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:あとは今回、竹腑(たけふ)をメインに使いつつ、羽根のあたりに玉腑(たまふ)がくるように作ってます。
ちょっと模様の形が違うでしょ?

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(羽根のあたりに丸い模様、それ以外は四角い模様が配置されています)

:部位が違うんだっけ?

:そうそう、まずワニの革って種類が 2 種類あって、"腹割り" と "背割り" があります。お腹側を割いて開いた革が "腹割り"、背中側を割いて開いた革が "背割り"。
で、やっぱりワニって背中のほうはゴツゴツしてるんですよね。すごい固くて。

髙井:背中のほうは財布とかに使われますよね、よく。

:そうですよね。ゴツゴツのタイプは背中のほうです。
その 2 種類があって、背中のゴツゴツしたほうをメインで使いたいときは "腹割り" を使って、お腹側の比較的フラットなほうをメインで使いたいときは "背割り" を使います。
靴でよく使われるのは "背割り" のほうです。

髙井:靴やったりカバンやったり。

:へぇ。

:この靴に使っているのも "背割り" です。
で、"背割り" の革でも部位によって鱗模様に違いがあって、お腹の中央あたりは四角っぽくて、脇腹にいくにしたがって丸っぽい形になってます。
四角いほうは "竹腑(たけふ)"、丸い方は "玉腑(たまふ)" とか、そういう呼び方がされます。
今回は羽根のあたりに玉腑がくるように型入れしました。

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(中央あたりが竹腑、端のほうが玉腑にあたります)

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:底はフィドルバックになっています。手製靴ならではの仕様を入れたいというリクエストももらったので、フィドルバックどうですかって提案して。
このフィドルも手じゃないとなかなかきれいには作れないから。

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:底が赤い。

髙井:色すごいですよね。

:このペイントもわざわざ作ってもらったんですよね。

髙井:オーダーペイントですね。

:オーダーペイントってどういうことですか?

髙井:色を調合してもらうんですよ。

:そう、靴の資材屋さんにカラーサンプルを持っていって、こんな色のペイント作ってもらえませんかって、お願いする。

:へぇ。でもカラーサンプル自分たちで作れるってことは、それをそのまま使ったらだめなの?

:えーと、自分たちで作るのは "染料" なんだけど、作ってもらうのは "顔料" 寄りのものを作ってもらう。
染料を使うと染み込んで、こんなに鮮やかな色が出ないので。

髙井:サフィールは結構きれいに染まりますけど。

:でも絶対ムラはできますよね。

髙井:ムラはできますね。こんなにきれいにはいかん。

:なるほど。自分たちで作れる範囲では、ここまでムラなく鮮やかに染まるペイントは作れないということね。

髙井:まだいっぱい残ってるから、使わなあかん...

:そうそう、すごい大量に届いたから...

髙井:オススメっすね。

:オススメっていうか、使いたいから笑

髙井:ちょっとしか使ってないからな。

:すごいの届いたよな。500cc くらいのが届いて、でも 5cc くらいしか使ってない。

髙井:そう、そのくらいしか使ってない笑

:笑

髙井:やからオススメですね!

:うん、推し出していきたい笑

:500cc 消費するまでは、だいぶかかるでしょ笑

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(楽しそうでなにより)

:そういえば、昔クレバリーが、自分でワニを狩って、それを鞣して持ってきて、「これで作って」って言われたことがあるらしい。

髙井:持ち込みで?!

:そう。「ハンティングしたからこれで作って」って

髙井:それはすごいな... 飼育してたのじゃなくて?

:飼育じゃない。狩りで

:すごいな...

髙井:じゃあ、ウチも受け付けるぅ?

:ハンティングしたやつは持ち込みオーケー?

:それはもう全然いいよ笑

髙井:鞣してもらわなあかんけど。ウチでは鞣されへんから

:そうやなぁ。でも、その人も多分あれじゃない?ワニをハントして、すごい古典的な、自分でできるくらいの鞣し方でやって持ってきたんじゃない?

:それは愛着がすごいよな

:尋常じゃないやろなぁ。でもいいよなぁ、なんかそのワイルドな感じ

髙井:自分がハントしたやつの靴履くってすごいな...

:めっちゃ自慢できる

髙井:自慢できるかな?自慢になる?

:まぁ、話題にはなる笑

髙井:「おぉ...」ってなるだけじゃない?僕らやったら「えぇ〜!?すごい!」ってなるけど

:なる。普通の人もなるんじゃない?

:なると思う

髙井:女の子やったら引くで?

:引くかなぁ?

髙井:引くと思う!僕ら普通じゃないんで!笑

:逆にあれやな、ワイルドやなって思ってくれるかもしれやんし

髙井:ワイルドすぎるでしょ笑

:カッコいい!って思ってくれるかもしれん

髙井:そういう女の子がおったら結婚したいなぁ

:...。

:まぁ、今回はそんな靴でした。

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聖|Siroeno Yosui

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