勿忘草
いつの間に
こんなところに来ていたのだろうか。
頭上に広がる透き通った夜
足元をくすぐる灰色の雲は、
月の光を受けて時折白く輝いている。
———-
誰かと手を繋いでいたような気がする。
私は笑っていた気がする。
空は青かったような気がするし、
雲なんか真っ白で、
とても眩しかった気がする。
忘れたのは
風と、温度と、声と
それから
世界を輝かせていたもの。
眠らなければ明日は来なくて
忘れなくて
色褪せないって
信じてたんだけどな。
これって
手放していいのかな。
花の形も思い出せない。
眠っていいんだっけ。
———-
何を忘れたくなかったんだっけ。
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