みんなに会えるって、とくべつ。3/3『みんなに会えるって、とくべつ』

 どうしようもないけれど、家の中から「笑い」が消えるのは寂しくて悲しかった。耐えて耐えて耐えた2年半。ようやく少し落ち着いた頃、また従姉妹夫婦が会いにきてくれた時の祖母の幸せそうな顔ったら。また目尻が床につきそうになっていて、笑ってしまった。従姉妹の娘ちゃんはもう10キロを超える体重なのに、祖母は「抱っこしてあげるからおいで」なんて言う(家族全員が止めに入った)。

 「ああ、これが幸せか」と思った。この笑いに溢れた空間こそ「幸せ」だと、奇しくも会えない期間があったからこそ知ることになった。コロナ禍はきっとまだしばらく続くだろう。「誰かに会える」こともまだしばらくは非日常で「とくべつ」なことになると思う。2年半を経て、たくさんの人が思ったんじゃないかな。「みんなに会えるって、とくべつ」なんだって。みんなに会える「とくべつ」をずっと続けて行くために、みんなに会えることが「とくべつ」だってことを覚えておきたい。

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