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なぜ今自然と向き合うのか。後ろ足を装具に依存する犬の非自然とラジオ体操という自然で心と身体を漂白しながら


新たな活動の地を沖縄県の石垣島に移した。

これにはいくつか理由があるが1つは

„自然と共に育つ大人と子供“を肌で感じたい

である。より自然と向き合いたいと思った僕の話。

以前は京都で高嶺者の身体機能を取り戻す為のリハビリという全く畑違いな事をやっていた。

とある80歳くらいの認知症の患者さんとのリハビリをする時はいつも苦戦していた。

「○○さん、ちゃんと日常生活でしっかり歩けるようになる為に今から歩く練習しませんか?」

「え?誰?」

もちろん誰か知らない人から話しかけられ、急に歩く練習しませんか?なんて僕が想像しても怖すぎて断る。もちろん彼も毎日断った

ほとんど毎日会っている僕を“知らない人“と捉える彼にとってはこれが日常。何を日常と呼んだらいいか分からなくなる

ただこういう時の頭の中は電子機器の繋がらない初めての土地での旅の時の感覚に陥る。何もできないが何でもできる。この時間を彷徨う時間もまた心地いい。

ある日時間が40分程空いたので施設の目の前にある大きな川にその患者さんを連れ出そうと考えた。

「○○さん、一緒に川に行きませんか?」

「え?誰?」

「ここで皆さんのリハビリを担当しています池田です。さっ行きましょう」

「いやいい」

「いいからいいから」

と半ば強引に彼を外へ連れ出した

今思うと強引すぎたことも反省している

重くるしい施設のドアを自分の手で開けた彼は

自然に手を広げて走り始めた。

理論を持って患者様の為を思い、歩くことを進めてきた僕が目の前で走る患者さんを見て自然に敗北した瞬間だった

彼は元々登山とハイキングが趣味だったらしい。

このように頭の中では処理できない事でも自然を通して身体で思い返してみれば人は何かを獲得できる。人は何歳からでも成長できる。

そんな現場を大自然で僕が味わいたい。それが今石垣島にいる理由の1つでもある。


移住2日目の朝、目的なく散歩していると名も知らない公園で高嶺者の人達に手招きをされラジオ体操を始めた

高嶺者の円の真ん中で高い声で号令をかけ続ける後ろ足に装具をつける非自然な犬と6時半のラジオ体操という日本人の自然に身体と心がほぐされながら漂白される。

今日はそんな話

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