ソ連の古生物切手

 私事で恐縮だが、幼い時分から恐竜をはじめ古生物が大好きで、今でも大切な趣味である。小学生の時には古生物の図柄の切手を集め始めた。今思えば、学校の図書館の恐竜図鑑に載っていた「世界の恐竜切手」というページに影響されたのだろう。

 ジャンルを古生物に限定したおかげで、統一感のあるちょっと面白いアルバムができたが、長ずるにつれて熱意を失ってしまった。切手に描かれた古生物の絵の多くはお世辞にも洗練されているとは言い難く、もちろん学術的な正確性は望むべくも無い。

 古生物切手は第三世界の物が多いようだ。概ね単純なイラスト地味た図柄で、対象は恐竜を中心に、翼竜や海棲爬虫類。古生代や新生代の生物は殆ど登場せず、人気と知名度を意識していると推測される。

 コレクションの中で、ソ連の古生物切手は1シリーズ、僅か5枚である。しかし上述の事情を踏まえると、なかなかに異色。対象は古生代から新生代まで広く、イラストは(当時としては)学術的にかなり正確なようだ。色使いは地味だが、デザインはかっこいい。

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左からインドリコテリウム、カリコテリウム。新生代の大型哺乳類。5カペイカと3カペイカ。インドリコテリウムの方が大型なので、額面も大きいのかな(適当)

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古生代、いわゆる甲冑魚の仲間、ティエステス。ケファラスピスやヘミキクラスピスに似るが、本種はどうも記述が少なくてよく分からない。

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中生代の翼竜、ソルデス。カザフスタンで化石が発見され、体毛の痕跡がはっきりと見られたことで有名。

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シリーズでは唯一の恐竜、サウロロフス。古い復元姿勢。白亜紀に繁栄した植物食恐竜の一つである。

 ちゃんと調べたわけではないが、おそらく、ソ連の古生物学者が発見した/発見に寄与した古生物が選ばれているのではないか、と思う。

 良質な図鑑に掲載しても違和感のない復元イラストは、質実である故の美しさがあり、背景の抑え目のテクスチャとの相性も非常に良い。大好きなシリーズで、5枚しかないのが惜しまれる。

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