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久喜市南栗橋地区にできた新施設「ファルカオスポーツベース(FALCAO SPORTS BASE)」とは?

こんばんは。しばらく更新をサボっていました。埼玉県久喜市在住のスポーツライター、瀬川泰祐(せがわたいすけ)です。

先日は、「HEROs AWARD 2021」が開催されましたね。SNSやメディアでは、たくさんのアスリート達が華やかな表彰式をたのしんでいる様子が投稿されています。それを見てほほえましく思った方も多いのではないでしょうか?

「HEROs AWARD」は、日頃から社会貢献に取り組むアスリートを表彰し、その輪を広げていこうという、公益財団法人日本財団主催の式典です。

わたしは2020年にHEROsの公式スポーツライターとして抜擢してもらい、その後の人生が大きく変わりました。そんなHEROsプロジェクトが1年の総決算として仕掛けるゴージャスな式典に、今年もメディア側の人間として参加して取材する予定でした。当日の朝までは……。


※今年は取材できなかったので、一昨年に行われたHEROsAWARD2020の様子でご勘弁を。

言うは易し、行うは難し。自分の中で最優先したのは地域でのソーシャルアクション


このところ、朝から晩まで地元久喜市で仕事漬けの日々をおくっています。その理由は、今年の2月からずっと注力してきた「あるプロジェクト」が佳境を迎えているためです。

仲良くしているアスリートらが豪華な式典の様子をSNSで投稿するのを見て、「取材したかったなあ」とイベントが終わったいまも羨ましく思っているのが本音ですが、大切なイベントよりも優先しなければならない重要なプロジェクトが僕にはありました。

それは、「ファルカオスポーツベース」の開設プロジェクトです。

ファルカオスポーツベースとは?

久喜市立栗橋南小学校の正門前にできた「ファルカオスポーツベース」のエントランス


「ファルカオスポーツベース」は12月3日にプレオープンを迎えました。なんと自分の誕生日でしたが、決して狙って合わせたわけではなく、1ヶ月前にプレオープンしてテストしないと正式オープンに間に合わないからで、しかも工事が終わったのは11月末。もうこの日にやるしかないというような状況でした。

ドタバタの第一回目の内覧会以降も何度か内覧会を行ったり、ワークショップを行ったりしながら、地域の方に施設を訪れてもらい、知ってもらう活動をしています。

訪れてくれた地域のママさんたちは、「ググっても出てこないから、どんな施設ができるのか気になっていた」と言っていました。

そこで、今回はまずはnoteで「ファルカオスポーツベース」の情報を公開してみることにしました。Googleで検索してもらった時に、このページがヒットして、この施設のことを知ってもらえれば……。久喜市の人がどれだけアクセスしてくれるかわかりませんが、久喜市在住の方はお手間じゃなければ、「いいね」を押していただきつつ、周りの方にこのページを周知してもらったり拡散したりしてくれたら嬉しいです。

では施設の説明をしますね。

「ファルカオスポーツベース」は、コロナ禍で孤立しがちな子どもたちに、放課後の安心・安全な場所を提供し、スポーツを通じて明日を生きる力を育んでもらうことを目的として建設した、子どもの第三の居場所となる施設です。

この施設は、日本財団の支援および久喜市のバックアップのもと、一般社団法人ファルカオフットボールクラブ(代表理事:瀬川泰祐)が運営するものです。

施設は主に、①室内運動スペース②学習スペース③カフェ・コワーキングスペースの3つに分かれており、子どもたちに向けて、豊かなスポーツ体験を提供するほか、学習支援や生活支援、食の提供などを行う予定です。

営業時間は、①室内運動スペースは、14時00分〜17時00分まで、地域の小学生が遊ぶスペースとして開放します。(※ご利用には施設の利用登録およびスポーツ保険への加入が必要です。)また、②学習スペースと③カフェ・コワーキングスペースは、14時00分〜18時00分まで、一定の条件に合うお子さまに利用していただく予定です。施設内の各スペースをご利用希望のご家庭は、お気軽にご相談ください。

また、上記営業時間外は、ドネーション型のカフェとして「ザ・カレーマンズ」を運営したり、各種ワークショップ等を開催する予定です。

この施設は子どものためのスポーツ基地となる施設ですが、地域の子どもを地域の大人たちが見守るというコンセプトの元、多世代交流の場として、大人も多目的に使っていただけるよう、さまざまな機能を持たせていきたいと考えております。

正式オープンは1月11日を予定しておりますが、それまで地域の方々に向けて内覧会の機会を設けさせていただいております。ぜひお気軽に見学しに来てください。

◼️子ども第三の居場所久喜拠点「ファルカオスポーツベース」
久喜市南栗橋4-17-17(久喜市立栗橋南小学校正門前。南栗橋駅西口徒歩5分)
080-4790-1189
担当:瀬川

最初の行動はサイクリング 小さな行動で動機を育てることの意味 

実は、この施設を実現するために、僕が最初にとった行動は、自転車で地域を巡ることでした。長い間、スポーツを活用して地域コミュニティを作れないかと考え、年に何度か「DOCS(Design Our Community with Sports)」という団体で講演会などの活動を行ってきましたが、コロナ禍ではイベントの開催ができず、行動が制約されてしまっていました。しかし、頭で考えているだけでは何も始まりません。そこで、コミュニティスペースとして活用できそうな建物がどこかにないか、10年前に買ったマウンテンバイクを引っ張り出して、久喜市内を走ってみたんです。

10年以上前に購入したGIANTのマウンテンバイク。これで久喜市内を巡った

すると車で街を通っている時には気づかなかったことがたくさん見えてきました。

空き家となってしまった家のなんと多いことか。

久喜市が調べたところでは、2018年にはすでに空き家は7060戸にのぼり、今も空き家は増え続けています。その空き家をリノベーションして、地域に活力をもたらす場所を作れないだろうかと考えました。

次に行動をとったのは、気になった空き家の持ち主を調べることでした。そこで友人の知り合いなどをつたって、地域の方にお話を聞いてみましたが、「ここをリノベーションできたらいいな」と思った空き家の持ち主は見つかりませんでした。そして最後の手段として、不動産業を営む友人に相談し、空き家となった建物の持ち主を調べてもらったところ、ある建物に行き着きました。

「この建物は? 可能性あるかもよ」

高校時代から30年の付き合いになる友人の一言で、一気に何かが動き始めました。その建物は、もともと「フレサ」という農産物直売所だったところで、栗橋南小学校の正門の目の前にあります。15年ほど前までは、いちごや地域の野菜を出荷していたり、週末には直売所として野菜や果物を販売して地域の方に親しまれていたところでした。しかし近隣の農協に機能が吸収されて以降、運営をやめていたようで、建物は農業法人が所有していました。

私も子どもが幼かった頃に何度かフレサに野菜を買いに行ったことがありました。しかし、宅地化が進み、時代の流れとともに、いちご農家や野菜農家は減り、「フレサ」は閉鎖されて廃墟となっていたのです。

散らかった農産物直売所「フレサ」の内観。当日使っていた様子を残したまま廃墟となっていた。
屋根などに痛みがあったが、塗り直せば綺麗になると感じさせる外観。


そこで建物の所有者に連絡して、内覧させていただきました。この建物が良かったところは、骨組みが鉄筋だったので、外見は古いものの、思ったほど痛みがなかったことです。さらに気に入ったのは、農作業場として使っていたため、建物内には広いスペースがあったことでした。

散らかったままの農作業場。天井が高く、コンクリートで平らにならされたスペースの利活用に胸を膨らませた。

「子どもがスポーツをするには十分なスペースだ」

こう感じた時こそが、わたしのエンジンに火がついた瞬間だったように思います。

ここを見つけてからは、構想が一気に進みました。以前この建物を使っていた地域の方とお話をし、さらに日本財団に話をし、久喜市のいくつかの部署の担当者と相談をし、わたしが運営するサッカークラブのスタッフたちと会話をし、地域の設計士さんに知見を仰ぎながら、全てのパズルのピースを一つ一つ丁寧にはめ込んでいきました。すると本当にぴったりとパズルがハマり、事業の構想がくっきりと姿を現したのです。

わたしが大切にしているものの一つに「行動は動機を強化する」という言葉があります。この言葉は、仲良くしてもらっている元総合格闘家の大山峻護さんに教えていただいた言葉で、行動が自分の中にある小さな動機を育ててくれるという考え方です。一見すると関係のないような小さな行動を積み重ねていくことにより、自分の中の動機を育て、さらに行動を重ねながら自分の理念や目標を実現させていくというもので、まさに今回は小さなアクションをおこし続けて運命を手繰り寄せたような不思議な感覚に襲われています。

スポーツライターがなぜ地域でソーシャルアクションを?

「ファルカオスポーツベース」の開設プロジェクトは、今年の2月ごろから構想をはじめました。当時、わたしはスポーツライターとしての分岐点にいたように思います。

スポーツライターとしての活動を始めた6年前から、スポーツ界で行われている社会貢献事例を取材して広く世の中に伝え、スポーツの価値を探ることを自分の使命として活動してきました。しかしアスリートらと行動をともにするうちに、「本当に書くだけでいいのか」「伝えるだけじゃなく、自分でアクションを起こしたい」という欲求が心の中に生まれていた時期でした。

同時に、「スポーツを活用して社会課題の解決を目指す全国の先行事例を目の当たりにしてきた経験を活かし、身近なスポーツ資源を活用したら自分の住む地域の課題にアプローチできるのではないか」と考えるようになりました。

2020年に熊本で起きた水害の被災地を元サッカー日本代表の巻誠一郎さんらと共に巡った時の様子。


だから、スポーツライターとして、社会をより良いものにしていくために貢献したいという理念は、昔から一切変わっていません。しかし、行動が伴わない薄っぺらな情報発信では、世間の方に伝えることはできないと感じ、自分が愛する地域でソーシャルアクションを起こす決意をしたのです。

決意してからは、時間の流れがとても早く、前述の通り、建物を見つけ、事業計画から資金の調達、建設事業者の選定、そして実行までとてもタイトなスケジュールで進みました。そのどれもがギリギリの攻防でしたが、周囲の方に熱意を伝え、無理をきいていただきながら、10ヶ月間、一気に走り抜けてきた感覚です。

2019年まで会社員として、それなりも大型プロジェクトを経験してきましたが、その経験が、施設の建設プロジェクトに役立つとは思ってもいませんでした。

人生、どこで経験が役立つかわかりませんね。

めちゃくちゃ大変な10ヶ月間でしたが、久喜市役所の職員さんや、地域の設計士さん、建設会社さんらのご尽力のおかげで、充実した期間を過ごさせていただきました。貴重な経験をさせていただき本当に感謝しています。

地域の建設会社さんに声をかけて競争入札を開催した時の様子


コロナ禍の影響がなかったわけではありません。木材の高騰、太陽光パネルや半導体不足などが起き、一部の工程に遅延が起きていますが、思いを汲んでいただきながら、なんとか工事完了にこぎつけた次第です。

現在は、綺麗になった施設にいのちを吹き込むべく、家具や家電を揃えたり、内覧会を行いながら、テストオペレーションを重ねているところです。

厨房のテストオペレーションを手伝いに来てくれたママや高校生
地域の子どもたちと一緒に、杉の木に蜜蝋ワックスを塗るワークショップを開催。
一生懸命に蜜蝋ワックスを塗ろうと準備をする子どもたち。後ろ姿が可愛すぎる。

地域に何をもたらすことができたのか? 

この施設の開所にあたっては、日本財団から約5300万円もの支援をしていただきました。空き家となり廃墟と化していた久喜市南栗橋地区の店舗「フレサ」をリニューアルし、「地域の事業者と一緒に作りたい」というこだわりを持って事を進めました。

地域の設計士さんに相談し、地域の建設会社さんに入札参加をお願いし、地域の事業者様とともに施設の改修を進めることにより、結果的に地域にもたらすことができた経済波及効果は、8000万円を超えたそうです(経済産業省が公開している経済波及効果試算表による)。

果たして、それほどの効果を出せたかは疑問ですが、工事現場に来ていた建設会社さんや大工さん、電気や水道やガスなどの会社様はほとんど久喜市の方たちだったことを考えると、少しは地域に経済的にも貢献ができたのかもしれないなと思いました。

ファルカオスポーツベースの目玉の一つ、ハンガリー発祥のニュースポーツ、テックボール。足でやる卓球のようなスポーツで、埼玉県初の導入施設となった。


ただ私にとって最大の喜びは、この事業を通じて、地域社会との接点が作れたことです。結局、いつも僕はスポーツに頼ってコミュニティと繋がり、人生を豊かにしてもらっているんです。だから、この施設を一緒に作ってくれた方たちに感謝しながら、この施設を大切に運営していきたいと思っています。この施設を持続可能なモデルで運営し、地域の子どもたちを支援すべく、地域の皆様の善意の輪を広げていけたら最高です。


最後になりますが、もしここまでよんでくれた方の中に、久喜市に住むや久喜市にゆかりがある方がいらっしゃったら、この施設の生い立ちや施設の目的を知っていただき、ぜひ一度、施設まで足を運んでいただけましたら幸いです。

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せがわたいすけ(瀬川 泰祐)/スポーツライター・編集者・久喜市議会議員ほか

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