新婚旅行7日目(4)アイスランドで万引き犯に間違えられる
ブルーラグーンをバスで出発し、空港へとたどり着いた。ここからタクシーで宿泊するホテルへと向かう。運転手さんに声を掛け、スーツケースを載せていざ出発。
運転手さんは還暦は越えていそうなベテラン。特に話しかけてくる様子もなく寡黙な人だった。アイスランドの人は、概してコミュニケーションにおける距離感が日本人と近いように感じる。安心してタクシーに乗る一方、気になったのはメーターだった。距離的に、日本の感覚だと2000円くらいで行けるかと想像していたら、ものの数分で予想を追い抜いていく。みるみるうちに進むメーターに釘付けになりながらホテルへと到着。結果、4000円近くのお支払い。やはりアイスランドは物価が高い。
今回のホテルがこの旅における最後の宿泊先だ。翌日は朝9時の飛行機でアイスランドを経つため、早朝5時半にホテルの送迎バスで出発する。チェックインを済ませた後は、残り僅かなアイスランドの滞在を楽しむ事にした。行先はスーパーマーケットだ。
街に出て目的のスーパーへ向かう。国際空港があるこのケフラヴィークは、静かで小さな郊外の街だ。
途中で見つけたカタカナ風英字フォントの看板が興味深い。
目的のスーパーに辿り着き、土産を買う。スーパーで買う方が、より現地の暮らしぶりを感じられる土産を見つけられる。(安いという理由ももちろんある。)品物の陳列方法も日本とは違うのが分かる。野菜が部屋ごと冷やされた冷蔵室に並べられていたりする。
お菓子やおつまみをカートに詰め込む。アイスランドでは店舗数も多いメジャーなスーパーで、土産として店のロゴの入ったショッピングバッグも買う事にした。
会計はよくあるレジなのだけれど、日本と違うのはレジ係が座っていること、そしてカートから商品を出す作業を客が行うことだった。客は商品をベルトコンベアーに乗せて、レジ担当者は流れてきた商品を座りながらスキャンし会計を担当するだけ。なんとなくやる気がない感じの若い女性の店員を眺めつつ、なんて省力化された仕事なのかと妻と2人で驚いた。
会計を済ませ店を出ようとした。すると別の店員から声をかけられた。ベテランの店員が「そのバッグは購入したものですか?」と訝しげに聞いてきたのだった。私たちのレジ袋から飛び出している、店のロゴ入りショッピングバッグ。3つも買うやつなんてそうそういないのだろう。万引きと疑われたのだ。
イラっとしながらこれは買ったものだと主張していたら、例のやる気のないレジ担当が助け舟を出してくれた。「会計済みですよ」みたいなことをベテランに伝えてくれたのだ。ありがたかったが、対応の仕方はやはり座ったままのやるの気ない感じで、徹底しているなと思った。
無事に解放され、悪態を吐きながらホテルへの帰路につく。新婚旅行で万引き犯に間違われるなんて、とんだ珍道中だ。
ホテルに戻るとお腹が空いてきた。明るいけれど8時を回っているので、ホテル内にあるレストランで食事を取ることにした。レストランは蒲鉾型のガラスカーテンウォールに囲われていて、空の景色を大きく取り込んでいる。タイミングさえ良ければオーロラも楽しめるに違いない。
席に着いたらスープとグラタンをそれぞれ注文。これまでの経験上シェアして食べたかったけれど、メニュー上出来なかったので一人一皿にしたのだった。周りの人も2皿程度を一人で食べてるし大丈夫かなと思っていたら、ご多分に漏れずボリュームはアイスランド仕様。美味しかった、しかしお腹がはちきれそうになる。
それと、アイスランドの旅における最後の晩餐なので、地酒のブレニヴィンを楽しんだ。アルコール度数40%のキャラウェイシードで香り付けされた蒸留酒だ。キンキンに冷やされたものがショットグラスで出てくるのだけれど、これをクイっと一気に流し込むのがご当地スタイルらしい。特徴的な香りで病みつきになる。
連日食い倒れんばかりの夕飯が続いていたけれど、この日も、いやこの日こそが一番の食い倒れ状態だった。翌日は5時半出発。倒れ込むように床についたのだった。