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欧米の人たちから学ぶ中国会話上達法

先日、上記のような動画を見つけました。日本人とそん色ない日本語を話す外国の人たちを捕まえて、「どうやって日本語を習得したのか」をインタビューする動画です。

元々英語学習者に向けて作られた動画ではあることもあり、この動画に出てきた人は全員、欧米言語のバックグラウンドを持った人たちでアジア系の人たちは一人もいませんでした。私自身は「アジア系の人たちにも取材して欲しかったなぁ」と思う一方で、やはり欧米系の人たちの会話の習得力に私たちアジア人は学んでいかなければならないなという思いを強くしました。また、「これって中国語の会話力向上にも応用できるよな?」とも思いました

実はこの感覚、私が昔中国に留学していた時にも感じていました。

当時、中国の大学に留学してくる人たちには日本人や韓国人だけでなく、当然ながら欧州や米州、アフリカなどさまざまな国からきた留学生がいました。

私たちはさまざまな国から来た留学生と一緒に、中国の大学で中国語という1つの言語を学んだわけですが、私は留学期間中、彼らからさまざまな気付きを得ることができました。その一つが語学の習得の違いだったのです。

私は彼らと一緒に学ぶ中で、日本人学生と欧米人学生の語学の習得に大きな違いがあることを見つけました。

それは日本人学生は文法や漢字はめっぽう強いのに、会話は芳しくない一方で、欧米人学生は会話はめっぽう強いのに、文法や漢字が弱いということ。これはとりもなおさず、日本人の几帳面さと欧米人の柔軟性の違いを表したものといえます。

しかし同じクラスで勉強しているわけですから、ボキャブラリーはほぼ同じはずです。なぜ、欧米人学生の会話力のほうが高くなるのでしょうか。

私は当時、彼らとの交流でその答えを見つけることができました。それは彼らの失敗を恐れずにネイティブに果敢に会話を挑む姿勢、そしてさらに言うならば、自身の手持ちのボキャブラリーの中で上手くやりくりし、自分の伝えたいことに「近しい」文を柔軟に頭の中で構築してしゃべるという考え方です。

一般にわたしたち日本人は、中国語で自分の言いたいことを「100%」相手に伝えたいと考えがちです。しかし、自身の手持ちの語彙や文法知識では往々にして伝えられず、結果として変な中国語になって伝わらないということになってしまうのです。

でも彼らを見たとき、「自分が100%自信がある構文、語句」を使って、自分のいいたいことの「80%」を相手に「すべて」分かってもらえる会話をすればそれでいいのでは、と私は考えるようになりました。

例えば、こういう場面を想像してください。あなたは張さんと映画館で落ち合う約束をしています。現在、タバコ屋がある十字路で信号待ちをしています。青になったら、横断歩道を渡って右折すれば映画館はすぐそこです。そのとき張さんから携帯電話がかかってきました。

我已经等你很久了。 你在那儿?(もうずっと待ってるんだけど。今どこなの?)

このようなとき、どう答えますか?もちろんこの場合自信があるなら、「現在タバコ屋のある十字路で信号待ちしているんだよ」と律儀に答えるのも手でしょう。しかしとっさに答えられないのならば、このように簡潔に答えればそれですむことなのです。

我快到了。 等一下啦。 (すぐ着くから。ちょっとまってて)

こうすれば、「タバコ屋のある十字路にいる」という情報は伝えられませんが、「すぐに着く」という最も大切な情報はちゃんと伝えられますし、「いま目的地付近にいるんだ」ということを相手に分からせることができます。

問題は、このような「自分が言いたいことを平易な文へ脳内変換すること」をいかに適切に、かつ迅速に行うことができるかなのです。そのためにはネイティブ(日本語がしゃべれない人のほうがベター)との会話の機会を多く持ち、トレーニングすることが必要となってきます。

もちろん、手持ちの文型、語彙、語句が多ければ多いほど豊富な言い回しができますし、自分の「脳内変換」もスムーズかつ迅速にできるようになります。そのために勉強でもあります。

でもとにかく、100%自分の言いたいことを伝えようとしないこと。肩肘張らずにリラックスすること。

欧米の語学学習者の人たちはそのような柔軟な考えで積極的にネイティブと会話し、会話の中から語彙を吸収して次につなげるということを繰り返していると言えるでしょう。わたしたち日本人も彼らのこのような発想に学び、会話力を上げていくことに努めたいものです。

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