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中国語にさりげなくある英訳語

中国語に限らず翻訳をしていると必ず遭遇する問題。それは辞書に出てこない語句、あるいは辞書にある訳語ではどうしても日本語としてしっくりこない語句をどう処理するかということです。

この点の処理については、以前のnoteでも取り上げたことのある話題ではあります。しかしやはり、「中国語→日本語」の翻訳者には今一つ浸透していない印象を受けています。

そこで今回は「重要事項の注意喚起」として、もう一度語ってみたいと思います。

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このような「ちょっと引っかかる語句」の処理についてみなさんならどう処理していますか?

私ならこういう場合、まず視点を変えて中国語の語句を英訳→その後その英語訳を日本語訳する、という手法を使っています。

なぜなら、中国語には英語から中国語に変換しただろうと思われる語句が多く存在しており、このように英語経由で考えるとうまくいくことが多いからです。

例えば中国語の「信心」という言葉。

辞書に掲載されている日本語の意味は「自信」となっていると思います。しかし「消费者信心指数」ではどうでしょうか。消費者自信指数とは訳せないはずです。

ここで中英辞典を引いて見ると、中国語の「信心」にあたる英訳は「confidence」であることがわかると思います。「confidence」に相当する日本語訳は「信頼」「信用」。つまり「消费者信心指数」は「消費者信頼感指数」であることがわかります。

このように現代中国語には英語の原文をそのまま中国語に翻訳したと思われる語句が多数存在します。最近外国から中国に入ってきた言葉ほどその傾向が強いようです。「云计算→クラウドコンピューティング」のように分かりやすいものなら問題ないのですが、従来我々が見慣れているごくごく普通の言葉にも潜んでいるので注意が必要です。分かりにくいものとしては、、

发展→development→開発
安排→arrangement→取り決め、協定
货币政策→Monetary Policy→金融政策
价格→price→物価
武装力量→armed force→軍隊
社会扶助→public assistance→公的扶助

などなど。特に「力量」は「警察力量」「教学力量」といったように英語で言う「force」、つまり「一定の目的を持った人の集まり」という意味合いでも使われ、社会は「向社会公开征求意见(大衆に向けて公に意見を募る)」と言ったように英語で言う「public」、つまり「大衆」や「公衆」という意味にも使われるので注意を要します。

以上幾つか挙げてみましたが、他にもたくさんあると思います。まずは中英辞典、和英辞典を机の上に揃え、違和感がある単語が出てきたら、すぐに英語経由で適訳をさがす。このような試みはとても重要なので覚えておいて損はないのではないでしょうか。

サポートしていただければ、よりやる気が出ます。よろしくお願いします。