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「語感」の大切さとボキャブラリーの幅

今回は中国語学習者の中でも、中級者、上級者向けのお話をしましょう。

中国語(日本語)を勉強している皆さんは「語感」という言葉をご存じですか?多分多くの人は「知っているよ!!」と答えるのではないでしょうか。。

「語感」とは日本語で言うならば、「言葉から受ける主観的な印象」という意味になります。

外国語学習者の視点から言うならば、会話をする時や文章を書く時に、この「語感」を的確に理解した上で、数ある類義語から的確な言葉をチョイスすることが、外国語上達における必須要件になってきます。

日本語ネイティブ、中国語ネイティブならば、ネイティブ言語ならば各語句の「語感」を身を持って理解していると思うのですが、これが外国語を話す時、例えば日本人が中国語、中国人が日本語を話すときには、かなり大きなネックになります。

さらに言うならば会話においては、「語感」を適切に把握し、その場のTPOに合わせた適切な言葉をチョイスして的確な言葉選びをしないと、時に相手に失礼な印象を与えてしまうことにさえなりかねません。

ですから中級以上の中国語学習者の皆さんは単に単語を覚えるのではなく、その単語が持つ「語感」にも特に留意する必要があるのです。

これ、言うのは簡単ですが、実行するのはなかなか大変。

なぜなのか。これらの「語感」は一般的に辞書に解説が載っておらず、実際に遭遇した経験則やテレビ・ラジオ、文学作品の使用例から、自分の頭で理解するしかないからです。

例えを出しましょうか。中国語の「领导(リーダー)」という語句は中国語を勉強している皆さんなら、ご存じでしょう。しかしこの「领导」には数多くの類義語が存在します。思いつくだけ挙げてみるなら、具体的には以下の通りになるでしょうか。

「领袖」「领导人」「大佬」「头目」「头头」「波士」「老大」などなど

これらの語句を辞書で引けば、だいたい同じ「リーダー」という意味を得られると思います。しかし、個々の語句を実際に文字で見たり、言葉で聞いたりした人が受ける印象はどれも異なっています。皆さんはそれぞれ語句について語感の違い、もっと平たく言えば「どのような場面で使うことが適切なのか」をはっきりと説明することができますか。

語句単独ではわからないかもしれませんが、文章や会話の流れの中で「どのような場面で適切に使えばいいのか」というのは各語句によって、大きく違います。

この「語感の違い」が分かるようにするためには普段からネイティブの会話を聞いたり、テレビやメディアなどの文章に自分から目を通したりして、自分でしっかりと理解しておかなければなりません。

ただ学習者のレベルなら、「語感の違い」を言語化できるようにする必要はありません。言語化できなくても感覚として自分でしっかり理解しておけばそれでオーケーと言えるでしょう。

◇◇

しかしこの「語感の違い」を理解するには、ある前提があります。それはある1つの語句ならば、その語句の「類義語」をあらかじめしっかりと頭に叩き込んでおくことです。要するに「できるだけボキャブラリーの幅を広げましょう」ということです。

いくら「語感」の重要性を理解していても、ある事象や物事を表現するのに、1つの語句しか出てこなかったならば、「語感」以前の問題になってしまいますからね。

私が留学中に中国語を勉強していた時に使用していた漢語上級のテキストには、ある言葉が提示され、「この言葉の類義語を思いつくだけ挙げろ」という問題がいくつかありました。

先ほどの「领导」を例題とするならば、「领导の類義語を思いつくだけ挙げろ」といった問題になるでしょうか。

このような、ある語句に対して「類義語」を連想し、「ボキャブラリーの幅」を広げていくトレーニングは、中級以上の中国語学習者にとっては「ある単語の類義語のそれぞれの語感」を併せて理解していく上でとても有効だと思っています。

「類義語」と「語感」。しっかり身に着けて的確な会話、的確な文章を構築する能力を身につけたいものですね。


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