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漢字にまどわされるな

中国語と日本語の共通点は何かと聞かれたら。皆さんはどう答えますか?私なら(多分多くの人がそう思っているでしょうが)、「どちらも漢字を使うこと」と答えるでしょうか。

でもこのこと自体が日本人の中国語学習者、中国人の日本語学習者にとって、互いの言語を習得する上で大きなネックにもなっていると私は思っています。なぜか。それは同じ漢字が使われていることによって「中国語と日本語は全く別の外国語である」という意識が薄れてしまうからです。

「中国語と日本語は全く別の外国語である」。

この点については、当noteで何度も注意喚起をしたことがありますし、私が普段からnoteなり、Xなりで口を酸っぱくして言っていることでもあります。でも重要なことなので、やはりもう一度注意喚起をしていきたいと思います。何回も話題にすることで、皆さんの頭の中にしっかりと入れることができると思っているからです。

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そもそも大半の世界の言語は、人それぞれが意思疎通をする上で「音」と「文字」の2つのコミュニケーション手段を持っています。

発音をそのまま表記した文字は「表音文字」と言われますし、発音抜きにして意味が載せてある文字は「表意文字」と言われています(諸意見はありますが、ここではそうしておきます)。

そして世界には「違う言語だけど、文字は共通」といったケースが多々ありますね。例えば欧州の言語は同じアルファベットを使いますが、全く違う言語で全く違った意味なんていうケースがざらにあります。同じアラブ文字を使っていてもアラビア語と、ペルシャ語と、ウイグル語では全然わけわからないというケースだってあるわけです。

中国語と日本語で共に漢字を使うというのもこれと同じケースだと言えるでしょう。つまり、同じ漢字を使うけど言語は違うから全く違う意味という意識です。

一方で厄介なのは、漢字が「表意文字」である点です。

「表意文字」は「意味を表している」文字であるわけで、漢字の知識がある読者だと、読む前に「日本語(中国語)」の意味が先に頭に入ってしまい、「外国語」という意識が希薄になってしまう危険性があるのです。

その点で言うならば、中国語を学ぶ日本人が最初に、「外国語」という意識を植え付けられているアルファベットから構成されている「ピンイン」から始める学習方法は、「中国語は外国語である」という意識も同時に植え付ける意味でとても理にかなっていると感じますね。

私自身は中国語の文章と読むときと、日本語の文章を読むときでは全く別の意識になることができています。中国語の文章を見る時は頭の中で中国語の発音で読み、日本語の文章を読むときは頭の中で日本語の発音で読んでいます。こうすることで、同じ漢字でも日本語の意味が中国語文を読むときに出てくることはありませんし、反対の場合も同じように出ることはなくなっています。

つまり重要なのは、中国語で日本語と同じ漢字が出てきたときに「日本語の読み」が先に頭に浮かぶようなことがないようにすること。
こうなるためにはまず中国語の漢字とそれに対応する音がちゃんと頭の中で結び付いていることが重要です。

ただ中国語の学習を始めて浅い方は中国語の知識がまだ少ないため、中国語文を読んでいるときに、日本語で見たことのある漢字の語句があると、とかく日本語でその漢字の意味を理解しがちです。それは中国語学習にとってはのちのち大きな障害になると考えたほうがいいです。

「中国語は外国語」という意識で、一旦日本語の前知識をリセットして、こまめに辞書を引くことを心がけましょう。辞書を引いた時に、ピンインなり、注音記号なりで、しっかりと発音を理解し、「音=意味」の思考回路を頭の中に叩き込むことです。

こうすることで日本語の知識が入る余地がなくなりますし、しっかりと「中国語と日本語は別言語」という思考回路を体にしみこませることができます。

「同じ漢字を使う言語」だからといって手を抜かないこと。正しく知識を頭に叩き込むこと。中国語が上達する上での秘訣はこれに尽きるでしょうか。

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