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なまりとどう付き合うか(自分の気持ち編)

もう2年ぐらい前のことでしょうか。当noteで、「さまざまな出身地の人たちの中国語のなまりを聞き取る際の心構え」のような記事を出しました。

この「なまり」の問題は同時に、「ネイティブに近づきたい」と考えるわれわれ中国語学習者の発音に当てはまることでもあります。

ほとんどの中国語ネイティブは、相手が話す普通話を聞けば、相手のなまりが中国国内のどこのものなのか、そこから相手が中国のどこ出身なのか、大体判断できます。実際私自身も相手の中国語を聞けば、相手がどこ出身者か明かす前に、相手の出身が大体どこか見当をつけることができます。

このことはどういうことなのか、つまりわれわれが中国語ネイティブに話をした瞬間から、中国語ネイティブの相手は「どのようななまりを使い、どのような語句を選んで話しているのか」を瞬時に判断し、自分を「こいつはどこの出身なのか=どういう性格なのか」とプロファイリングしているというわけです。

ただ、最終的に話している自分が日本人だとわかると「ああ、君は日本人なんだね」という感情と共に「日本人用の態度」になるのですが。

一方で私は「これって中国語上級者やネイティブになりたい、中国語中級者にとっていいことなの??」といつも思っています。

中国語上級者になりたかったり、ネイティブに少しでも近づきたかったら、相手に「日本人用の態度」をとらせない中国語、「ネイティブだな」と思わせるような中国語を話せるようにすべきだと私は考えます。まあ、「日本人という色眼鏡」を通じた付き合いをされるというのはとかく面倒ですからね。

では相手に「日本人用の態度」をとらせない中国語、「ネイティブだな」と思わせるような中国語を話せるようになりたかったら、どうすればいいのか。まずは「自分がいま話している中国語は国内のどこのなまりになっているのか」を正しく認識しておくべきでしょう。

例えば、一般的に大陸の人たちが執筆した中国語の教科書で勉強したり、大陸で留学した場合、大半の日本の人たちは北方人が話すなまり、北方人がつかう言葉を習得することになるでしょう。中国語学習者の中には「これがスタンダード」と考える人もいるかもしれません。

一方で台湾人が執筆した中国語の教科書で勉強したり、台湾で留学した場合、大半の日本人は台湾人が話すなまり、台湾人が使う言葉(いわゆる「華語」)を習得することになるでしょう。そして、台湾華語の学習者の中には「これがスタンダード」と考える人もいるかもしれません。

でもその認識は中国の他の地域に行けば大きく崩れることになります。そして「自分が話す中国語はひょっとして歓迎されていないかも」と思ってしまう場面ももしかしたら遭遇するかもしれません。

例えば北方人なまりで南方人とお話しすれば何とも言えない雰囲気になるかもしれませんし、台湾なまりで北方人とお話しをしたら、「ああ・・」といった感情を持たれる可能性はあります。

なぜなら、同じ中華圏でもそれぞれの地域の住民同士複雑な感情を抱えているからです。

ただ、われわれは日本人ですからそのような事情は何ともしがたいところがあります。われわれができるのは、そのような事情をしっかり理解し、覚悟した上で、「北方人なまり」でもかまわないと思うならば、堂々と「北方人なまり」で、「台湾なまり」でいくならば信念を曲げず、自信を持ってそうすることでしょう。これはいわゆるわれわれ学習者の「中国語を話す際のアイデンティティをどこに置くか」という問題だとも言えますね。

ちなみに私自身は「南方人のアイデンティティ」を持つという信念があるので、北方人に迎合して「r」を使おうとは一切思いません。使う語句も「わざと」南方人に特化したチョイスにしています。

ただもし相手が、「北方人」「南方人」など地域的な感情からくるイライラを発するようなら自分自身が日本人であることを伝えるようにはしています。やっぱり会話をする上でそのような「無駄な軋轢」は百害あって一利なしですからね。

とにもかくにも。「自信を持ってこれだ」といえるような自分の中国語(いわゆる自分好みの中国語ですね)をつくり上げること、これが大切だと考えます。

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