日本語でおk 大人がしれっと使う用語についての見解と注意点
クオンタイズという機能があります。
シーケンサーの機能のひとつですが、不揃いな演奏データのタイミングを補正してそろえてくれる便利な効果です。
これにニ拍三連(ニ拍を均等に三等分したリズム)を打ち込んだ場合、真ん中の音は一体どこに配置されているのか。
二拍を三等分するので、1つあたりの音符は0.666・・・拍。最初と最後は端を基準に配置するからいいとしても、真ん中の音は実は少しだけ「走って」いたり「もたって」いたりしてるんじゃなかろうかと考え始めると夜も眠れないシモフリです。
1.大人用語を解読する
社会人になると、学校では教えてくれなかった「大人用語」が急に出て戸惑うことがあります。
特に新卒を含む若手層は、ミーティングに参加ともなれば議事録の作成を任されることも多く、謎の専門用語や業界用語が飛び交うと頭が真っ白になってタイプする手が止まるなんてこともあるのではないでしょうか。
地球に来訪した異星人と対話を試みる映画『メッセージ』の中で、主人公の言語学者が「言葉を理解するということは、文化を理解するということ」というようなことを語っていましたが、これは社会に飛び込んだ学生や異業種から転職した中途採用者にとって、先輩上司がしれっと使う謎用語を解読する過程にも通じるものがあると思います。
2.初見殺しのカタカナ用語
とかくIT業界はカタカナや英略語のオンパレードで、ルー語(トゥギャザーしようぜ)やDAI語といって差し支えない、初見殺しのワードが頻出する印象もあります。
「ジャストアイデア」や「一両日中」などは、まだ字面や言葉の持つ雰囲気でわかるものの、「ファシり(ファシる)」とか「レッドオーシャン」「ファーストペンギン」なんかは、慣れないうちは「日本語でおk」と何度心の中で表情を曇らせたことか分かりません。
挙句、「正直ベース」とか「現場サイド」とか、もはやなんでカタカナがついているのか分からない謎の言い回しも良く聞きます。
でも使いこなせるようになると、その語感や響きが心地よくなり会話のテンポを整えるのに役に立っている(ような気がしてくる)から不思議です。
まさに、偶数グリッドの中に入った奇数リズムが躍動感を生む、二拍三連のクオンタイズに似ている・・・・気がしているのはきっと、地球上で私だけなので忘れてください。
3.業界ごとの専門用語が難解
個人的日常においては、普段金融業界のクライアントと密に接しているので、そのうえさらに金融系の専門用語が会話の中で飛び交うことが多いのですが、こちらがまたさらに難解でして。
金融業界のお客様と接点を持ってから10年以上もたつので、いまとなってはさすがに学習しましたが、当初は
「ボラティリティ高いからレバレッジかけたらキャピタル・ゲインどころか追証だよね」
とか言われましても、私にとってはFFXIIIの世界観を表すために使われる一文「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」と全く同じに聞こえたものです。
4.大人用語の必要性と習得への道
お客様文化の理解、また業界や大人文化の理解を深めるためにも大人用語を覚えることは重要です。そのためには日ごろから自分で使ってみることが習得までの早道だと思います。
ですが、当初に自分が戸惑っていたことも忘れドヤ顔で大人用語を連発するのは控えたほうが良い気がしています。大切なのは、相手のリテラシーやTPOに配慮してどこまでの類の用語が適切か見極めること。
先日、お弁当屋さんへ電話で予約注文した際、
「本日いつごろ来店されますか?」
と質問されたので
「お電話が終わったら、なるはやでお伺いします」
と伝えたところ、一瞬の空白の後、
「なるはやというのは『なるべくはやく』という意味ですか?」
と店員さんから返されました。
自分が当たり前に使う用語が、相手にとって当り前の用語ではないのです。
5.終わりに
「先方からのRFPだけどTBDになってた内容がBODでフィックスしたから見積ASAPでお願い」
なんていっていませんか?
二拍三連は、たまに出てくるからイイのだと思います。
藤井フミヤの楽曲TRUELOVEの「はるかはるか~」の部分がそうであるように。
ただ小田和正の「ラブストーリーは突然に」のように、サビ頭4小節すべてが二拍三連という天才的フレーズも、なかには存在しますけどね。
相手目線で相手の立場に立って、きちんと伝わる(心に残る)言葉遣いを心掛けたいものです。
APPENDIX.この記事で出てくる大人用語
用語 / 意味
ジャストアイデア
ふと思いついた、まだ具体的な計画はない段階のアイデア
一両日中
まもなく、すぐに、今日か明日までには、という意味合い。
ファシり(ファシる)
ファシリテーションの略。MTGやワークショップなどの司会、進行役を務めること。
レッドオーシャン
競争が激化している業界や市場を指す。多くの競合が存在し、利益率が低下する傾向がある。
ファーストペンギン
新しいことに最初に挑戦する人のこと。リスクを冒しても新しい市場を開拓する意欲のある人。先駆者。
ボラティリティ
金融用語。価格変動の激しさを表す指標。高いほど価格変動が大きい。
レバレッジ
テコの原理のこと。転じて借入金等を使って資金に対し多額の取引を行い、投資利益を高める手法。
キャピタル・ゲイン
金融用語。資産価値の上昇による利益。株式や不動産などの売却益。
追証
おいしょう、と読む。証拠金取引で、損失が一定額をこえ不足した際に追加で支払う必要がある証拠金。あまり見聞きしたくない言葉。
RFP
Request for Proposalの略。提案依頼書のこと。
TBD
To Be Determinedの略。未定、決定されるべき事項。アベンジャーズでトニースタークが無線でのやり取りで使っていた気がする。
BOD
Board of Directorsの略。取締役会のこと。何かのオンデマンドではない。
ASAP
エーエスエーピー、アサップなどと呼ばれることも。As Soon As Possibleの略。できるだけ早く。可及的速やかな対応を求められる。絶対期日状態(担当者の依頼漏れとか)やトップダウンなどで不可避だったりやむを得ないケースもあるが、「期日が決まってないけどとりあえず」な場合もあるので、この言葉をきいたらまずはその背景をしっかりと確かめたほうが良い。
シーケンサー
デジタルの音楽データを録音、再生できる機器のこと。
走る
既定のリズムよりも早く拍が刻まれた状態。オーディエンスが気を利かせて手拍子をしたものの、段々と演奏側よりも早まっていくさま。
音ゲーでは、音符よりも先に「bad」「不可」が出る状態。
もたる
既定のリズムよりも遅れて拍がとられた状態。おじさんがカラオケで気持ちよくロングトーンしすぎてなりがち。
音ゲーでは、音符よりも後に「bad」「不可」が出る状態。
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