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【初心者向】円安で昭和世代が正しく受け止めておかなければならないこと

関係あるのか?円安が?

本日24年振りに対ドル円相場が146円台をマークして最近ではなかなかない円安となりました。恥ずかしながら、円安円安と言われても、ピンとこない昭和世代の男性、女性は多いと思われます。それは、あえて仕方ないという立場でいえば(厳しい方は今後も読まないでくださいwww)、私も含めてその世代は学校教育時に金利の話などはないのはおろか、為替についてだって経済学部でも行かなければ教えてもらえなかった世代なのではないでしょうか。なので、今でもこの146円をなぜ「円高」ではないのだろうか?と思っている人も少なくないのではないでしょうか。そのような中で、現在の状況は知らなくて良い状況ではなくなってきていると言えましょう。何もしないうちにみるみる実質的な所有資産が減少しているからです。私の母(74歳)のようにもう数年で自分はあの世へ行くものと信じて疑わない人はともかく(実際母は身体はなんの異常もないので逆に心配であるがw)、高齢者でも今後短期的な目線ですら対策をしなければならない状況になってきたのは明確です。このnoteがその一助になればと思って記していきます。

円安のメカニズム

今回の円安のメカニズム(経緯)についてご存じの方は流して読んでください。私の母親に聞かせるように書いているので、細かいところが「?」となるところもあるかもしれませんが、そこは許してください。
まずは、米国や世界的なインフレ経済に端を発しています。インフレとは「物価上昇」です。この世界の主要国(日本は緩やか)がなぜ、インフレに悩まされているかというと、次の3つの原因があります。

①戦争等によって流通が混乱しました。(価格等も含めて)
②パンデミックで人が離れていきました。それを戻すために賃金を上げました。
③中国が長期ロックダウンしたため、安価なものが減少しました。

上記3点によって、世界の主要国の物価はみるみるこの数年で上がっていきました。物価が正常に上がっていくと、当然給与所得も上がっていきます。わかりやすくいうと、アメリカと日本のスタバの店員の時給は日本円換算でおおよそ2倍アメリカのほうが多いそうです。

熱くなった「物価上昇」を冷やさなければいけません。「物価上昇」を抑えるには企業の活動や購買行動を制限すると冷えていきます。制限するには金利を上げるのです。金利を上げれば、企業も新規設備投資に慎重になったり、一般人も住居の購入等を抑えるようになるからです。アメリカを先頭とした主要国は物価上昇抑制のために急ピッチで金利を上げ始めました。一方、日本は利上げをしていません。理由はあとで説明しますが、ここが大きな原因なのです。為替は単純に「投資」です。世界中の人が為替に投資しています。私達も自然と「円」に投資しているのです。投資家の立場から言えば、金利が上がった「ドル」のほうが金利を一切上げない「円」より、魅力的に見えるのは当然でどんどん「ドル」が買われていきます。(ドルを購入するために円を売ってドルを買っていきます。)そうすると、世界で相対的に「円」が「ドル」に対して安くなっていくというシンプルなメカニズムです。

なんで日本は金利上げないの?

上記までのメカニズムを読んでいただければ理解できることかとは思いますが、金利で負けているなら日本も金利を上げればよいのではないか?と普通は思います。でも、日本には金利を上げられない大きな理由があります。
諸外国と違って日本は、少し以前より大規模な金融緩和(簡単に言うとお金を市中に出して経済を活性化させようという政策)をしてきました。アベノミクスでは継続的な2%の物価上昇(これが正常な国の発展と言われるレベル)に向けてデフレ対策として財政ファイナンス(国債を国民に発行してそれを国が紙幣を印刷して買い戻す)ということを行ってきました。
現在は日銀が発行済み国債の半分以上を買い占めている状況です。そのメリットは日銀が国債を発行して、銀行から印刷して国債を買い取ります。銀行は国債を売って紙幣が入ってきていますから、それをどんどん企業や個人に貸し出します。これによって市中に紙幣があふれるので、企業や個人が潤って好景気を引き起こすということです。
日本は国債の買い手はほとんど日銀なので、一番新しい「10年物国債」なんかは日銀が約9割保有しているそうです。なので、金利を上げると利払いが急増して払えない状況となってしまうので低金利を続けざるを得ない。という見方がオーソドックスです。

今後のシナリオとは?

上記の財政ファイナンスが引き起こすハイパーインフレが起きたら、もはや金融政策では抑えきれないです。以前では1946年(昭和21年)に日本での預金封鎖とかドイツは中央銀行を破綻させて新たな中央銀行を創ったりしたようなシナリオが日本銀行に待ち構えている可能性はゼロではないでしょう。
預金封鎖は、戦後の物不足と通貨の増発でインフレを引き起こしたことに対応したもので、新しい円を発行して旧紙幣は使えなくなりました。戦後のどさくさだったのでできたことかもしれませんが、二週間以内に新札に切り替えられなかったものは紙くずとなりました。
今後の日銀破綻のシナリオとして厄介なものがあります。それは「日本の経済が復活する」というなんとも皮肉なシナリオです。経済が復活するのに日銀は破綻するのですか?そうなのです。日銀はほぼゼロ金利で国債利回りをコントロールしています。債券というのは価格が上昇すると利回りが下がります。(100円で10%であるものが200円になったら5%になります。)過去に日銀が高い価格で購入した債券は、価格が下落すると評価損を会計上計上しなくてはなりません。また、景気が良くなると物価上昇するので、金利を中央銀行はあげてインフレを抑制しますが、金利を上げると利払いが増加します。まさに「往復びんた」です。アナリストによっては1%金利上げるだけで黄色信号だと言っている人もいるくらいです。

結局どうなるのか。

さらなる円安は徐々に来るのでしょうか?おそらく今回はそうではない可能性も高いです。というのは急にどうなるか、ということです。
日銀は上記の国債の評価損について、意外と楽観視しているものと思われます。というのも「簿価会計」であれば、いつまで経っても購入した国債価格はそのままです。日本の銀行もまさか中央銀行がつぶれるはずがないと高をくくっています。江戸幕府があの段階で誰もつぶれると思っていなかったのと同様です。ところが、米国をはじめとする先進国は「時価会計」で金利が上がった場合(つまり、日本が物価上昇した場合)、日銀は債務超過に陥ってしまう可能性すら懸念されています。その場合、米国の銀行は日銀との取引を削っていき、リスクによってはゼロにします。可能性は低いですが、円とドルが繋がらなくなってしまうことだって理論的には考えられるのです。
ここがポイントです。米国の銀行が取引を停止した場合にはここからが雪崩のように早いと思われます。多くの欧米の銀行が去っていく=円は価値が低下する。ということで急激な円安が今まで以上に起こることが予想されます。145円どころではないでしょう。

そうです。円に自然と投資している我々日本人もその投資が経済合理性があるのかどうかを上記シナリオの現実味は定かではないものの、最悪のシナリオを頭に入れながら、いつ来るか分からない「サドンデス(突然死)」にいかに対応するか。ということが重要となってくるでしょう。

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