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遠ざかると、どんどん遠ざかる

大学4年間、ドラッグストアでアルバイトをしていました。京都の街中の商店街にあるドラッグストアで、地元のお客さんも外国からの観光のお客さんもたくさん来るお店でした。

近くには同業のお店がたくさんある、ドラッグストアの激戦区でしたから、クーポンを配ったり外国人向けの免税を行ったりと、お客さんの呼び込みには余念がありませんでした。そんなお店で働いていたので、土日は特に目の回るような忙しさです。

免税待ちの列にはたくさんの方が並んでいたので、一般のお客様が間違ってその列に並んでしまい、貴重な時間を奪ってしまう事態になってしまったこともしばしばありました。
営業時間も、免税業務が始まってから1時間延びました。
増税前は店から列が溢れてしまうくらいの行列ができていました。

一生分の接客を、あの4年間でやったと思います。初めてのアルバイトで接客業を選んだ自分を褒めてあげたいです。
今の自分では恐ろしくてできないようなことを、あの頃の私は楽しんでやっていました。お客様とのコミュニケーション、スムーズな接客、バスやタクシーのご案内、商品の説明。数え出したらキリがありません。もちろんいろんな人が来るお店ですから、嫌なこともありました。それでも、いわゆるコミュ障の私が、4年間接客業をやり切ったのです。

もし途中で辞めてしまっていたとしても、次のアルバイトも接客業を選んでいたと思います。それくらい、あの当時の自分は接客業に向いていると思っていました。実際、よくやれていたと思います。
辞めたいと思うこともありましたが、それでも続けられたのは、最初とてもおっかなびっくりでダメダメだった自分の成長を少しずつ実感できていたからだと思います。決して要領のよくない私が、古株になるにつれて新人さんの教育を任せてもらえたりお客さんと顔見知りになったりしたことが、自分のモチベーションにもつながっていたんだと思います。

アルバイトという気楽さも、おそらくありました。就職活動では接客業は全く視野に入れていませんでした。4年でやり尽くした感があり、その経験をさらに昇華しようとは思えなかったからです。
大学卒業後はIT企業に就職し、接客業からは遠く離れていきました。

そして今。うつ病になって退職し、実家に戻って4分の3ニートをしています。そんな私がアルバイトを探すにあたって、接客業を避けていることに最近気が付きました。
大学4年間、あれだけ接客を行っていたにも関わらず、です。
何故だろう、と考えてみました。出た結論は、お客さんがこわい、でした。
接客が怖いのです。就職してから今までに色々ありましたから、当然変化はあると思います。それでも、あれだけやっていた接客を恐ろしく感じるのは、ひとえに接客から遠ざかっていたからだと思います。

一度遠ざかってそのままだと、どんどん遠ざかる。
体を動かさないと筋肉が落ちていくのと一緒。
ある分野の専門家が、最新の情報をリサーチしなければ取り残されてしまうのと一緒。
久しぶりの読書に、時間がかかるのと一緒。
こういうことなのかな、と思います。

けれども、体を動かせば筋肉はつくし、アンテナを高くすれば取り残されることもない。読書も継続すれば読むのがスムーズになる。
反対に言えばこういうことだと思います。

きっと、私の場合も一緒です。
一度勇気を出してチャレンジすれば、少しずつ以前のような接客ができるようになると思うのです。勇気を出してみようかな。
そう思いながら、求人サイトをスクロールするある日。

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