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本と旅する森の本屋<土蔵の2階>オープンしました。

本と森と珈琲と。ソファと静寂と。

喫茶とちょうど品 エントワの2階、「本と旅する森の本屋」を1月10日にオープンしました。店を引き継いだ当初から2階を見るたびに「なんとかしたい」という思いは募っていくばかり。土蔵の梁と中央にどんとそびえ立つ大黒柱。2階でなにかするなら「本」と決めていました。

持ち前のこだわりすぎる癖が出てなかなかお披露目に時間がかかりましたが、なんとか。思いとか空間を作っていく中での話をまとめてみようと思います。

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喫茶の2階は本だ。

本だ。というだけで本屋をやりたかったわけじゃない。ただ本に触れ合うのに最高な場所を作りたいと思っていました。お店というよりは、どっちかというと大きな趣味みたいなもので、たとえば自分だけの書斎が欲しいとか、自分のお気に入りだけが並べられた本棚が欲しいとか。

たぶん店でやらなくてもいつかは「自分の欲しい場所」を作っていたと思います。ただエントワというお店を偶然やっていて、偶然に2階が手付かずで、その空間を見た瞬間にここが良い!みたいな感じ。

あとはいつやるかだけの話で、3年後でも5年後でも10年後でも良かったんだけどはじめてしまった。我慢ができないやつということです。

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本にはこれが欲しい。あれが欲しい。

好きな本と古い調度品。アンティークの暖炉のような本棚が欲しい。壁一面が本棚になっていて、階段を上がるときから本に挟まれたい。

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本には珈琲が欲しいし、ぐっともたれることができるローソファも欲しい。ローであることが肝心。長い時間読んでいると腰が固まる。だから足を目一杯伸ばしたい時がある。

本にはパンの軽食が欲しい。ずっと喫茶ではケーキしか用意がなかった。試作に試作を重ねフードを増やすことにした。決しておしゃれなランチプレートではないのでご注意。日によってはお昼時にちょうど良いパンのメニュー。サンドウィッチとかホットサンドとか。もうすぐお披露目できると思います。暫しお待ちを。

また、本を読むのに適した「静か」について。病院や図書館のような張り詰めた無音とはまた違う。適度な自然音や生活音がただようのが僕にとってのそれだ。2階は「お話し不可」にした。それでも1階があるから自然と音は入ってくる。これくらいがちょうど良い。ー


でも土蔵の2階には僕がどうしても欲しいものがない。

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本には緑が欲しい。

庭で本を読んでいるような。そんな緑が欲しい。庭といっても洋風のガーデンではなくて、森林公園みたいな。適当な言葉が思いつかない。

「言の葉の庭」(新海誠)で幾度と出てくる主人公と先生が会う公園。と言ったらすごく近い。見るたびにあんな雰囲気で本を読みたいと思っていた。

でも、土蔵には当然緑がない。ひらけた大きな窓で庭が見えるなんてことはなく、小さな窓に鉄格子。そりゃもともと物置なんだからしょうがない。アンティーク固めしようかとも思ったけれど、どうしても緑のあるところで本が読みたい。そんな場所を作りたい。壮大な我儘を発揮した。

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大黒柱が大きな木になった。

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これ見よがしに土蔵の真ん中にそびえ立つ図太い大黒柱。緑が欲しいと思うほど木の幹にしか見えなくなってきた。というか元々はそうか。

かといって大黒柱を傷つけるわけにもいかない。釘もネジも一本も使わず木にしないといけないということ。

なんとか傷つけずに木にしてやりたくて試行錯誤した。結果的に近代発明である結束バンドと針金を駆使してこうなった。枝は長らく庭に立っていた垂柳の木。寿命を終え、もう切るばかりになった垂柳の枝を綺麗に洗って使わせてもらった。

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本は約1700冊

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1タイトル1冊だから約1700タイトルある。長野県上田市のバリューブックスさんにご協力いただいた。

昔からネットで何度もお世話になった古本屋さん。僕の「これを置きたい」という我儘も叶うほどの膨大な流通量と在庫量がある。本をテーマにたくさんの素敵な取り組み。店舗にリーフレットも置くのでぜひご覧ください。

状態の良い古本から1冊、1冊選書した。僕の選書といっても読んだことのある本ばかりじゃない。というよりそれだけで固めると、とても偏った本棚になってしまう。

だから今まで読んできたお気に入りたちと、一生かけてゆっくりと読みたいと思った本を選んだ。

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本屋になる

結果的に売ることにした。読みたい本を選べば選ぶほど、それに見合った価値が本にあると感じたからだ。本を生業にする上で、僕がしたいのは「本がいっぱいおいてある喫茶店」とは少し違う気がした。無料だから読むというのではない。本にはその本の価値がある。

だから空間とともに本屋をしっかりやる。しっかりやるといっても売れなかったら僕が読むから、結果的に自分で買っているようなものだ。これを商売といって良いのだろうか?幸せ。

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本とは

世界を拡張しうるツール。偶然という旅を感じさせるもの。

のように思う。

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本にのめり込みだしたのは小学生のとき。偶然図書室で手にとった水滸伝か ら世界が動き出した。歴史小説を読み漁り、翌年には推理小説にのめり込 み、文学を読み、哲学にはまり、ビジネス書を手に取り、自分の年齢とともに少しづつ世界を広げてきた。

昔、本とはタイムスリップやワープのようなものだと思っていたような気がする。そのワクワクした偶然の出会いと冒険に浸っていた。今はそんな思いにあわせて、読めば読むほど世界は飛んでいるイメージではなく繋がりながら拡張しているような気持ちになる。

2つの人生があればと感じたことがある。もう一つの人生ではこんなことをするかも。本とはそれに近づくツールだと思う。それを書いた人間が思い描く世界、見てきた世界に触れることができるのだから。

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そんなこんなで本と旅する森の本屋オープンしました。ゆったりとそれぞれの時間を楽しんでもらえたら幸いです。

2階にも喫茶席をご用意しました。本を読みながら珈琲を飲んでという僕のわがままを叶えました。

本屋としても、本を楽しむ喫茶としてもお楽しみください。

<2階喫茶席の詳細>

○本に囲まれた空間の喫茶席。(ローソファ+カウンター)の2タイプ。
○私語不可の1人席。(電源各席、wifi有)
○2階席は店内の本が読み放題。
▷料金システム
1時間¥300(1オーダーにつき1時間分無料) 
例1)2時間滞在で中煎りブレンド1杯のご注文
コーヒー¥500+時間料金(2-1時間)=¥800
例2)2時間滞在で中煎りブレンド1杯とケーキのご注文
コーヒー¥500+ケーキ¥480+時間料金(2-2時間)=¥980

2階席は席の予約が可能です。こちらからどうぞ。

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