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内田聖良 個展「新しい女神の想像:山」開催のお知らせ

9月のおわりにPARAで個展をします。3月に行った「怒りを鎮めるもの」「心の支えにするもの」を通して他人の怒りや孤独の経験を想像するWSを元に展示を構成します。前回全く触れませんでしたがタイトルはベティ・フリーダン『新しい女性の創造』に由来しています。
9月28日(木)19:30-21:00 はトークイベントもあります。
ゲストにAITキュレーター堀内奈穂子さんをお招きします。

堀内さんはフェミニストアートに関連した企画のほか、福祉とアートなど社会課題にアプローチする企画も行われています。じっくりとお話する機会は初めてなので楽しみです

概要

会期 2023年9月27日(水)- 10月9日(月・祝)
時間 15:00-20:00料金
入場料 500円 ※PARA各種フリーパス・コース無料適用
別途作品販売:1000円ー3000円予定
会場 PARA神保町2F(東京都神田神保町2-20-12 第二冨士ビル2階) https://goo.gl/maps/th8HqeciE7dRfDdK8 ※会場まではビル内の階段を利用してご来場ください
トークイベント 9月28日(木)夜 19:30-21:00 ゲスト:堀内奈穂子氏

概要

内田聖良による個展「新しい女神の想像:山」を開催します。

内田はAmazonなどの既存のプラットフォームを用い、そこに私的な物語や脱規範的な価値観に基づいた物・データなどを様々な形で「流通」させなおすことで、それらが前提にしてきた価値観やシステムの秩序に問いを投げかける作家です。近年は、2016年―2022年に東北に住んだことをきっかけに、科学の発展の影で衰退しつつある信仰や民話などが、目に見えない存在を身近に感じさせたり、村社会でのコミュニケーションを柔らかくするなどといった「機能」に着目し、それらを現代的なテクノロジーを用いて再展開させる活動を行っています。

内田は今回、山岳信仰における「女神」の物語をもとに、その語り直しを試みます。リサーチの中で、内田は山岳信仰において一般に女人禁制の根拠として語られる「女性が嫌いで、若い男が好きである」という「山の女神」の性格が、実は修行のために都合の良いよう後に付け加えられた点に注目しました。そして、女神は人間の女性に出会うことを阻まれ孤立させられた存在ではないかと仮定します。また、女神が恐れられた理由である噴火=怒りの理由が、男の神に浮気を疑われたことだったにもかかわらず、関係のない「女性嫌い」という性格を与えられていることから、女神は自身の訴えや言葉を聞いてもらえていない存在でもあると仮定しました。

このように、男性によって都合よく語り直された女神の物語を、ネット社会の炎上と山の噴火、またハラスメントなどを訴えた被害者が孤立する姿など現代社会に生きていれば誰にでも起こり得る孤独や怒りの経験と重ねます。そして、怒りや孤独を共有し合うための存在として、女神の物語を語り直すことを試みます。

展覧会のタイトル、「新しい女神の想像」は、ベティ・フリーダン著『新しい女性の創造(原題:The Feminine Mystique)』に由来しています。『新しい女性の創造』は、第二次世界大戦後に家庭に帰った女性たちが、与えられた「女性はこうあるべき」といういわゆる「神話」的な生活に満足できなかったことから、つくられた「女らしさ」に問いを投げかけ、女性の新しい生き方について論じ、米国の第二波フェミニズムのきっかけとなった本です。

今回の内田の試みは、女性と男性・女神と女性を隔てるために流通してきた「つくられた女神」の物語を、他者への想像や共感をするための「新しい女神」として想像しなおすための試みなのです。

今回の展示に先行して開催されたワークショップでは「怒りを鎮めるもの」や「心の支えにしているもの」を持ち寄り、物を通して互いの怒りや孤立の経験を想像し、それぞれの物語が込められたものを3Dスキャンを行いました。今回の展示は、そのインタビューや様々な人を支えてきた「物」から、スマートフォンに搭載されたカメラやQRコード読み取り機能を用いて、誰の内にもありえる「女神」の姿を想像する「ありえるかもしれない信仰」の物語を体験するインスタレーションです。


クレジット
出演・運営:小原花
制作協力:飯田匠、宮本一行、小原花
協力:石幡愛、勝谷俊樹、汐月陽子、堀切梨奈子、三毛あんり

ワークショップ(2023年3月開催)クレジット
「聞き役」出演:小原花、勝谷俊樹、汐月陽子、宮本一行、山本博士
「受付」出演:よしのももこ
運営:山本博士
設営協力:内田颯太、山本博士
契約書作成協力:佐藤浩太、羊屋白玉(HAUS(Hokkaido Artists Union Studies))


Spacial Thanks:HAUS(Hokkaido Artists Union Studies)、「女神」の皆様
主催:PARA


せが豚コマではなく豚ロースを買えるかもしれません