お味噌汁

たった七日間の滞在で、私の日常に少しだけ空虚を作って去っていく。


味噌汁が二椀分鍋に残る、三人家族には少し足りない。いつもおかわりするからその分ちょうど残る、私一人が残り物の昼御飯にするのにも多い。


人間ひとり、その場に存在しないだけでどれだけその空間に音が、光が、熱が薄まってしまうんだろう。

まだ、二階からコントローラーの雑音が聞こえて、二人が存在する安心感が 

私の心の中の暗く寂しく悲しい瓶の口へ王冠の蓋をしてくれている。でもこの王冠たちもまた、自分自身への未来へと羽ばたいていく。

その時私は、この十数年にわたる寂しさのない幸せな空間から、この家のなかに点在してくる空虚と何かを手放した喪失感。これらを無条件に受け入れないといけない。


たった一週間の命の滞在は、私にこれだけ寒さとつまらない時間を与えるのに

魂の折り返し点を過ぎたこの私に、時間はどれだけの苦痛を寄越してくるのか?


育てるという絆を私と繋いだ双子たちは、彼らの元風景に存在しうる以上

私との縁は切れない。


でもあの味噌汁の行方は、まだまだわからない。私だけではどうしようもない感情のその先に、孤独を嫌う私との生活が待っていることを祈りながら戒めながら、毎日を生きていこうと思う。


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