見出し画像

トライブ紹介 マイクロワーカー【2/2】

前回に引き続きマイクロワーカーについて
3.日本におけるフリーランス人口の急増とその背景、4. 未来の働き方の展望と「過労」という概念の消失についてご紹介します!


3. 日本におけるフリーランス人口の急増とその背景

アメリカを上回るフリーランス人口の増加
ランサーズが全国の20歳から69歳までの男女3,000人を対象に行った「フリーランス実態調査」によると、日本における広義のフリーランス数が1,064万人に達し、昨年度対比で17%増加していることが分かった。米国 が5,300万人から5,400万人と1年で2%の増加率であるのに対し、日本ではそれを上回るスピードでフリー ランスが増えていることが明らかになった。米国のフリーランスは「収入」をモチベーションに上げるこ とが多い一方、日本では、45%の人が「自由」な働き方を求めてフリーランスになっているという結果と なった。その一方で53%の人がフリーランスになることへの障壁として「収入の不安定さ」「社会的信用のなさ」を挙げている。
これは私の見立てですが、国民のコンテクストとして「信用し合いやすい」という見えない次元での強みが日本人にはあるため、シェアリングエコノミーは日本人と相性がいいといえます。もちろん中には悪い人もいますが、裏切りも少なく、日本語が話せて、同じような教育水準で、道徳観も似ている。こういった背景から、もっとシェアリングエコノミービジネスを日本の大企業はやるべきというのが私の意見です。

今回の4つのセグメントは新規事業を考えるうえで非常に重要です。「人系のシェアやスキルのシェアがきているからなんとなくやろう」では、すでにマスになっている分野なので勝つことはできません。そのときに一言でマイクロワーカーにはどんな人たちがいるかを理解しておくことが重要です。自分の隙間時間を使って働きたいという価値観は同じですが、アプローチは以下のように異なります。

スキマワーカー
自分の予定のスキマ時間を活用してバイトする大学生が中心。 遊ぶ予定が急遽キャンセルになった時に、バイトを探して働く人など、急な予定の変更でバイトをいれる人たち。 時間を埋めたい・充実させたいという思いがある、比較的充実した生活を送る人たち。

スタディワーカー
お金稼ぎが目的ではなく、 いろんな世界を知りたいという好奇心からバイトを探す大学生が中心。「単発バイト検索アプリ」では、同じようなバイトを繰り返すのではなく、毎回異なる仕事を探してはバイトしている。
また、スタディワーカーの発展で、転職の職探しのきっかけを作りたいという人もいる。

コインワーカー
小金稼ぎのために「単発バイト検索アプリ」をしている大学生が中心。当月の稼ぎが少ないため、帳尻合わせのために小金を稼いでいる。 継続して活用するのではなく、 お金が足りず小金が必要なタイミングで活用している。

セカンドワーカー
企業で働きながらも、副業的に 「単発バイト検索アプリ」を利用する社会人たち。 会社からバレないように副収入を得るために「単発バイト検索アプリ」を利用している。週末や就業時間以外の時間で働いている。
大学生に今顕著に現れているのは、バイトやマイクロワーカーだけの話ではなく、**「あまり先の予定を入れたくない」**という価値観です。つまり、いくらでも短期間に仕事や用事を入れることができるのに、「何故1カ月も先のシフトが決まっているのか」というのが彼らの義憤になり、これまでのような働き方の仕組みがそぐわなくなっているのです。
そのため、「固定バイトが嫌だ」という若者は増加しています。その一方で、SNSが発達して「気分が乗ったときにやりたい」というような人たちが出てきているのは興味深い点といえるでしょう。
今、アルバイトに人が集まらないのは「単純作業が嫌だから」と企業の人は勘違いしていますが、彼らは**「単純作業をするタイミングが固定されていることが嫌」**なのです。このことをシェアリングエコノミービジネスを担当する企業の担当者は理解しておきましょう。
また、スタディワーカーの大学生と話していると、座学に対する評価が低いということが分かります。実地を行ったり、プロジェクト型やワークショップ型だったり、体験を伴うものこそが学びなのだということは、これまでプロ女子などのレポートでも何度も出てきているトレンドですが、「それが単発のバイトで知れたらいい」と、エンタメとして単発バイトを考えている傾向もあります。
もうひとつは、ワークライフバランス女子にも見られましたが、社会全体の傾向として「予定が空いていると不安」という人が存在します。ある種の「リアルが充実していなければいけない」という強迫観念が「空いているスケジュールを埋めなければいけない」というジョブに刺さっている場合もあります。
さらに、「固定バイトの人間関係が面倒くさい」という今の時代ならではの価値観があります。SEEDATAでは「ポップアップ化」と呼んでいますが、人間関係もポップアップ化してきていて、固定されている人間関係よりも、その日その時だけの関係が求められています。
このように、若者にとって旧来型のアルバイトにはメリットがほとんどなくなっていき、シェアリングエコノミー系のサービスに奪われていくのではないでしょうか。
以上のようにさまざまなニーズがあるため、ひとことでスキルやシェアのビジネスをやりたいといっても、その人たちが抱えているジョブやモチベーションをはっきりさせなければ、初期採用者を見誤ってうまくいきません。
繰り返しになりますが、「単純労働が嫌なわけではなく、人間関係や時間が固定されるのが嫌」だということを理解していなければ、アルバイト採用には苦労します。また、シェアで働いている時間をトータルすると、毎日予定を埋めている人はたくさんいるため、「少ししか働きたくない」わけではないということも重要です。
「何故時間や人間関係が固定されなければならないのか」という点に義憤を感じているということをトレンドとして意識してください。

4.未来の働き方の展望と「過労」という概念の消失

今回は10年後くらいに起きるであろう、社会変化仮説をご紹介します。

今後も、いい意味で「人間関係や働くタイミングを固定したくない」という人たちは増えていきます。オンライン学習なども発展し、浅く広くさまざまなスキルを持ったり、その中でスキルを見つけて高めたりすることができますが、実は個人がスキルを持てるか持てないかということは、昔も今もさほど変わりません。
それよりも、これからの社会において重要なことは、「誰がどんなスキルや興味をもっているかがお互いに分かる」ということです。今まではそれが分からなかったために固定化して育てていましたが、それが分かるようになるということ、厳密にいうとその状態こそがスキルホルダーが増えるということなのです。
つまり、スキルを持っているだけではなく、自分の持っているスキルを相手に伝えられる環境が整って初めて、その人はスキルホルダーといえます。当然、昔からスキルを持った人はいましたが、そのスキルを正確に人に伝えられるようになったということが変化であり、そこに対してのコストも下がってきています。
固定されなくなると、自分でチョイスすることになり、チョイスするということは自分で選び自分のスキルで行うということで、心理学的には自己効力感(セルフエフィカシー)が高まります。そうすると、基本的に「過労」という意識は減少していきます。マクロで見るとそういう人たちが増えていくと心理学的にはいえます。
さらにそれを支えるロボットやAIが進展していくと、長い時間苦痛を伴うものはだんだんロボットやコンピューターに代替される社会が近づき、この2つが合わさったとき、いつしか過労という概念が喪失する可能性があります。
現在の働き方改革は根本には過労死や自殺をなくしたいというゴールがありますが、そういうものをなくしたいという前提そのものが消えてしまう可能性があるのです。
そうなると、人々の働き方は何によって改革されるか、「そもそも働き方とはなんだろう」と相当曖昧になっていくでしょう。政策立案などに関わる人は、将来的に過労意識という概念が喪失するかもしれないということを踏まえたうえで制度設計をしていくことで、日本は先進的な国になるでしょう。この未来がいつ頃くるかを適切に見極めて、そこに投資するのが政策立案者の役割ですので、タイミングの見極めやシナリオ制作をSEEDERにぜひ依頼ください。
SEEDERでは、働き方の未来に関しては10年スパンで見据え終わっています。
マイクロワーカーのような働き方が広がっていくと、遊びと仕事と休息がブレンドされていきます。それにより、日頃あまりお金使わなくてもよくなったりすれば、省エネモードであまり稼がず過ごし、逆にがっつりお金が必要になればたくさん働いたりすることも可能になっていくでしょう。それはこれまでの過労とは全然違うはずです。そのような社会が近いうちにやってくるということを今のうちに提言しておきます。

今回はマイクロワーカーについてご紹介しました!
いかがでしたでしょうか?お仕事のヒントになるアイデアは見つかりましたか?
SEEDER詳細や新規事業開発のご相談はこちらよりご連絡ください!

いいなと思ったら応援しよう!